『バレット』
原題 | BULLET TO THE HEAD |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ |
上映時間 | 1時間31分 |
監督 | ウォルター・ヒル |
出演 | シルベスター・スタローン、サン・カン、ジェイソン・モモア、サラ・シャヒ、アドウェール・アキノエ=アグバエ、クリスチャン・スレイター |
公開日、上映劇場 | 2013年6月1日(土)~大阪ステーションシティシネマほかでロードショー |
~スタローンとヒル監督の初コラボにドッキリ!~
シルベスター・スタローンなら、若いみなさんもよくご存知だろう。本作は基本的には、そんなスタローンの最新主演作ということになるのだが、今までのスタローン作を踏襲しながらも、微妙に違うアクセントやイントネーションが加えられている。その一番のポイントは、ウォルター・ヒル監督との初コラボレート作品になったという点である。
ただ、若い方は監督のことはあまり知らないだろうから、作品について言うと…。1970年代から1980年代に活躍。続編も作られた、刑事と犯罪者(ニック・ノルティとエディ・マーフィ)が相棒となって事件を追う「48時間」(1982年)。この作品はヒル監督のキャリア史上、最高のヒット作となった。そして、評論家筋で評価の高かった「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984年)などがある。「48時間」はテレビで何度もオンエアされているし、DVDでも見られるから、もし未見の場合は、本作鑑賞前に何らかの形で鑑賞しておいた方がいいかと思う。
なぜなら、本作はその「48時間」を大いに意識した作品だからだ。スタローンは、相棒を殺され依頼者に裏切られた暗殺者役。相棒を殺した者へのリベンジや、依頼者への落とし前をつけるために、何とかしたい。一方、韓国出身の在米刑事は、元相棒の刑事が殺された事件に首を突っ込み、スタローンらに殺されたことを知る。但し、裏のボスにして真の犯人を追い込むために、この2人がにわか相棒同士になって、犯人を追いつめていくのだが…。「48時間」に見られた変形相棒映画のスタイルが、ストレートに移植されたのが本作なのだ。「48時間」を見ている人は、ニヤニヤもしくはニッコリしながら…、見ていない人は、初めて見るユニークな相棒映画として見られるはずだ。
さらに、スタローン主演なだけに、ヒロイズム映画としての造形は万全だった。「ストリート・オブ・ファイヤー」で造形された、主演マイケル・パレ的なヒロイズムも、そこはかとなく注入されている。愛する娘のために格好よくアクションを遂行し、それでいてできるだけクール。そして、クライマックスの1対1対決は、この「ストリート・オブ…」の対決シーンと完全にオーバーラップする。西部劇的な銃撃戦で済むのに、あえて鈍器(斧)を持っての対決だ。リアル感はないが、こういうところが男と男の映画的アクションの面白さだと思う。加えて「ストリート…」の場面転換で使われたシャッター・カットが、本作ではサーモスタットなイエロー主流のカットで…。スタローンの活躍ぶり以上に、個人的にはウォルター・ヒル監督色の打ち出し方に、惹きつけられた1本だった。
(宮城 正樹)
公式サイト⇒ http://www.bullet-movie.jp
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