『殺人の告白』
制作年・国 | 2012年製作 韓国 |
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上映時間 | 1時間59分 |
監督 | 監督・脚本:チョン・ビョンギル |
出演 | パク・シフ、チョン・ジェヨン、キム・ヨンエ、チョ・ウンジ、オ・ヨン、チョン・ヘギュン |
公開日、上映劇場 | 2013年6月1日(土)~シネマート新宿、シネマート六本木。6月29日(土)~大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、7月6日(土)~元町映画館、京都みなみ会館 にて公開 |
~『殺人の追憶』続編的なアクション・ミステリー~
アクション・ミステリーというユニークなところへと、娯楽映画性を打ち出した快作だ。まずは、ミステリー的な作りについて語ってみると…。韓国のミステリー映画の、個人的には最高傑作だと考える『殺人の追憶』(2003年製作)。実話をベースにしたその作品の、いわゆる続編的オリジナル作品として届けられたのが本作である。
迷宮入りし、そして殺人罪15年の時効(現在、日本は死刑に相当する事件は時効がなくなったが、韓国は15年のままである)を迎え、事件の真犯人と称する男が、自分がやったのだと告白。その告白本まで上梓して大ベストセラーとなる。一方、刑事側にしてみれば、そういう情勢は面白くない。
ここで、犯人と刑事の心理的な丁々発止のドラマが発生する。加えて、遺族グループと真犯人の間では、真犯人の拉致監禁などの暴力沙汰が起こるという設定だ。さらに、新たな真犯人を名乗る人物の登場で、物語は迷宮度合いを増していく。ところが、これらは全て仕組まれていたという、ミステリー的には大きなサプライズがある。実はそれは、最後の最後まで明かされないという作りなのだ。しかも、伏線はそれなりに張られている。
片や、アクション・シークエンス。冒頭からいきなり、刑事と容疑者の追いつ追われつのアクションが展開する。時効を前に、真犯人と見られる男と刑事の対決シーンなのだが、雨中の追走劇は、まるで『チェイサー』(2009年)のアクション・シーンが、ワン・シークエンスに凝縮したような作りになっている。この最初のインパクトを始め、誘拐拉致にまつわるカーチェイスであったり、クライマックスのトラックとバイクの派手なカー・アクションであったりと、ミステリー部以上に際立つ作品となっている。
演出部にも注目したい。韓流テレビドラマで韓国国内で人気を得た、犯人役パク・シフのクールな演技性。対して、エキセントリックにしてワイルド感あふれる刑事役チョン・ジェヨン。この2人の対比演技は、本作において大きな印象度を深める効果があった。サプライズに関わる点なので詳しいことは書けないが、みなさんの期待を裏切らない、アッと驚く結末が待っているはずだ。ということで、騙されたと思った方こそ、この映画への評価は高くなることだろう。
(宮城 正樹)
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