制作年・国 | 2012年 日本 |
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上映時間 | 1時間30分 |
監督 | 平林克理 |
出演 | 小池栄子、ワン・チュアンイー、深水元基、山城智二、平良進、吉田妙子 |
公開日、上映劇場 | 2012年10月20日(土)~テアトル梅田、ユナイテッドシネマ岸和田、ユナイテッドシネマ大津 にて公開 |
~夫婦とはこうやって育っていくのだな…~
バリキャリ女子や婚活女子、そして草食男子ひしめく昨今、「夫婦」「家族」の在り方をまじまじと魅せつける、“ペンギン夫婦”の愛の形にこの秋、胸ときめかない人はいないだろう。
食べるラー油の原点“石垣島ラー油”を作った辺銀(ペンギン)夫婦の実話をもとにした本作で、なんとも光輝く小池栄子の存在感。中国人と国際結婚をし、彼の務める会社が倒産すれば、「ラッキー」と明るい笑顔を見せ、「気晴らしに石垣島へ行こう!」と提案するおおらかさ。マイナスをプラスの発想に転換し「大丈夫、大丈夫」といつも側でエールをくれる人がいれば、なんだかそれだけで元気になれる、頑張れそうな気がしてくる……。女性からも、そして男性からも「一緒にいたい!」と思わせる妻・歩美を見事に好演している。
そして夫・ギョウコウを演じたワン・チュアンイー。日本映画初作品でのたどたどしい日本語が、かえって一生懸命に妻を愛する姿にリアリティーを与え、ふたりのやりとりを見ているだけでも“ほっこり”笑顔が湧いてくる。
さらに、この映画のもうひとつの主役“石垣島ラー油”と“料理”の数々。ふたりが“ラー油作り”という共通の夢に向かうひたむきさや、熱々の餃子をひとつのテーブルを囲んでハフハフいいながら頬張る姿は、確実にゴクリ!と唾をのむはずで、と同時に、「夫婦って同じ物を食べ、同じ夢を持つことが大切なのかもしれない」そんな気づきを与えてくれる。
石垣島と、そこに住む温かな人々の存在も素晴らしい。どこまでも続く広い海、青い空。どんな人でも受け入れてくれる人々の優しさが、ペンギン夫婦を作りあげるための“スパイス”になっている
そして“ペンギン”という名前に隠された秘密を知った時、私たちは優しい涙と一緒に、本作を観る前よりちょっとだけ“愛”を理解していることを知るだろう。「食欲の秋」はもちろん、人恋しい秋深まるこの時期だからこそ、どんな高級料理よりも、温かく、優しい「美味しい愛の味」をたっぷりと堪能してみてはいかがだろう。
(木村 友美)
公式サイト⇒ http://www.penguinfufu.jp/
(C)2012「ペンギン夫婦の作りかた」製作委員会