© 2011 EuropaCorp - Left Bank Pictures - France 2 Cinema
原題 | The Lady |
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制作年・国 | 2011年 フランス・イギリス |
上映時間 | 2時間13分 |
監督 | リュック・ベッソン |
出演 | ミシェル・ヨー、デヴィッド・シューリス |
公開日、上映劇場 | 2012年7月21日(土)~角川シネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、梅田ブルク7、神戸国際松竹、T・ジョイ京都 ほか全国ロードショー |
~“鋼鉄製の蘭”を支えた家族の愛~
アウンサンスーチ―。そのひとの名を新聞などで目にするたびに、長きにわたって拘束と自宅軟禁を強いられながらも、毅然として青空を見つめている晴れやかな姿が浮かんでいた。その彼女が、2010年に軟禁を解かれ、今年はビルマ出国も叶い、自らは出席できなかったノーベル平和賞受賞式の感動をかみしめるようなシーンもあった。
“ビルマ建国の父”と呼ばれた国民的な英雄アウンサン将軍の娘として生まれ、抜きん出た知性と輝くような美貌、父の遺志を受け継ぐ強い精神力とカリスマ性により、“鋼鉄製の蘭”と称され、民主化運動のリーダーとなるスーチ―。だが、それを快しとしない軍事政権にとっては、目の上のたんこぶ。言論の自由や人権が荒々しく踏みにじられたビルマで、不屈の使命感を胸に闘い続けた彼女と、それを支えた家族の歴史を、リュック・ベッソン監督が直球勝負で描いた意欲作である。
この映画の最大の見どころは、何といっても、スーチ―を全身全霊で演じたミシェル・ヨーの強烈な存在感だ。女優ならば当たり前のことだろうが、ご本人の演説映像などを繰り返し見て、しゃべり方や立ち居振る舞いなどじっくり研究したそうで、実によく似ている。それなのに、TVのインタビュー番組に出演していたヨーを先日見て、それほど似た顔ではないなと思う。この辺が、女優の、女優たる証なのだ。
一方、英国人の夫・マイケル役のデヴィッド・シューリスは、終始、疲れを溜め込んだような表情をしている。病気もあるが、支え続ける人の苦労をにじませているかのよう。妻と一緒に闘う覚悟を語るマイケルの言葉にはしみじみと打たれ、出席できないスーチーに代わって、長男がノーベル平和賞受賞式でスピーチを行う場面では涙がぽろり。スーチーに信じられないほどの強さを与えたのは、運命的とも言えるきずなで結ばれたマイケル、そして、息子たちの存在だったのだと感じさせられる。(宮田彩未)
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