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『ブラッド・ウェポン』

 
       

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作品データ
原題 逆戦 The Viral Factor
制作年・国 2012年 香港
上映時間 2時間3分
監督 ダンテ・ラム
出演 ニコラス・ツェー、ジェイ・チョウ、リン・ポン、バイ・ビン、アンディ・オン、リウ・カイチー
公開日、上映劇場 2013年1月19日(土)~梅田ガーデンシネマ にて独占ロードショー。「R-15」+指定映画

 

~マレーシア・ロケで魅せる新鮮な香港アクション~


 BW-4.jpg香港のアクション映画にしては、珍しい海外ロケーション映画。しかも、香港での撮影が一切ないという、余り聞いたことがないタイプの香港映画だ。死海から映すヨルダン・サイドから始まり、いったん中国・北京に戻るが、その後はメイン・ロケ地マレーシアのクアラルンプールでアクションが展開する。このマレーシア・ロケ映画はハリウッド映画でも前例がなく、マレーシア映画は別にして、映画界でも初の試みかもしれない。

BW-2.jpg そして、ハリウッドを意識しているようで、実はそうではないアクション・シーンの作りだ。確かに銃撃戦、カーチェイス、ニコラス・ツェーの裁判所からの逃亡劇、走る列車内でのアクション、ヘリチェイス、室内など狭いエリアでの近接撮影による格闘など、臨場感や迫力は満点だが、あくまでリアリティーに裏打ちされた演出ぶりを施している。例えば、高いビルから飛び出した車がそのまま走っていくようなハリウッド式はなく、地面に着けばやはり横転するのである。そういう細かいところで、幾つもリアル感にこだわっている。ミラクルを排除した生身のアクションが、まさにアクション映画の原点を想起させるような作りにもなっているのだ。本作はウイルス争奪戦がポイント。新しいウイルスを蔓延させ、そのワクチンで暴利を得ようという組織と警察の対決という構図だが、警察側の人間も何人か裏切っている中での難しい決戦だ。だからこそ、アクションの作り込みが重要なのである。

BW-3.jpg かといって、アクション一辺倒ではない。兄弟の絆を始めとした家族の絆が織り込まれている。主人公役ジェイ・チョウが自身のナレーションで、死海に浮かぶ冒頭のシーンから象徴的に描かれ始める。病気の母から頼まれて、幼い頃に別れた父と自分の兄に、マレーシアへ会いに行った主人公だが、逃亡中の兄役ニコラス・ツェーと共に、否応なしに悪の組織との対決の中に入ることになってしまう。銃撃の後遺症で余命幾ばくもない主人公や、娘を奪還しようとする兄の行動ぶりなど、ある種のタイムリミット設定で物語は進行していく。アクション描写を絡めながら、最後には冒頭シーンとのつながりで、兄弟の絆が結ばれるという着地。強引な展開にも見えるものの、それでもその後の母子再会シーンで感動はピークを迎える。アクションとヒューマニズムのバランスを取るのは難解だろうが、なんとか踏ん張り得た1本である。

(宮城 正樹)

公式サイト⇒http://www.bloodweapon.jp
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