制作年・国 | 2012年 日本 |
---|---|
上映時間 | 2時間9分 |
監督 | 北川悦吏子 プロデュース:岩井俊二 |
出演 | 中山美穂、向井理、桐谷美鈴、綾野剛、アマンダ・プラマー |
公開日、上映劇場 | 2012年10月6日~全国東映系ロードショー |
~折れたヒールが呼び寄せた、パリ3日間の恋~
私もよく街で転んで一人恥ずかしい思いをするのだけれど、こんな風に見知らぬイケメン男子が声をかけてくれ、しかも折れたヒールをさっと応急処置までしてくれたら、恋が生まれる予感を感じずにはいられないだろう。ラブストーリーの神様、北川悦吏子がメガホンをとる憧れのパリを舞台にした3日間の恋物語。恋愛の喜びも痛みも知ったオトナ女子にも、バッチリと胸キュンの魔法をかける手腕は健在だ。
パリ在住のフリーランスライター、アオイ(中山美穂)と、妹スズメ(桐谷美鈴)の付き添いでパリに来たもののスズメに置き去りにされたカメラマンのセン(向井理)。ヒールが折れたことがきっかけで出会った二人が過ごしたパリでの生活、明かし合うお互いの過去、そして別れの時間まで互いの気持ちを静かに示しながら大事に過ごす様子がナチュラルに綴られる。
作品全編をやわらかい光と心地よいピアノの音色が包む中、アオイを地でいきそうな現役パリジェンヌの中山美穂が、イースター時期のパリ日常生活を気負わない自然な立ち振る舞いで魅せる。また、ホテルの場所が分からないセンを電話でアオイがナビゲートするシーンでは、センを演じる向井理が電話片手に凱旋門からホテルまでの観光コースを散策。センの視線で初めてのパリを楽しめる仕掛けも心憎い。最初は年の差を気にする素振りを見せていたアオイをさらりと受け入れるセンの王子様ぶりに、観ているこちらがとろけてしまいそう。
アオイの家で2人がワインを片手に交わす何気ない会話や、お互いの気持ちを確かめるようなシーンでは、大人の恋心を絶妙のさじ加減で描写。少しずつ距離を縮める2人の言葉にできない気持ちが、繊細な視線や仕草から切ないぐらい伝わってくる。パリ在住の恋人カンゴ(綾野剛)に重大な告白をするためパリに来たスズメが、若さゆえに自分の気持ちを押し付けてしまうのとはまさに対照的だ。3日間限定だからこそ、エッフェル塔と共に永遠にパリの素敵な思い出となるアオイとセン。物理的に一緒にいるだけがハッピーな恋ではない。「新しい靴を買わなくちゃ」とつぶやいた言葉を覚えていてくれたと実感できるなら、それも一つの“永遠の恋”なのだ。(江口 由美)
公式サイト⇒ http://www.newshoes.jp/
(C)2012「新しい靴を買わなくちゃ」製作委員会