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『ボーン・レガシー』

 
       

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作品データ
原題 The Bourne Legacy
制作年・国 2012年 アメリカ 
上映時間 2時間15分
監督 トニー・ギルロイ
出演 ジェレミー・レナー、エドワード・ノートン、レイチェル・ワイズ、ジョアン・アレン、アルバート・フィニー、デヴィッド・ストラザーン、スコット・グレン
公開日、上映劇場 2012年9月28日(金)~TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー


~国家によって最強の暗殺者に改造された男の孤独な戦い~

bonlega-2.jpg たった一人で巨大国家と戦うジェイソン・ボーン。自分は何者なのか……次々と襲い掛かる危機、ほんのひと時恋人との幸せな時間を過ごすが、それすら容赦なく奪われる。そんな孤独な男の戦いは、最新作でも悲壮なまでに継承されている。それもそのはず、今回の監督は、“ボーン”シリーズの脚本を手掛けてきたトニー・ギルロイが担当。ジェイソン・ボーンがCIA相手に戦っていた頃、別の極秘計画「アウトカム計画」が同時進行していて、その精鋭であるアーロン・クロスが今回の主人公となる。主演は、『ハート・ロッカー』で一躍注目され、『ザ・タウン』や『M:i4』『アベンジャーズ』でも活躍したジェレミー・レナー。

bonlega-3.jpg 『ボーン・アイデンティティー』『ボーン・スプレマシー』『ボーン・アルティメイタム』と、マット・デイモン扮する“ボーン”シリーズは、主人公の孤独と悲哀を漂わせた展開の読めない緻密なストリーと、ハイスピードアクションに加え、世界各国でのロケーション撮影と、それまでのアクション映画のイメージを変える程のスケールの大きな作品となった。地中海で瀕死の状態で発見されたジェイソン・ボーンは、失われた記憶を取り戻そうとするが、行く先々で命を狙われる。瞬時に超人的な身体能力と知能で危機に対応する。その正体は、CIAの極秘計画「トレッドストーン計画」によって生み出された暗殺者だった。その極秘計画が露見しそうになり、証拠隠滅のため、すべての計画のエージェント抹殺の密命がくだされたのだった。

 最新作では、“ボーン”シリーズのスピンオフ版として、かなり練られた脚本と精鋭な映像で、見る者を圧倒する。まず、厳冬のカナディアン・ロッキーで撮影を敢行したオープニングから目が釘付けになる。体力の限界に挑戦するかのように、凍てつく滝つぼにもぐったり、急峻な峰々を身軽に縦走したり、スタントなしで挑戦したジェレミー・レナーの最強のエージェントぶりも、マット・デイモンに負けず劣らずシャープで魅力的だ。

bonlega-4.jpg 薬物によって痛みを抑え精神を安定させていたが、半永久的なパワーを得られる薬剤を求めて、同じく証拠隠滅のため命を狙われている医療研究所の医師:マルタ・シェリング(レイチェル・ワイズ)と共にフィリピンはマニラにある製薬工場へと向かう。そこで繰り広げられる逃走劇がまた度肝を抜く迫力。

 必死の逃走劇といえば、サム・ペキンパー監督の『ゲッタウェイ』(‘72)を思い出す。スティーブ・マックイーンとアリ・マッグローがマフィアから大金を奪って逃走する。追撃の手を逃れながら疑心暗鬼になっていた二人が悲壮なまでの逃走の果てに信頼を取り戻す。そのラストシーンも、なんとなく本作と重なり、Mobyが歌う主題歌「Extreme Ways」が切なく心に響く。ノンストップ・アクションだけが見所ではない。フッと彼女に示した愛情を滲ませる短いショットにこそ、アーロン・クロスの悲哀が凝縮されているようだ。「アクションのための映画ではなく、物語の展開上にアクションがある映画を作りたい。」というトニー・ギルロイ監督の意図を実感した瞬間だった。(河田 真喜子)

公式サイト⇒ http://bourne-legacy.jp/
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