(C)2012『ももへの手紙』製作委員会
制作年・国 | 2012年 日本 |
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上映時間 | 2時間 |
監督 | 沖浦啓之 |
出演 | 美山加恋、優香、西田敏行、山寺宏一(声の出演) |
公開日、上映劇場 | 2012年4月21日~大阪ステーションシティシネマ、梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、OSシネマズミント神戸、MOVIX京都他全国ロードショー |
受賞歴 | 第16回ニューヨーク国際児童映画祭長編大賞 |
~瀬戸内の島と妖怪たちが、父なき少女を温かく包む感動ファンタジー~
ゆったりとした島の風景や人々の暮らしぶりに、懐かしさとぬくもりを感じる情緒豊かなファンタジーが誕生した。『人狼 JIN-ROH』でセンセーションを巻き起こした沖浦啓之監督が瀬戸内海の小島を舞台に生み出したのは、東京から島へ移り住むことになった少女の物語。喧嘩したまま帰らぬ人になった父、忙しくて自分を顧みてくれない母と向き合うまでを、ちょっと愉快な“友達”との交流を散りばめながら温かく描いている。
昔ながらの営みが続いている島の風景や、人々の暮らしぶりを心地よく眺めていると、祖母宅の屋根裏で箱に納められた妖怪本をももが開いてしまう。ここで話の流れがガラリと変わるのだ。日本古来から描かれてきた姿そのままの奇妙な妖怪たちは、主人公のももが気持ち悪がるのと同様に、一瞬気持ち悪さがよぎるが、案外愛嬌があって茶目っ気たっぷり。母が忙しく働き、孤独なももにとって、世話を焼かざるを得ないこの妖怪三人組は最初は厄介だったけれど次第に家族のような放っておけない存在になっていく。純粋なももだからこそ育めるいたずら好きな妖怪たちとの交流が微笑ましく、本作ならではの味わいを醸し出す。
クライマックスでは、ももの母への強い気持ちと妖怪たちの底力をみせる力強いエピソードとして、暴風雨の中、隣島への大橋を渡るシーンが登場。アニメならではのファンタスティックで迫力ある映像にワクワクさせられるだろう。実はももの父親と遠からぬ縁の存在の妖怪たちの計らいは、ももとその家族に小さな奇跡をもたらすのだ。
ももが父に言えなかった想い、父が娘のももに伝えられなかった想い。ずっとももの胸によぎっていた後悔を「手紙」が救う。家族と過ごすその一瞬を大事にすること、そして新しい島での生活で友達を作ったり、未体験のことにもぶつかっていくこと。自分の殻を破って一回り大きくなったももの姿は、観ている者を大いに勇気づけてくれる。そして、ふと思うのだ。パソコンもゲームもない生活をする子どもたちの目には妖怪の姿が映るのかもしれないと。(江口 由美)
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