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『アルゴ』

 
       

argo-1.jpg★第85回アカデミー賞作品賞受賞おめでとう!!!

2013年3月2日(土)~

TOHOシネマズ系にて凱旋上映決定!

       
作品データ
原題 Argo 
制作年・国 2012年 アメリカ 
上映時間 2時間
監督 ベン・アフレック
出演 ベン・アフレック,アラン・アーキン,ブライアン・クランストン,ジョン・グッドマン
公開日、上映劇場 2012年10月26日(金)~丸の内ピカデリーほか全国ロードショー


~壮大なウソの中に埋もれた真実は何か?~

argo-2.jpg 1979年11月4日イランでアメリカ大使館人質事件が起きたとき,密かに外務官6人が脱出してカナダ大使の私邸に逃げ込んだ。彼らを救出するため,CIAの救出の専門家トニーが考えついたのがハリウッド作戦だった。フェイクムービーをでっち上げ,6人をカナダ人スタッフに仕立て,イランの空港から出国させようというのだ。埋もれていた脚本の中から,中東のような風景の土地に宇宙船が着陸するSF冒険活劇「アルゴ」が選ばれる。

argo-3.jpg 途方もない話だが,この救出劇を描くサスペンス・アクション「アルゴ」は,でっち上げではなく実話に基づいている。もちろん結末は分かっているが,映画の醍醐味に満ちている。大使館前に密集した人々の一触即発の不穏な状況と,大使館内にいる人々の不安と恐怖に包まれた様子が交互に映され,いきなり緊迫感が高まる。そして,トニーらが空港での3つの関門を通り抜け,イランの領空外に逃げおおせるまで,手に汗握る展開が続く。

 冒頭,紀元前550年から続くペルシアの歴史を背景に第2次世界大戦後から1979年のイラン革命までの経過が端的に紹介される。そのファンタジーを思わせる映像とナレーションが大きな歴史の中の“いま”を思わせて印象的だ。一方,非現実感を漂わせるハリウッドのようなウソが充満した世界にあって,モスクワ五輪のボイコットやジョン・ウェインの死さえどこか現実味がなく,トニーの10歳の息子への愛情だけが確かな現実に思えてくる。

 

argo-4.jpg  ともあれ,偽物の「アルゴ」は絵コンテからしてキッチュなSFという感じだが,本物の「アルゴ」は,一難去ってまた一難という展開で,活劇の面白さが堪能できる。6人の存在に気付き追い詰めてくるイラン側のシーンと周到な準備を整え脱出を敢行するトニー側のシーンを巧みに編集し,興趣を盛り上げる。トニーを信じるか否かで意見が分かれる6人や彼らの様子に不審を抱く大使宅の家政婦など,細部まで丁寧に描かれ充実している。(河田 充規)
 

公式サイト⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/argo/
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