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『ラストスタンド』

 
       

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作品データ
原題 THE LAST STAND
制作年・国 2013年製作 アメリカ 
上映時間 1時間47分
監督 キム・ジウン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、フォレスト・ウィテカー、ジョニー・ノックスヴィル、ロドリゴ・サントロ、ジェイミー・アレクサンダー、ルイス・ガスマン、エドゥアルド・ノリエガ、ピーター・ストーメア、ザック・ギルフォード、ジェネシス・ロドリゲス
公開日、上映劇場 2013年4月27日(土)~大阪ステーションシティシネマ、ほか全国ロードショー。

 

~シュワちゃん、ハリウッドへお帰りなさいな1本~
 

Last Stand-2.jpg カリフォルニア州知事の仕事を全うして、アーノルド・シュワルツェネッガーことシュワちゃんが、ハリウッド・アクション映画に復帰した。その第1弾は、まさにシュワちゃんのパブリック・イメージにふさわしい1本となった。但し、彼がハリウッドを離れて以来、日本興行界でのハリウッド映画の市場は、凋落の一途を辿ってきたという経緯がある。つまり、これは売れ筋のハリウッド・アクション映画を継承する役者たちが、不足している現状とも合致している。アメリカ本国ではヒットしているけども、日本ではヒットしていない現状が続いているのだ。

 「エクスペンダブルズ」(2010年・2012年・アメリカ)などでも感得できたのだが、“昔の名前で出ています”みたいな、シルベスター・スタローン、ブルース・ウィリスなどと、3羽烏みたいな形で彼は出ていたが、はっきり言って懐古趣味に近いものがあった。しかし、本作では、それでも必死にハリウッド・アクションにこだわるシュワちゃんに、ある種涙もののところがあるかもしれない。

 作品的には、ブルース・ウィリス主演の黒澤明「用心棒」(1961年・日本)のリメイク「荒野の用心棒」(1964年・イタリア&西ドイツ&スペイン合作)を、さらにリメイクした「ラストマン・スタンディング」(1996年・アメリカ)と対を成すような、西部劇的アクションの1本になっている。シュワちゃんは西部劇ウエスタンには、出演したことがない。そこで、初ものを狙ったのかどうかは別にして、西部劇の銃撃戦はあるけども、とうもろこし畑でのカー・チェイスや、クライマックスの1対1による格闘バトル・シークエンスなど、西部劇的アクトを超えたアクション・シーンが満載になっている。

 一方においては、製作側がシュワちゃんを意識した(気を遣った)ところなども結構ある。「もうおまえは終わっている」(彼はそれをはね返す)とか、彼を賞賛する「大したもんだ」のセリフとか、少々定番に走っているのではの勘繰りもあった。しかし、娯楽作としては、何とか踏ん張っていると見た。

Last Stand-3.jpg さて、本作の監督は韓国のキム・ジウンである。イ・ビョンホンとの仕事「甘い人生」(2005年・韓国)や「グッド・バッド・ウィアード」(2009年・韓国)などで、多彩なアクション映画に対応できる資質は十二分にあった。そして、本作で初のハリウッド映画監督進出だ。銃撃アクション・シークエンスの練られ方など目を見張るシーンがあった。全編にわたってのアクション演出には、まだ物足りないものがあるかもしれないが、日本を含んだアジアの監督のハリウッド・アクション映画としては、かなり健闘しているかと思う。最後に一言。個人的には、逃亡者側をヒロイックに描いた「ゲッタウェイ」(1972年・アメリカ)の逆バージョン的な快作だった。

(宮城 正樹)

公式サイト⇒ http://www.laststand.jp

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