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『桐島、部活やめるってよ』

 
       

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作品データ
制作年・国 2012年 日本
上映時間 1時間43分
原作 朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』集英社文庫
監督 吉田大八
出演 神木隆之介、橋本愛、大後寿々花、清水くるみ、山本美月、東出昌太、前野朋哉、太賀 他
公開日、上映劇場 2012年8月11日(土)~新宿バルト9、梅田ブルク7、TOHOシネマズなんば、109シネマズHAT神戸、T・ジョイ京都他全国ロードショー

~「桐島」に振り回される!衝撃の学園エンターテイメント~

 『桐島、部活やめるってよ』というタイトルを聞いただけで、ここまでの大騒動が待っているとは予想もできないだろう。今年の直木賞にノミネートされた朝井リョウのデビュー作を映画化した青春群像劇。『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の吉田大八監督が文化部、運動部、帰宅部らが入り混じるリアルな高校生活や彼らの人間模様を斬新な手法で炙り出す。神木隆之介をはじめ、『告白』の橋本愛や、『SAYURI』の大後寿々花などフレッシュな顔ぶれにも注目だ。

kirishima-2.jpg ある公立高校に衝撃が走った。金曜日、バレー部のキャプテン桐島が部活をやめるという噂が広まり、当の本人がいなくなったのだ。彼女の梨紗(山本美月)にも連絡がなく、仲よしグループの女子たちも動揺する。桐島が一緒に帰っていた帰宅部仲間や、バレー部仲間にも波紋が広がる中、映画部の前田(神木隆之介)は、映画コンクール一次選考突破したことをきっかけに相棒の武文(前野朋哉)と屋上で新作の撮影をはじめる。そこに吹奏楽部部長の沢島(大後寿々花)が練習と称して立ちはだかって・・・。

 バレー部の要で人気者の桐島が恋人にも告げずいなくなった金曜日を様々な登場人物の視点で、少しずつ時間をずらし、リンクさせながら描いていく。桐島不在のまま登場人物たちがどんどん焦りを募らせ、人間関係まで変化していき、クライマックスの高揚感を生み出すのだから、ワンシーン、ワンシーンが見逃せない。

 面白いことに、桐島と全く関係のなかった映画部の前田たちが次第に巻き込まれる一方、桐島を待つために校舎裏でバスケをするのが日課だった帰宅部連中は、「なぜバスケをしていたのか」と改めて自問をする。また桐島というエースの影にいた補欠選手は、周りの期待に応えられず、部員の不満を浴びることとなる。 “不在”が生み出す波紋から、彼らそれぞれが本当に対峙するものが浮かび上がってくるのだ。

kirishima-3.jpg 神木隆之介と前野朋哉演じる映画部コンビの学内でけげんな顔をされながら、ひたすら新作撮影に没頭する映画少年ぶりがコミカルで異彩を放つ。そんな映画部が屋上で撮影準備をする中、「おい、桐島きてるっぽいぞ!」という噂が登場人物全員をクロスさせるクライマックスはまさに圧巻。同じ部や同じクラス、同じ友達グループでなければ交わることのない名前だけの「同級生」が衝突し、言い合い、正面からぶつかる姿こそ、得難い青春の一コマなのだ。ミステリーかと思いきや、予想外の展開が待ち受ける青春群像劇にすっかり心を掴まれた(江口 由美)

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©2012「桐島」映画部 ©朝井リョウ/集英社

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