原題 | STARBUCK |
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制作年・国 | 2011年 カナダ |
上映時間 | 1時間50分 |
監督 | ケン・スコット |
出演 | パトリック・ユアール、ジュエリー・ル・ブルトン、アントワーヌ・ベルトラン、ドミニク・フィリー他 |
公開日、上映劇場 | 2013年1月26日(土)~シネスイッチ銀座、2月2日(土)~シネ・リーブル梅田 他全国順次公開 |
~独身男に533人の子どもが!温かタッチの驚愕コメディ~
草食系という言葉が定着し、恋愛や結婚をしたくない若年層が増えていると聞くと、ますます少子化が進みそうで、人類の未来は大丈夫かとつい心配になってしまう。そんな現代の風潮を“えいっ!”とばかり背負い投げしたかのような、呆れるほどのおかしさと斬新さを放ちながら、でも、しみじみと家族というものについて考えさせてくれる映画がカナダから届いた。
主人公のダヴィッドは、父親が経営する精肉店で働く42歳の独身男性。善人ではあるけれど、だらしない性格、おまけに借金まみれで、仕事さばきもイマイチぱっとしない。そんな彼の前に一人の弁護士が現れて、驚きの事実を告げる。報酬目当てでダヴィッドが過去に匿名で行った693回の精子提供により533人もの子どもが誕生し、そのうちの142名が遺伝子上の父親の身元開示を求める訴訟を起こそうとしているのだという。とんでもないことだと、友人の弁護士と共に裁判の準備を始めるダヴィッドだったが…。
思いがけないことを知り、身元を明かさずに子どもたちとの接触を始めるダヴィッド。人はやはり、自分の血を継いだ者への好奇心を隠しきれないのだろうかと思う。彼のこの行動が、やがては妊娠中の恋人との距離感をも変えていき、家族という絆の深さをも強めていく。そして、533人の子どもの存在に後押しされるかのように、彼自身もみごとに変貌していくのだ。「(両親の)愛から生まれたわけではない」というようなことを言って、斜に構えた態度を見せる子どももいるけれど、結局はすべてがほのぼの路線へと導かれ、ああ、このようにおめでたいほどハッピーな物語に触れるのもいいなと感じさせるところが巧い!イレギュラーであっても、命の継承とはやはり凄いことなのだから。
すでに、ハリウッドでのリメイクが決定したという。普通ではありえないお話だが、一つ一つのエピソードがしっかり練られているので、何の違和感もなく、このどうしようもない精力絶倫男の善性の部分を応援したくなるほどだ。
(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://jinseibravo.com/
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