制作年・国 | 2011年 アメリカ |
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上映時間 | 1時間22分 |
監督 | 監督・製作・撮影:デヴィッド・ゲルブ |
出演 | 小野二郎、小野禎一、小野隆士、山本益博 |
公開日、上映劇場 | 2013年2月2日(土)~ヒューマントラストシネマ有楽町、ユーロスペース、2月16日(土)~テアトル梅田、2月23日(土)~京都みなみ会館、3月9日(土)~シネ・リーブル神戸 他全国順次公開 |
~アメリカ人の目を通して分かる鮨と日本文化~
今や世界の主要都市で日本食と言えば〈SUSHI〉、しかも高級店扱いの人気だ。アメリカ西海岸では、古くから日本人の寿司職人が活躍していたが、パリのシャンゼリゼ通りに最初に回転寿司店がオープンした頃には、サーモンやマグロが中心で、寿司を握る人もアフリカ系や東南アジア系の人が多かった。国によっては変わりネタもあり、寿司も多様化してきている。そんな中、28歳のアメリカ人監督が捉えた究極の鮨とは、純粋にカウンター越しに鮨職人と対峙して、四季折々の極上の鮨ネタを提供してくれる小野二郎という鮨職人の世界だ。鮨を極めた職人が握る鮨を、日本人以上に外国人が嘱望していることに驚かされる。そこには、日本人が忘れてしまった「食」へのこだわりと奥深さ、そして、厳しい職人の経験と技から生み出される鮨一貫に込められた味のハーモニーが感じとれる。
東京地下鉄銀座駅の構内にある「すきやばし次郎」。わずか10席しかない小さな鮨店。トイレも地下商店街の共同トイレ。なのに、6年連続でミシュラン三ツ星に輝く、世界の食通をうならせる名店。『レ・ミゼラブル』のキャンペーンで来日したヒュー・ジャックマンも鮨が大好物なようで、去年この映画を2回も見て、来日中に「すきやばし次郎」へ2回も食べに行っている。彼ぐらいのVIPだと予約も取りやすいのか……。
時価と表示されている鮨店へ行って緊張したという経験はないだろうか? その点この「すきやばし次郎」は大丈夫! 最初から、「ひとり3万円から」と教えてくれるから(!?)……「死ぬまでに一度は味わいたい」と思うか、「回転寿司だったら二人で10回以上行ける」と思うか、それは其々の価値観にお任せするとして、この店のどこがそんなに凄いのか?
例えば、毎朝仕入れに行く築地市場の各店でも、「次郎さんとこには特に一級品を提供する」と言われ、また、厚焼き卵にしても、10年修行積んで初めて焼かせてもらえるが、OKが出るまでに半年もかかった、というエピソードを見ると、素材へのこだわりは半端ではないことが分かる。最高の状態の鮨を、客に合わせてタイミング良く提供する。正におもてなしの極意がそこにはある。小野二郎が長年磨き上げた技術でこだわり続けた鮨は、息子の代に引き継がれようとしている。やはり、一度は味わいたいと夢に見る鮨だ。
(河田 真喜子)
公式サイト⇒ http://jiro-movie.com/
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