原題 | Skyfall |
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制作年・国 | 2012年 アメリカ,イギリス |
上映時間 | 2時間23分 |
監督 | サム・メンデス |
出演 | ダニエル・クレイグ,ハビエル・バルデム,ジュディ・デンチ,ベレニス・マーロウ,ナオミ・ハリス,レイフ・ファインズ,ベン・ウィショー |
公開日、上映劇場 | 2012年12月1日(土)~TOHOシネマズ日劇、TOHOシネマズ梅田 ほか全国ロードショー |
~James Bond Will Returnいま新たな50年が始まる~
1962年製作の「007は殺しの番号」から50周年でジェームズ・ボンド作品も第23作となった。アヴァンタイトルからイスタンブールを舞台に壮絶なアクションが展開する。カーチェイス,バイクチェイス,そして疾走する列車の屋根の上での格闘へとヒートアップする。だが,上司Mに「早く撃って」と命じられて発砲したイヴの銃弾がボンドに命中してしまう。殉職したと思われたボンドだが,MI6の危機を知って死の世界から生還する。
タイトルバックが007シリーズの中では異色で,ダークなイメージに包まれている。墓標が冷たく,血の匂いが舞い,紅蓮の炎が燃える。悪役シルヴァは,MI6の元エージェントで,思慕するMに見捨てられ,屈折した感情を胸中に秘めて復讐に燃えている。MI6にサイバー攻撃を仕掛けて,Mに自分の罪を思い出せと迫るという,ボンドと正反対の人物だ。2人が生と死,光と影,表と裏のようで同一人物の別の側面のようにも見えてくる。
ボンドは,ハイテク化した情報化社会における諜報員としての自己の存在意義を問い,原点回帰していく。これと平仄を合わせるように,作品全体も古い物と新しい物との対立と共存を描き出す。若々しく自信に満ちたQと老いと衰えを隠せないボンドの対比が厳しい。時の流れはむごく,立派な船も鉄くずになる。しかし,趣味は“復活”と言うボンドは,再生のためにMを連れて父母アンドリュー&モニクが眠るスコットランドへと向かう。
シルヴァに拾われた元娼婦セヴリンがミステリアスで,ボンドとの緊迫したシーンで魅せるが,儚く消えていく。クラシカルに輝くボンドカーが荒涼とした風景の中を走るシーンは,懐かしくも寂寥感が漂う。アクション映画とは思えない情感が醸される。だが,007シリーズは,過去から逃げるのではなく,未来に立ち向かっていく。ボンドが幼年時代を過ごした鄙びた家に別れを告げてロンドンに戻ると,Mの頭文字のマロリーが待っていた。
(河田 充規)
公式サイト⇒ http://www.skyfall.jp/
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