原題 | Frankenweenie |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ |
上映時間 | 1時間27分 |
監督 | ティム・バートン |
出演 | 声の出演:キャサリン・オハラ、マーティ・ショート、マーティ・ランドー、チャーリー・ターハン、アッティカス・ジェイファー、ウィノナ・ライダー |
公開日、上映劇場 | 2012年12月15日(土)~3D・2D全国ロードショー |
~1984年生まれの短編が生き返って長編に~
科学が大好きな小学生のヴィクターは,友達がいなくても,愛犬スパーキーがいるから幸せだった。だが,ある日突然,自動車事故でスパーキーが死んでしまう。悲しみに沈むヴィクターだったが,学校の授業でカエルの死体に電気を流すと足が動くのを見てひらめく。雷を利用してスパーキーに電気を通せば生き返るかも知れない,と。それを実現するのがスゴいが,同時にヴィクターはそれを人に知られるとマズいということも感じていた。
以前「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」のオマケのように公開された短編のリメイクである。長編になって,特にスパーキーが生き返ってからの展開が充実している。モノクロだからこそ味わえるダーク・ファンタジーのビジュアルで,いろんな色にまみれた心がすっきりと透き通っていく。その中で,生と死を曖昧にする科学との接し方,生と死から逃れられない人生の捉え方など,日常では忘れている大切なモノが表に浮かんできた。
科学の先生は,ヴィクターに頭脳だけでなくハートがあったから,スパーキーは復活できたと言う。科学は善でも悪でもないが,どちらにも使えるから,慎重にしないといけないと教える。心を込めないと,同じ実験をしても巨大なカメなどの凶暴な怪物を生み出してしまう。また,実験そのものが生と死の境界を越えて死体を甦らせるというものだ。いま人間は自らの遺伝子をも操作できる時代に生きているからこそ,謙虚でないといけない。
スパーキーは,ヴィクターを救うために大活躍をした後,動かなくなる。ヴィクターが「もういいよ,戻らなくて。心の中にいるから。」と声を掛ける。一方は充実した生命を終え,他方は愛するモノの死を受け入れる。スパーキーが動かなくても,素敵なハッピーエンドだと思う。ところが,本作のエンディングはもう少し先に用意されていた。どのように物語を着地させるのが最適なのかはなかなか難しいが,色々と考えてみるのも面白い。(河田 充規)
公式サイト⇒ http://www.disney.co.jp/movies/frankenweenie/
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