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『バレエに生きる~パリ・オペラ座のふたり~』

 
       

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作品データ
原題 Une Vie de Ballets
制作年・国 2011年 フランス 
上映時間 1時間39分
監督 マレーネ・イヨネスコ
出演 ピエール・ラコット,ギレーヌ・テスマー
公開日、上映劇場 2012年9月8日(土)~Bunkamura ル・シネマ、10月13日(土)~梅田ガーデンシネマ、10月27日(土)~京都シネマ、2013年シネ・リーブル神戸 にて公開


~これこそ正に“時空を超えたガラ公演”~

 パリ・オペラ座バレエ団出身で振付家のピエール・ラコット(1932年生)と同バレエ団元エトワールのギレーヌ・テスマー(1943年生)。1968年に結婚した2人が語る人生の軌跡は,バレエへの愛と生命の輝きに満ちている。ラコットはテスマーの才能と美しさに魅了され,テスマーは豊かな経験と知識を備えたラコットを人生の師と仰ぐ。2人のバレエとの出合い,オペラ座退団の契機,その後の活動等が豊富なバレエ映像を交えて綴られる。

ballets-2.jpg ラコットは,7歳でセルジュ・リファールとリセット・ダルソンバルの「ジゼル」に衝撃を受け,バレエしかないと心に決めた。彼がオペラ座を辞めるシーンでは「エギヤージュ」(1955)が心象風景のように映される。そして,彼はシドニー・ペシェ作曲の「夜は魔法使い」(1954)等を踊る。また,エディット・ピアフと出会って「声」が生まれた。不幸な若者が声に導かれる話で,ピアフが生前に録音していた歌が効果的に使われている。

 テスマーは,14歳でソ連のバレエ映画を観てガリーナ・ウラノワの虜になり,バレエの美,ダンス表現の醍醐味を発見して身を捧げようと思った。ラコットが復元した「ラ・シルフィード」が2人の転機となる。テスマーは1972年オペラ座に入団し,「ハムレット」(1976)でオフィーリアの彷徨う魂を体現する。「椿姫」(同)のマルグリットの儚さと一途さには胸を打たれ,「ジゼル」(1977)で狂乱のうちに倒れるシーンが目に焼き付く。

ballets-3.jpg ラコットは,1976年の引退公演「ル・パピヨン」で新エトワールのドミニク・カルフーニと踊る。その息子マチュー・ガニオがテスマーの指導を受けるシーンもある。彼女は踊りを楽しむことを伝えられたら最高に幸せだという。その彼女はNYでバランシンの指導を受けて役の解釈を掘り下げられたそうだ。練習風景が映像に残っている。当時74歳のバランシンは驚くほど精力的で仕事を愛する謙虚な人だったと,ラコットがコメントしている。

 ラコットも精力的だ。モナコのカロリーヌ公女からバレエ団の再建を要請され,モンテカルロが舞台の「ある女の24時間」を創作する。ゆったりと満ち足りた気分になれる作品だ。ラコットによる復元版「ファラオの娘」(2000)のザハロワとフィーリン,「パキータ」(2001)を踊るルグリとデュポンに惹き付けられる。渋谷はBunkamuraの“エトワール・ガラ”で世界初演の「メリー・ウィドー」(2008)と「三銃士」(2010)も見逃せない。 (河田 充規)



公式サイト⇒ http://www.alcine-terran.com/ballet/

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