『愛さえあれば』
原題 | LOVE IS ALL YOU NEED |
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制作年・国 | 2012年 デンマーク |
上映時間 | 1時間56分 |
監督 | スサンネ・ビア |
出演 | トリーネ・ディアホルム、ピアース・ブロスナン、モリー・ブリキスト・エゲリンド、セバスチャン・イェセン、パプリカ・スティーン他 |
公開日、上映劇場 | 2013年5月17日(金)~TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、TOHOシネマズ(梅田、二条、西宮OS)、他全国順次公開 |
~若年カップルと年輪カップル、あるべき道の選び方~
傍からは幸せそうに見えても、それぞれの夫婦や恋人たちには、彼らにしかわからない悩みや迷いがあるもの。何が本当に幸せなのか、人間、いくつになっても気づきにくいし、そこに世間体だとか見栄だとか優柔不断だとかが入り込んでくると、ますますややこしくなる。しかし、「ああ!それこそ人生さ」とつぶやきたくなるロマンティック・コメディがこれ。『未来を生きる君たちへ』で、シビアな状況にある家族の希望を綴ったデンマークの俊英、スサンネ・ビア監督の新作である。前作に比べ、飄々とした軽やかなタッチが印象的だ。
乳がんの治療を受けている美容師のイーダは、ある日、衝撃の事実を目の当たりにする。帰宅したら、我が家の居間で夫が若い女性と浮気の真っ最中。なんだかんだと言い訳して夫は家を出て行ってしまった。茫然自失のイーダだが、イタリアで結婚式をあげる娘・アストリッドが待っている。ひとり向かった空港の駐車場で、彼女の車がなんと他の車に激突!踏んだり蹴ったり状況にさらされたイーダの前に…。
平安な家庭を築いてきたと信じ、どこかぽやんとした面もあるイーダが、夫の裏切りや、意外な人との接触で少しずつ変わっていく。女性ならば、大いに切実な乳がんという病気にかかりながらも、新しい生き方を見つけていく姿にエールを送りたくなる。一方、幸せ絶頂期のはずのアストリッドがマリッジ・ブルーに陥ってしまうが、若いカップルがお互いのありのままを見出す過程を、監督はユーモアもこめながら、すがすがしく描き出す。自分に正直であること…それが、きっと幸せの鍵なのだなあと感じさせてくれる。
ピアース・ブロスナンという配役がけっこう意外性があって面白かったのだが、映画の後半、彼演じるところのフィリップがイーダに向かって言うせりふは極め付け!女性なら、とろけてしまいそうなほどロマンティックだ。また、イタリア南部・ソレントの美しい風景や、ニコラス・ケイジとシェール共演の『月の輝く夜に』(1987年)でも使われていた『That’s Amore』のメロディが、イタリア好きにはたまらない。
(宮田彩未)
公式サイト⇒ http://www.aisaeareba.jp/
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