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『セブン・デイズ・イン・ハバナ』

 
       

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作品データ
原題 7 dias en La Habana
制作年・国 2012年製作 フランス・スペイン 
上映時間 2時間09分
監督 ベニチオ・デル・トロ、パブロ・トラペロ、フリオ・メデム、エリア・スレイマン、ギャスパー・ノエ、フアン・カルロス・タビオ、ローラン・カンテ
出演 ジョシュ、ハッチャーソン、エミール・クストリッツァ、ダニエル・ブリュール、エリア・スレイマン、オテロ・レンソリ、ミルタ・イバラ、ナタリア・アモーレ
公開日、上映劇場 2012年8月4日(土)~ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、8月18日(土)~シネ・リーブル梅田、9月8日(土)~シネ・リーブル神戸にて全国順次ロードショー。


~多種多彩な7日間のドラマが紡がれる短編集~

 キューバの首都ハバナ市を舞台にした7話オムニバス映画。曜日ごとに分けて7日間の各エピソードを月曜から順番に、監督、出演陣を変えて描いたものである。この手のアンソロジーはこれまでに多数輩出されており、統一テーマを設けて各話が描かれるが、本作はタイプ別としては都市・場所をポイントにした短編集だ。

7days-2.jpg 但し、東京やニューヨークなどの大都会とは違い、ハバナはどちらかというとリゾート地のイメージがあり、いわゆるビジター映画としても映える環境にある。だから、本作はビジターものとネイティブものを各3話ずつバランス良く配置し、三角関係の恋愛ドラマでは、ビジターとネイティブをリンクさせるという作りを採っている。しかも、アート系の映画からドキュメンタリー・タッチに加え、メロドラマ、家族ドラマなど多彩な7日間が描かれているのだ。ライヴ映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(1999年製作)ほど本格的ではないものの、キューバ音楽がサントラとして全編で流れているのも聞き逃せない。

 さて、オープニングを飾るのは、男優ベニチオ・デル・トロ監督による月曜日「ユマ」。若手の有望株ジョシュ・ハッチャーソンを、ハリウッド男優のビジターとして主人公に据えながら、意外な結末を用意した。第2話の火曜日「ジャム・セッション」は、映画監督エミール・クストリッツァが、ハバナ映画祭に招待されたという設定のドキュ・ドラマ。短編なのに印象的な長回し撮影に特長がある。海辺の2人を影にした版画的長回しは、特に印象的だ。第3話・水曜日「セシリアの誘惑」は、ストレートな三角関係ラブ・ストーリー。ピアノに乗って女性が歌うエキゾチック・ポップスが、映画的恋愛ムードを盛り上げてくれる。

7days-3.jpg 4話・木曜日「初心者の日記」はジャック・タチ監督の雰囲気がある映画。セリフがほとんどない状況の中、傍観者の主人公が黙ってハバナの人々や風景を見つめる映画である。一体、これは何なんだというところもあるが、映画芸術的な遠近感あるロングショットなどに、見とれてもらいたい作品。5話・金曜日「儀式」はギャスパー・ノエ監督が、セピア照明で光と影を設計した芸術映画だ。そして、6話・土曜日「甘くて苦い」と7話・日曜日「泉」では、ネイティブの話が描かれる。特に6話は、ほかの話とのシンクロが唯一ある話なので注目していてください。 (宮城 正樹)

 


公式サイト⇒http://www.7dayshavana.com
(C)FullHouse / MorenaFilms

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