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『カルロス』

 
       

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作品データ
原題 CARLOS
制作年・国 2010年 フランス 
上映時間 5時間39分(第1部:1時間44分,第2部:1時間52分,第3部:2時間03分)
原作 (2011年1月8~10日のWOWOW放映時は「コードネーム:カルロス 戦慄のテロリスト)
監督 オリヴィエ・アサイヤス
出演 エドガー・ラミレス,アッマード・カーブル,ファディー・アビー・サムラ,ロドニー・エル・ハッダード,タラル・エル=ジョルディ
公開日、上映劇場 監督:出演:2012年9月1日(土)~渋谷シアターイメージフォラム、吉祥寺バウスシアター、大阪 シネ・ヌーヴォ にて公開


~孤独で侘びしげな姿を残して消えていく~

 1973年パレスチナ解放人民戦線に自分を売り込んだ男がいた。カルロスというコードネームを持つ実在の国際テロリスト,イリイッチ・サンチェスだ。本作は,彼が1994年に逮捕されるまでの20年余にわたる生き様を描いていく。フィクションだが,監督は,史実や報道に基づき,徹底して写実的な映像を積み重ねていく。現実に発生した事件が展開し,アラファト議長ら実在の人物の映像が挿入される。やや荒削りだが,迫真性に満ちている。

carlos-2.jpg 第1部。日本赤軍が1974年9月にハーグでフランス大使館を襲撃したときは,これを支援する。オルリー空港でのイスラエル機に対する砲撃にも関与する。テンポ良く展開するアクション・シーンに非日常の世界に引きずり込まれてしまう。フランス国土監視局の警察官がトゥーリエ街のアジトにやって来た場面では,一触即発のサスペンスに目が離せない。このときカルロスは警察官2名を殺害するが,20年後にその報いを受けることになる。

 第2部。血気盛んな若者がパレスチナの大義のために命を懸け,冷徹なテロリストに変ぼうしていく。西ドイツ革命細胞の同志と共にウィーンのOPEC本部を襲撃してアラブ諸国の石油相らを人質に取る。オーストリアを航空機で脱出するが,リビア国内への着陸を拒否されるなど,うまく事が運ばない。各国の思惑に振り回され,四面楚歌のような状況に陥るだけでなく,仲間内でも対立が生じる。その後,彼は新しい道を模索することになる。

carlos-3.jpg 第3部。ソ連のKGBや東独のシュタージ等と接触して,まるで傭兵のような職業テロリストとして活動する。見張りや尾行をするハンガリー警察に苛立ち,ハエを払うような感覚で発砲するシーンがある。孤高というより孤独という言葉が相応しい,カルロスの内面を反映したような行動だ。1989年11月9日ベルリンの壁が崩壊し,CIAでは骨董品と評価され,彼の戦いは終わる。スーダンで隠れ住む彼の姿には侘びしさが纏い付いていた。(河田 充規)

公式サイト⇒ http://www.carlos-movie.com/
 (C)Film en Stock / CANAL+ / Photographe : Jean-Claude Moireau

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