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『ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー』

 
       

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作品データ
制作年・国 2013年 日本
上映時間 1時間59分 <配給>東宝映像事業部 
監督 石田雄介(「モテキ」第35回日本アカデミー賞優秀編集賞受賞)
出演 ナオト・インティライミ
公開日、上映劇場 2013年4月13日(土)~全国ロードショー

 

~ “生涯旅人”ナオト・インティライミ、音楽で国境を超える!~

 つい口ずさみたくなるメロディーと、まっすぐ胸に届く歌詞が「元気になりたいときに聞くアーティスト」として人気を博しているナオト・インティライミ。実は、デビュー以前に28か国を515日間かけて世界一周した、旅人スピリッツ溢れる人間なのだ。そんなナオトが、かつての音楽仲間に会うため、また自分が影響を受けた音楽のルーツを辿るために再び旅に出る姿や、旅で得たインスピレーションから新曲づくりに励むスタジオでの様子を収録した映画初主演作にして自身初のドキュメンタリー音楽映画が誕生した。次々と起こるハプニングに対峙するうちに一瞬の出会いを大きな喜びに変えていくナオトのポジティブな姿勢や、国境を超える音楽の力がスクリーンから溢れ出る。

tabiuta-3.jpg バックパッカーは久しぶりと語るナオトの第一目的地は初めて訪れるエチオピアだ。車で丸2日間かけて着いた少数民族ハマル族の村で、ナオトも「郷に入れば郷に従え」とハマル族の人たちと同じく腰巻だけの裸スタイルになったり、サッカーや歌を通じてどんどんハマル族の輪の中に入っていくナオト流コミュニケーションを見せる。一方、体調不良で彼らのせっかくの誘いを断ることになり、旅の厳しさを肌で感じる場面もある。「全てがうまくいくわけではない。この瞬間を逃すな、catch the moment」とナオトが病床でつぶやいた人生にも通じる旅の教訓は、彼の新しい歌に昇華していくのだ。

tabiuta-2.jpg 次にコロンビアに旅立ったナオトの目的は7年半前、一緒にライブ活動を行ったことがあるカルロス・ビベスに会うことだった。コロンビアを代表する人気歌手となったカルロスとの再会から、同じくコロンビアの大御所アンドレス・セペーダとの出会いや彼が経営するライブハウスのステージ出演と、ナオトにとって予期せぬ好機が舞い込む。現地のお客さんを前にしたナオトは、お客さんをぐいぐい巻き込み、日本人のアイデンティティーを前面に出して注目を集めながら、大喝采や声援を浴びる見事なパフォーマンスを見せる。このライブ感こそ、本ドキュメンタリーの一番の見せ場で、その熱気に鳥肌が立った。

tabiuta-1.jpg 今年2月カーニバル本番の時期に訪れたトリニダード・トバゴは、ソウルとカリプソを合わせたソカと呼ばれる音楽の発祥地でもある。世界三大カーニバルの一つだけあって、その華やかさと街を上げての盛り上がりぶりは半端じゃない。そんなソカのルーツを訪ねる旅は、大ファンの人気ソカバンドKES(ケス)との出会い、そしてナオトのCDを気に入ったKESの招きでフェスティバルのメインとなる野外ライブでの即興出演につながる。旅の最後に訪れた大きな奇跡は、「自分が動き出せば景色が変わる」と出会いを積み重ねたきた結果だろう。生涯旅人宣言をし、本当の夢へ歩み出したナオトの生き方は、国境を越えて多くの人を勇気づけるに違いない。また全編に散りばめられたナオトの音楽や、各地で繰り広げられたストリートパフォーマンス、野外フェスでの熱いライブを目の当たりにし、音楽やダンスは万国共通の人生の歓びなのだと改めて実感した。(江口由美)
 

公式サイト⇒ www.naoto-tabiuta.com Twitter:@naoto_tabiuta /Facebook

©2013『ナオト・インティライミ冒険記』製作委員会 

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