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『LOOPER/ルーパー』

 
       

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作品データ
原題 LOOPER
制作年・国 2012年 アメリカ 
上映時間 1時間58分
監督 監督・脚本:ライアン・ジョンソン
出演 ブルース・ウィリス,ジョセフ・ゴードン=レヴィット,エミリー・ブラント,ポール・ダノ,ノア・セガン,パイパー・ペラーボ,ジェフ・ダニエルズ
公開日、上映劇場 2013年1月12日(土)~丸の内ルーブル、大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、T・ジョイ京都、OSシネマズミント神戸、他全国ロードショー

 

~タイムトラベル,ここは未来,過去,現在?~

 

looper-3.jpg 2074年のオールド・ジョーは,妻を殺された復讐に燃える。その標的は,妻を殺した組織のボス,レインメーカーだが,ちょっと普通ではない。2044年に戻り,まだ10歳の少年のレインメーカーを抹殺しようというのだ。その時代に生きるヤング・ジョーは,殺し屋でヤク中の自己中心的な男だった。彼に殺されては目的が果たせないし,彼が殺されると自分の存在が消える。30年前の自分に命を狙われながらも,その命を守らないといけない。

looper-2.jpg タイムトラベルで未来の自分が過去の自分と話すシーンは,おそらく初めてだろう。同一人物である2人のジョーがダイナーでテーブルを挟んで対峙する。30年の経験の差が如実に表れるだけではない。その前に1,3,6,10,23,25,30年後と早回しのようにジョーの人生が示された。これと相俟って,1人の人間の可能性と限界を同じフレームに収めたような感覚が生まれる。限界を感じるのはジョーの存在がループしているからだろう。

looper-4.jpg ヤング・ジョーは,未来から送られたオールド・ジョーを首尾良く始末すれば,30年後まで生きて30年前に戻って自分に殺される。その状態が際限なく続くが,仕損ずれば状況は変わるかも知れない。本作ではその状況が描かれる。将来のレインメーカーと目される少年は3人いた。その1人がサラの子シドだった。オールド・ジョーがシドに迫るクライマックス。サラが命懸けでシドを守るのは当然だが,ヤング・ジョーの行動が意表を突く。

 未来を舞台としているが,そこで描かれる風景はレトロで,1944年だと言われてもそれほど違和感がなさそうだ。世の中は経済不況に覆われているようで,街は寂れている。映像だけでは未来とも過去とも判別できない。その曖昧さがかえってリアルに現代を映しているように見える。復讐に取り付かれたオールド・ジョーがシドに憎悪を生み付け,将来の独裁者レインメーカーを創造したともいえる。その連鎖は断ち切られなければならない。(河田 充規)

公式サイト⇒ http://looper.gaga.ne.jp
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