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『ローマでアモーレ』

 
       

rome-love-550-1.jpg『ローマでアモーレ』

       
作品データ
原題 To Rome with Love 
制作年・国 2012年 アメリカ・イタリア・スペイン 
上映時間 1時間41分
監督 ウディ・アレン
出演 ロベルト・ベニーニ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デイヴィス、ジェシー・アイゼンバーグ、エレン・ペイジ、アリソン・ピル、アレック・ボールドウィン、アントニオ・アルバネーゼ、ファビオ・アルミリアート、フラヴィオ・バレンティ、リッカルド・スカマルチョ、アレッサンドロ・ティベリ、オルネッラ・ムーティ、アレッサンドラ・マストロナルディ 
公開日、上映劇場 2013年6月8日(土)~新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー

 

~永遠の都ローマで、ウディ・アレンの自虐ギャグ炸裂!~

 

 ウディ・アレン、老いて益々冴えわたるフィルムメーカーの腕とセンス。若い女との再婚に失敗する老人と中年夫婦の浮気という老いに逆らう愚かさを描いた『恋のロンドン狂騒曲』、憧れの時代へタイムスリップして本来の自分を取り戻すロマンを描いた『ミッドナイト・イン・パリ』、そして、三都物語の最後は、陽光輝く古代都市ローマへと続く。今度はウディ・アレン自身も出演し、イタリア式ユーモアでアメリカ人の常識を皮肉る自虐ギャグオンパレードの痛快コメディ。

 『ローマの休日』さながらにローマの名所旧跡を巡り旅愁を誘う。4つのエピソードはそれぞれ違うテーマで構成され、それらをシンクロさせながら展開させる見事な群像劇となっている。超個性的な役者たちが一言も聞き漏らしたくないようなユーモアあふれる会話をふりまく。まさにソープオペラのような劇的狂騒曲となって楽しませてくれる。リピートしたくなるような映画4本分の充実感だ。

rome-love-1.jpg アメリカ人のヘイリー(アリソン・ピル)は、ローマ観光中にイケメン弁護士ミケランジェロ(フラヴィオ・バレンティ)と出会い、婚約までしてしまう。そこへ、アメリカから元オペラ演出家の父ジェリー(ウディ・アレン)と精神科医の母フィリス(ジュディ・デイヴィス)がやってくる。ミケランジェロの両親の家へ招待され、父親ジャンカルロ(ファビオ・アルミリアート)の美声に出会う。そこで、ジェリーは元オペラ演出家の血が騒ぎ、妻が止めるのも聞かず、ジャンカルロの才能を活かすべく、プロのオペラ歌手の道を勧める。だが、彼の美声が発揮されるのはシャワー中だけという難点があった。

 ウディ・アレンの妻役はダイアン・キートンを置いて他にいないと思っていたが、ジュディ・デイヴィスも凄い! ”あ・うん”の呼吸でウディ・アレンにツッコミを入れるあたりは、長年連れ添った夫婦そのもの。息の合った夫婦漫才を見せてくれる。ウディ・アレンが高所恐怖症なのか、飛行機の中で怯えるシーンや、前代未聞のオペラシーン、その新聞評論を読むシーンなどは爆笑ものだ。

rome-love-2.jpg アメリカ人の建築家ジョン(アレック・ボールドウィン)は、若い頃住んでいた路地裏を歩いていたら、現在その地区に住んでいるという建築家志望のジャック(ジェシー・アイゼンバーグ)と出会う。ジャックは恋人の友人で女優志望のモニカ(エレン・ペイジ)の自意識過剰な奔放さが気になって仕方がない。ジョンは若い頃の自分を見るような思いで、ジャックの恋愛模様に“影の声”となって付きまとう。

rome-love-3.jpg ローマで平凡な日常を送るレオポルト(ロベルト・ベニーニ)は、ある日家を出るといきなりマスコミやパパラッチに囲まれ、有名人扱いされる。TVに出演したり、サインを求められたり、VIP扱いをされたり、モテモテになったりと、訳も分からず生活が激変する。有名人になるのに才能は不要。マスコミがちょっと担ぎ上げるだけで人々は熱狂する。そんな風評の愚かさを皮肉っているようだ。
 

rome-love-4.jpg 田舎からローマへ新婚旅行を兼ねてやって来たアントニオ(アレッサンドロ・ティベリ)とミリー(アレッサンドラ・マストロナルディ)は、仕事を世話してくれる親戚に会うためにホテルにチェックインする。ところが、ミリーが美容院へ行くと出掛けてから大波乱が起こる。慣れないローマで迷子になってしまったミリー。道を訊ねても皆適当なことを教えて、益々混迷するミリー。一方、アントニオも間違えて派遣されたコールガール:アンナ(ペネロペ・クルス)に翻弄される。仕方なくアンナをミリーとして親戚と共に政財界のパーティへ同行する羽目になるが、これがまた紳士たちの間では有名なアンナ、その人気ぶりに驚くアントニオ。

 さすがイタリア! 政財界の紳士はグラマラスなコールガールがお好きなようだ。アメフト選手ばりに厚い胸板になってしまったペネロペ・クルスが、真っ赤なミニボディコンで世の男性陣の熱い視線を釘づけにする。このエピソードにはイタリア映画界の名優たちが沢山出演していて、イタリア映画ファンには堪らない。チョイ役で、『あしたのパスタはアルデンテ』や『昼下がり、ローマの恋』などで輝く瞳で魅了したリッカルド・スカマルチョも出演。全編イタリアの宝石を散りばめたような豪華さだ。

(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://romadeamore.jp/

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