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『復活 尾崎豊 YOKOHAMA ARENA 1991.5.20』

 
       

       
作品データ
制作年・国 2012年 日本
上映時間 1時間36分
監督 総合プロデュース:須藤 晃 企画・製作:ソニーPCL株式会社 制作協力:ソニー・ミュージックレコーズ、アイソトープ 協力:SSPインターナショナル 配給:東宝映像事業部
出演 尾崎豊他
公開日、上映劇場 12月1日(土)より、TOHO シネマズ 日劇ほか全国ロードショー 〈2週間限定公開〉

~伝説のライブで甦る尾崎豊”魂の歌声”~

ozaki-1.jpg 伝説のシンガーソングライター、尾崎豊が急逝してから早20年が経ってしまった。そして今、彼の最後の”伝説”と呼ばれるライブをスクリーンで観ることができる喜びに浸っている。83年に『十五の夜』でデビュー以来、10代若者の青春の痛みや憤りを代弁する曲の数々に同世代のカリスマとして圧倒的な支持を得た尾崎豊。92年若すぎる死を遂げるまでほとんどテレビ出演することもなく、少女マンガのヒロインが憧れる不良少年のように寂しげで美しいモノクロの横顔が、私の中の”尾崎豊”像だった。でも、彼はライブで顔をクシャクシャにしながら微笑み、叫び、自らが生み出した歌を歌うことで全てを表現していたのだ。

 88年の東京ドーム公演後、2年半の紆余曲折を経て二枚組のニューアルバム『誕生』と共にファンの前に帰ってきたツアー’birth live’より、91年5月20日に行われた初日の横浜アリーナライブ収録映像からフィルムコンサート用に厳選された珠玉の12曲が収められた本作。ピンと張りつめた緊張感の中、ライトを背に現れた尾崎が「久しぶりだね」と満席の観客に語りかける。白いジャケットとジーンズ姿で颯爽と現れた尾崎は、笑みをこぼしながら、ありったけの力を歌に込め、2曲目が始まる頃には汗だくだ。間奏ではエレキギターとセッションしたり、あっという間に観客の近くに走り寄り、熱狂する観客とのコミュニケーションを心から楽しむ。そんな喜びと躍動感溢れるアーチスト尾崎豊のライブを初めて体感した感動が押し寄せるのだ。

ozaki-3.jpg 舞台上を走り回りシャウトする激しいロックナンバー(「DRIVING ALL NIGHT」他)から、じっくり聞かせるバラード(「卒業」、「I LOVE YOU」他)、時には舞台劇のようなパフォーマンスを見せたり(「FREEZE MOON」)、バンドや客席を煽ったり、抑えたりする抑揚をつけ、ライブの中心で自由に輝く尾崎。そして改めて彼の詞をじっくり聞き込むと、安易に愛を語るのではなく、常に自分と対峙し、生まれてきた意味を問うストイックな姿勢が浮かび上がる。人一倍傷ついたからこそ生まれた詞の純粋さと、その詞を噛みしめるように歌い込む姿勢が、尾崎豊の魅力だと改めて気付かされるだろう。

 決して饒舌ではない尾崎がライブ最後に観客に語りかけた言葉は、いろんな困難に直面している現在の日本人へのメッセージのようにも聞こえる。青春の葛藤を表現してきた尾崎は、生まれてきたことに意味があり、それを次の世代に伝えたいと最後の曲としてニューアルバムより「誕生」を歌い、生きる希望と喜びを表現した。胸の奥を掴まれるような歌声と、嘘のない真実の歌詞は、これからも尾崎を愛してやまない世代のみならず、新しく若い世代を魅了していくことだろう。そして是非とも、生身の尾崎豊が映し出されたこのライブに出会ってほしい。(江口 由美)

<セットリスト>
1.「FIRE」
2.「DRIVING ALL NIGHT」
3.「十七歳の地図」
4.「僕が僕であるために」
5.「きっと忘れない」
6.「卒業」
7.「FREEZE MOON」
8.「永遠の胸」
9.「太陽の破片」
10.「誕生」

~アンコール~
11.「I LOVE YOU」
12.「シェリー」 

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