『ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~』
原題 | BEASTS OF THE SOUTHERN WILD |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ |
上映時間 | 1時間33分 |
監督 | 監督・共同脚本・作曲:ベン・ザイトリン |
出演 | クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドゥワイト・ヘンリー |
公開日、上映劇場 | 2013年4月20日(土)~シネマライズ、ヒューマントラストシネマ有楽町、4月27日(土)~ シネ・リーブル梅田、なんばパークスシネマ、シネ・リーブル神戸、MOVIX京都、他全国順次公開 |
~野生の少女の“これが私の生きる道”~
遠くを見つめる少女の瞳に、未来を切り開く野生の力が宿る。水際で自然と共生し、独自の文化を育む、誇り高き少数コミュニティ“バスタブ”の人々。ハッシュパピーは父とともに暮らす6歳の少女。100年に一度の大嵐の到来、水没した村、収容所への強制収監、塩害でダメージを負った大地……、次々に押し寄せる苦難にどう立ち向かうのか。架空の街を舞台に、少女の目線でファンタジックに描いたオリジナリティあふれるドラマ。
大酒飲みで気性も激しく乱暴な父親が、実は娘を誰よりも愛しく思い、その将来を案じている。少女も父なしでは生きていけないと信じこんでいて、父娘の強い絆が伝わる。父親は、少女が一人でも生きていけるよう、厳しい自然の中でたくましく生き抜く術と勇気を教える。川で手づかみで魚をとったり、サバイバルだ。学校の先生からは、弱い者を守ること、いたわることが一番大切なことと教えられる。少女は、死をも身近なものとして、重い病にかかった父の運命も受け入れていく。人間も世界を構成するカケラの一つにすぎないという少女の自然観とピュアな感性が心に残る。
嵐や洪水で家が流されても、自分達の故郷で生きることを決意するバスタブの人々。母のいない寂しさに耐え、幼い少女がひとり毅然として大地に立ち、遠くを見つめる姿は、どこか現代版ナウシカのよう。漆黒の肌にさらしのワンピースがよく似合う。荒々しい大自然の中で運命にたちむかい、強く生き抜こうとするたたずまい、しっかりしたまなざしは観る者の心を打ち、忘れていたワイルドな力を呼び起こしてくれる。
(伊藤 久美子)
公式サイト⇒ http://www.bathtub-movie.jp/
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