原題 | 建築学概論건축학개론 |
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制作年・国 | 2012年 韓国 |
上映時間 | 1時間57分 |
監督 | 監督・脚本:イ・ヨンジュ |
出演 | オム・テウン,ハン・ガイン,イ・ジェフン,スジ |
公開日、上映劇場 | 2013年5月18日(土)~新宿武蔵野館、6月1日(土)~シネマート心斎橋、他全国順次公開 |
~丁寧に織り上げられる恋愛タペストリー~
二重の意味で,一昔前にタイムスリップさせられる作品だ。おおよそ「八月のクリスマス」(1998年)から「永遠の片想い」(2002年)までの韓国映画が思い起こされる。懐かしさがあふれ出るアイテムを巧みに用いて,小さなエピソードを丁寧に重ねていく。その中で描かれる主人公は,過去と現在のスンミンとソヨンだ。2人の現在と一昔前になる大学時代とが交互に描かれる。その2つの時代を太いパイプで繋いでいるのが“家”である。
監督は,大学の建築学科で学び,10年間建築士として働いた後,映画の世界に転向したという。スンミンも,大学は建築学部で,現在は建築士として働いている。彼は,大学の“建築学概論”の講義で,音楽学部のソヨンと知り合った。彼女は,建築事務所を訪ね,家を建てて欲しいと依頼する。その建築過程で,埋もれていた2人の想い出が少しずつ甦ってくる。それと並行して新たな感情も芽生えてくる。だが,スンミンには婚約者がいた。
三角関係という定番のサスペンスを含ませながら,大きなフレームの中で過去の2人のピュアな恋愛模様を展開し,その後に年輪を重ねた現在の2人の行く末を見届けていく。スンミンの現在がオム・テウン,過去がイ・ジェフン,ソヨンの現在がハン・ガイン,過去がスジと,それぞれ別の俳優によって演じられる。そのため,2人とも同一人物でありながら,もう大学時代に戻れないことが鮮明になって,やり直せない過去に切なさが募る。
実は大学時代にスンミンがソヨンの家を建てると約束していた。かつて彼女が描いた家の絵と彼が作ったその家の模型が過去の苦い思いを運んでくる。初雪の日に会おうと約束した空き家があった。そっとそこに置かれた1枚のCDとプレーヤーが悲しみを増幅させる。故郷のチェジュ島に戻ってピアノ教室を開いているソヨンにスンミンの思いが届けられた。エンドロールで流れる“展覧会”というデュオの「記憶の習作」が心に響いてくる。
(河田 充規)
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