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『県庁おもてなし課』

 
       

omotenasi-550.jpg『県庁おもてなし課』

       
作品データ
制作年・国 2013年 日本
上映時間 2時間02分
原作 有川浩「県庁おもてなし課」(角川文庫刊)(『阪急電車』『図書館戦争』)
監督 監督:三宅喜重  脚本:岡田惠和
出演 錦戸亮 堀北真希 、高良健吾、 関めぐみ、船越英一郎
公開日、上映劇場 2013年5月11(土)~全国東宝系ロードショー

 

~高知県へ行こう! とびきりの“おもてなし”が待っています♪~

 

 まだ四国高速道路ができる前、大阪から高知へ自分で車を運転して行ったことがある。完成間もない瀬戸大橋を渡って上機嫌で四国に渡ったところ、香川県から高知県へ向かう国道に入った途端、道路が狭くなり、暗くて先が見えず、とても不安になった。夜半に高知市に入り、翌朝目覚めたら、全く違う世界が広がっていた。青く輝く海に、瑞々しい山々、そして燦々と降り注ぐ陽光。身も心も開放されたようで、実に爽快な気分になれた。

 高知県は、四国の中でも、東は太平洋、他の三方は四国山地に阻まれ、まるで“陸の孤島”のような地形だ。だからこそ、国司として都から土佐へ赴任した『土佐日記』の作者:紀貫之(きのつらゆき)に代表されるよう、昔から他県から来た人たちに関心が高く、親切で面倒見がいい。人柄も至って陽気で気さく。3年間の在住で多くの友人ができ、楽しい思い出を沢山作ることができた。本作は、そんな高知県出身の原作者:有川浩さんが、実際に観光大使のオファーを受けた体験から生まれたお話を映画化したものである。

omotenasi-1.jpg NHK朝の連ドラ『あまちゃん』ではないが、地方活性化のひとつとして、高知県でも県庁内に「おもてなし課」というのを新設し、観光促進を図る。そのメンバーのひとり、若い県庁職員の掛水(錦戸亮)は、PR活動の一環として、高知県出身の有名人に観光特使を依頼しようとしていた。その中で、人気作家の吉門(高良健吾)から返事があり、公務員以外の若い女性をメンバーに入れろとの指摘を受け、優秀なアルバイトの多紀(堀北真希)を参加させる。さらに吉門は、かつて「パンダ誘致プラン」という画期的な案を提唱したにもかかわらず、県庁内の抵抗に遭い、県庁を追われた清遠(船越英一郎)の助言を仰ぐよう指示する。それには、ある事情が秘められていた。

omotenasi-3.jpg やる気はあるが、思いが実践に繋がらない若い県庁職員の奮闘ぶりは、郷土愛や家族愛、男女の愛と、様々な愛情にあふれた高知を舞台に新鮮な輝きを放っている。山海の幸に恵まれ、自然が広く残されている高知県全体をテーマパークとしたプランは、実際に面白いプランだと思う。掛水と多紀、吉角と清遠の娘佐和(関めぐみ)の二組のカップルの恋の行方も絡めながら、観光立県として成功するためのプランは、どれも興味深いものばかり。

omotenasi-2.jpg 山地が多い高知県は平野部が少ない。そのため農産物の収穫高は他県に比べると少なく、そのため産物を特定して栽培してきた。フルーツでは文旦、薄皮もむいてサラダとして食べると、柑橘系が苦手な方でも美味しく食べられる。山海の幸を豪快に大皿に盛ったのが「皿鉢料理」。宴会では定番の料理。鰹のたたきも刺身もウツボのごりも寿司も揚げ物も煮物も全部盛り付ける。ご馳走の山を前に、男も女も杯を置かずに飲み干す。酒好きには楽しいおもてなしだが、下戸の人にはちと酷な部分もあるようだ。

 季節は新緑の丁度今頃が最高。目に沁みるような萌の若葉に、鳥のさえずりが響き渡り、瑞々しい空気の中で、まるで心身が再生するような躍動感に包まれる。深い緑の山々に分け入ったり、パラグライダーに挑戦したり、ホエールウォッチングをしたり、川遊びをしたり、勿論、フィッシングのポイントには事欠かない。しばらく滞在して楽しむのがオススメ。

 何だか、映画紹介ではなく、高知県PRになってしまった! 郷土愛のある人って、地に足が着いた生き方をしているようで、魅力的に感じてしまうのは筆者だけだろうか? 錦戸亮演じる主人公:掛水の、ちょっと頼りなげだが誠実で前向きなキャラクターは、清涼感があって、つい応援したくなってしまう。

(河田 真喜子)

公式サイト⇒  http://www.omotenashi-movie.com/
(C)2013 映画「県庁おもてなし課」製作委員会

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