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『ウォリスとエドワード 英国王冠をかけた恋』

 
       

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作品データ
原題 W.E.
制作年・国 2011年 アメリカ 
上映時間 1時間59分
監督 マドンナ 脚本:マドンナ、アレック・ケシシアン
出演 アビー・コーニッシュ、アンドレア・ライズブロー、ジェームズ・ダーシー、オスカー・アイザック、リチャード・コイル、デビッド・ハーバー
公開日、上映劇場 2012年11月3日(土)~新宿バルト9、TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都、シネ・リーブル神戸 ほか全国ロードショー


~“世紀の恋”に学ぶ女の幸せ~
 

 WE-2.jpg皇太子とのめくるめく恋の末に結ばれるなんておとぎ話のようだが、それが、愛を貫くために王位を捨てるとなると、王族としての責務放棄でバッシングの的となる。『英国王のスピーチ』で主人公となったジョージ6世の兄エドワード8世(現エリザベス女王の叔父にあたる)と、2度の離婚歴のあるアメリカ人女性ウォリス・シンプソンとの世紀の恋は、そうした複雑な事情が絡み合い、単純に幸せな恋物語としてくくれないものがある。それをあのマドンナが、現代に生きる苦悩の人妻ウォリーを通して、ウォリス・シンプソンの当時の心境を浮き彫りにし、女性にとっての本当の意味での幸せとは何かを現代人に投げかけている。

WE-3.jpg 高名な精神科医の夫とニューヨークに暮らすウォリーはある悩みを抱えていた。子供を授かろうと不妊治療を始めるが、夫は協力するどころか嫌悪感を示す。夫とはセックスも会話も波長が合わず気まずい日々を送っていた。夜家を空けることが多くなった夫、孤独に打ちひしがれるウォリー。そんな時、ササビーオークションにかけられる前の『ウィンザー公爵夫妻展』に出合う。ウォリスとエドワードが使用した「W.E.」というイニシャル入りの食器やリネンやアクセサリーなどを、ウォリーがひとつひとつ手に取る度にウォリスが生きた過去へと誘ってくれる。

 ウォリスの、最初のDV夫との不幸な結婚、二度目の結婚で得られたイギリスでのハイソな生活。そして、エドワード皇太子との出会い。不倫関係の果てに、国王に就いたエドワードはわずか11か月で退位、さらに国外追放、ナチスに利用されようとしたり、ヨーロッパの王侯貴族からは無視されたり、結婚後のふたりの関係など、ウォリスの立場で語られる。

 WE-4.jpg快活でスポーツマンで社交的な上にハンサムなエドワード8世は、イギリス国民にとってもアイドル的存在だったろう。それが、離婚歴のある大して美人でもないアメリカ人女性と結婚するなんて、王族は勿論、国民感情としては決して許容できることではなかったに違いない。国をひっくり返すような大スキャンダル、それはイギリス国民を敵に回したり、愛する人を窮地に追いやってまでもウォリスが強く望んだことだったのだろうか。モテモテのプレイボーイだったとはいえ、そこは“ぼんぼん”のエドワードが強引に進めたこともあったのではないか。ウォリスは本当に幸せだったのだろうか? 現代に生きるウォリーがウォリスの心の内をたどる旅は、女性として生きる真の幸せの方向性をも指し示しているようで、とても興味深い。

 イギリス王族の豪華絢爛の社交風景や、カトラリーやインテリア、ファッションに至るまでのマドンナのビジュアルセンスの良さにもご注目。ウォリスを演じたアンドレア・ライズブローとウォリーを演じたアビー・コーニッシュの繊細な演技は、愛を希求するがゆえの苦悩を美しく体現していた。この秋オススメのロイヤルラブストリー。(河田 真喜子)

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