原題 | You Will Meet a Tall Dark Stranger |
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制作年・国 | 2010年 アメリカ=スペイン |
上映時間 | 1時間38分 |
監督 | ウディ・アレン |
出演 | アンソニー・ホプキンス、ジェマ・ジョーンズ、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、アントニオ・バンデラス、フリーダ・ピント他 |
公開日、上映劇場 | 2012年12月1日(土)~TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ、新京極シネラリーベ、TOHOシネマズ西宮OS、ほか全国ロードショー |
~恋したい大人たちを描く、お得意のドタバタ劇~
いくつになっても、恋の現役でありたいらしいウディ・アレン監督だから、この手のラヴ・コメディは手慣れたもの。絡まり合った群像図もみごとにまとめ上げてしまう。
突然、死の恐怖と残り少ない時間への焦りを感じた初老のアルフィ(ホプキンス)は、若返りトレーニングを始めたと思ったら、いきなり家を出てしまう。妻のヘレナ(ジョーンズ)はそれがショックで自殺未遂を図った後、怪しげな占い師のもとに足しげく通うようになる。一方、彼らの娘サリー(ワッツ)の結婚生活も、どこかぎくしゃくしていた。夫で小説家のロイ(ブローリン)が、デビュー作以降、スランプに陥ったまま這いあがれずにいるのだ。この2組のカップルをメインに、彼らを取り巻く男女とのすったもんだをぶち込み、恋という名のスパイスをふりかけた寄せ鍋料理のごとく味わいだ。
おしなべて、恋とは妄想なのだ、とつくづく思う。両想いであっても、時間がたてば、自分が考えていた相手とは違う像が見えてくるし、片想いの場合は、一方的な思い込み、勘違いがあり、この物語のサリーの場合がまさにそう。人は、日々の中で妄想にとらわれることが多いし、あるいは、それが妄想だと気づかず、夢だとか希望だとかいうレッテルを貼りたがるものなのかもしれない。いつものアレン監督らしいギャグやユーモアにくすりと笑いながら、ついそういうことにも想いが飛んでいく。
ファンタジー色が強かった『ミッドナイト・イン・パリ』のほうが先に日本公開されたが、制作順はこっちが先で、来年はローマを舞台にした新作の公開が待たれている。ニューヨーク大好き人間のアレン監督だが、しばらくはヨーロッパ周遊なのだろうか。でも、場所がどこになろうとも、恋をめぐるアタフタ感、ちょっぴり斜に構えた皮肉っぽさ、宇宙の中では小さくても、本人たちにとっては大きな意味を持つ日常の機微などをブレンドした物語を届けてくれるに違いない。(宮田 彩未)
公式サイト⇒ http://koino-london.jp/
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