(C) La Petite Reine- Studio 37-La Classe Americaine-JD Prod -France 3 Cinema-Jouror Productions -uFilm
原題 | The Artist |
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制作年・国 | 2011年 フランス |
上映時間 | 1時間41分 |
監督 | ミシェル・アザナヴィシウス |
出演 | ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン |
公開日、上映劇場 | 2012年4月7日(土)~シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、大阪ステーションシティシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国公開 |
受賞歴 | 2011年・第64回カンヌ国際映画祭主演男優賞、2012年アカデミー賞<作品賞>他最多5部門受賞 |
~今だからこそ、サイレントのメロドラマ~
世は3Dの時代。どんどん技術革新が進む中、何とモノクロのサイレント映画が作られた。わ~っ、映画の原点。活動大写真や! それだけで心がときめいた。と同時に、チャップリン映画ならまだしも、それで長編として持ちこたえられるのかなと余計な心配もした。でも杞憂に終わった。主役のニヤけた顔を目にした瞬間、なぜか安堵感を覚えたから。
サイレントからトーキーへ。1927年、映画界に巻き起こった大激震を背景に、無声映画にこだわるハリウッドの大スター、ジョージ(デュジャルダン)と時代の波に乗る新人女優ペピー(ベジョ)の成り行きが懐かしのメロドラマ風に綴られる。シンプル・イズ・ベスト。それを絵に描いたような展開が非常に心地よい。容赦のない地位の逆転。一世を風靡した者が落ちぶれると、何とも惨め。あゝ、忘れられぬ過去の栄光。そこに言い知れぬペーソス(悲哀)が生まれる。主人公のやつれた姿が、『サンセット大通り』(50年)のグロリア・スワンソン扮する大女優とだぶって仕方がなかった。
ペピーの恋心がいじらしい。彼女が端役に甘んじていたとき、憧れ、尊敬し、愛するジョージのタキシードに自分の腕を通すシーンがある。言葉なんて要らない。映像と音楽だけで見せ切った。「好きよ」「傍にいて」などと陳腐なセリフで喋られると、興ざめしてしまう。この奥ゆかしさがたまりまへん。ぼくは陶酔し、もうメロメロになった。とりわけペピーのトロンとした大きな瞳が素晴らしい。ほんま、ヤバイほどの名場面でしたわ。
サイレント映画へのオマージュ(憧憬)。なので、往年の名作のパクリが散りばめられており、思わずニヤリとさせられた。確かにオリジナリティーには欠けるが、それでも観させる。時代がかった演出、愛犬アギーの巧演、絶妙な「音」の使い方、フィナーレの弾けるような高揚感……。どれも堪能できた。これがフランス映画というのがまたうれしい!(武部 好伸)
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(C) La Petite Reine- Studio 37-La Classe Americaine-JD Prod -France 3 Cinema-Jouror Productions -uFilm