『アンコール!!』
原題 | Song for Marion |
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制作年・国 | 2012年 イギリス |
上映時間 | 1時間34分 |
監督 | 脚本・監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ |
出演 | テレンス・スタンプ『プリシラ』、ヴァネッサ・レッドグレイヴ『ジュリエットからの手紙』、ジェマ・アータートン『007 慰めの報酬』、クリストファー・エクルストン『G.Iジョー』他 |
公開日、上映劇場 | 2013年6月28日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、 7月5日(金)~角川シネマ新宿、TOHOシネマズ(梅田、なんば、二条、西宮OS)、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー |
~日ごろ言えない想いを、歌で伝える素敵!~
無口な頑固オヤジのアーサーと、体の不自由さを跳ね返すぐらい社交的なマリオン。ふたりは長年連れ添った熟年夫婦だ。マリオンの楽しみは、若い音楽教師エリザベスが指導する合唱グループ“年金ズ”で歌を歌い、仲間たちと陽気な時間を過ごすこと。でも、アーサーは妻の送り迎えをするだけで、合唱団にはそっぽを向いている。ロックやポップスも歌うこの“年金ズ”が、なんと国際合唱コンクールのオーディションを受けることになり、“必死のパッチ”で練習に励むが、マリオンが突然倒れてしまう…。
年金生活者たちの合唱団といえば、思い出すのは、やはり『ヤング@ハート』(2007年、スティーヴン・ウォーカー監督)だ。あちらは平均年齢80歳の実在のコーラスグループを追ったドキュメンタリーで、一人ひとりの生活ぶりや生き方までを子細にすくいとっていた。それに比べると、本作では周囲の人間の影が薄いという点は否めない。
そのかわり、名優2人の繊細な演技に浸れる。ここでは苦虫をかみつぶしたような顔をしているが、往年の映画ファンにとっては、胸きゅんの鋭角系美形俳優だったテレンス・スタンプ、そして反体制活動でも有名なベテラン女優ヴァネッサ・レッドグレイヴが、何ともイイ感じの夫婦像を作り出している。アーサーのような男は、日本にも五万といるなとつくづく思う。「男がそんなことやってられるか」とカッコつけてたり(それが妙に可愛かったりする場合もあるが)、身内の人間に対して、心の奥で思っていても、甘い言葉や優しい言葉など口にできない。昔気質と言えば良い面ももちろんあるが、本音を出せないから、周囲との壁を自ら作り出すことにもつながっていくのだ。
そんなアーサーだけど、マリオンの病気が進行し、コンクールという一つの目標が生まれて、どんどん変革されていく。場数を踏んでいるらしいレッドグレイヴの歌いっぷりにはやはり引き込まれるが、正直そこまでのレベルでないスタンプのソロも、しみじみと胸にしみてくる。
(宮田彩未)
公式サイト⇒ http://encore.asmik-ace.co.jp/
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