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『ユナイテッド  ミュンヘンの悲劇』

 
       

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作品データ
原題 United
制作年・国 2011年・イギリス
上映時間 1時間34分
監督 ジェームズ・ストロング
出演 デイヴィッド・テナント、ジャック・オコンネル、サム・クラフリン、ダグレイ・スコット
公開日、上映劇場 2012年7月7日(土)~シアターN渋谷、新宿K’sシネマ、 7月14日(土)~梅田ガーデンシネマ、T・ジョイ京都、他全国順次公開

~マンチェスター ユナイテッド、不屈のチーム再建

 

 今年6月の香川真司選手の入団で、サッカーファンならずとも一躍その名を知ることとなった“マンチェスター・ユナイテッド”。イギリス中部にあるロンドンに次ぐ都市・マンチェスターにある世界トップクラスのサッカークラブである。あのデヴィッド・ベッカムをはじめ、エリック・カントナ、クリスティアーノ・ロナウド、マイケル・オーウェンなどのスター選手が活躍し、世界一ファンが多いクラブとしても有名である。数々の輝かしい記録が証明するマンUだが、54年前の1958年2月に、遠征帰りのミュンヘンでチャーター機が離陸に失敗、主力選手8名クラブ関係者3名の犠牲者を出すという悲劇を経験している。この映画は、ヘッドコーチや選手たちが、並々ならぬサッカーへの情熱とクラブチームとしての責任を果たすべく、「ミュンヘンの悲劇」から不死鳥のように蘇えった感動のトゥルーストリーである。
 

 チーム歴代第1位の249ゴールを誇るボビー・チャールトン(ジャック・オコンネル)も、入団後3年間は下積み生活を送っていた。目指すは史上最年少でイングランド代表入りし、チームのエースMFダンカン・エドワーズ(サム・クラフリン)。ヘッドコーチのジミー・マーフィー(デイヴィッド・テナント)の指導の下続けた地道な努力が実り、スタメンに抜擢されるや否や2点ゴールを奪うという活躍ぶりを見せる。チームも快進撃する最中、悲劇は起こった。
 

united-2.jpg ヨーロッパチャンピオンズカップより国内のプレミアリーグを優先させるFAからの指示で、吹雪の中帰国を強行せざるを得なかったのだ。奇跡的に軽傷で済んだボビーだったが、憧れのダンカンをはじめ主力選手8名が亡くなったショックで実家に引きこもってしまった。重傷を負ったマット・バスビー監督(ダグレイ・スコット)に代わり、本国にいたジミー・マーフィーがチーム再建に尽力することになる。クラブ閉鎖の意向を示すオーナー理事会と対立するジミー。「今こそ存続を!……あの惨事には負けない。何があってもチームを再建する!」という熱意がサッカーファンにも届いたのか、激励の手紙と共に多くの寄付金が寄せられ、イギリス各地から選手が集められ、事故後わずか13日で試合に復帰するという偉業を成し遂げる。
 

 その後、サッカーへの情熱を捨てきれずにいたボビーが復帰し、バスビー監督が復帰する頃には、かつてのマンUのような快進撃が始まっていた。そして、再びサッカー界の歴史に数々の金字塔を刻むこととなる。
 

 「サッカーが好きだろう?自分のためだけでなく、きつい労働を終えてスタジアムに応援しに来てくれるファンのために、最高のプレイを見せよう!」というジミーの言葉には、サッカーというスポーツが持つ責任の重大さを感じさせる。ピッチに立つことを夢見て日々努力する無数のサッカープレイヤー。世界で一番人気のスポーツであり、プレイ人口も世界一。その頂点に立つようなトップクラスのマンUに、このような悲しい歴史があったとは―。「なぜ監督にならないのか?」という問いに、「政治力がないからさ」と答えたジミー。そう、選手と一緒にボールに触れ、勝利につながるプレイをひたすら磨くコーチの方が性に合っていたのだろう。そんな控え目なジミーが見せた「決して諦めない姿勢」は、私たちの心を熱くするだけでなく、粘り強く努力する先にある栄光をも共有させてくれるようだった。

 (河田 真喜子)

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