|
ヨーロッパと日本の交流を図る関西発の映画の祭典「第16回大阪ヨーロッパ映画祭」が開催された。日本未公開の最新ヨーロッパ映画10本の上映に加え、「映画都市・大阪とハンブルク」「フランダースの名優、ヤン・デクレール」という2つの特集上映を実施。その他にも、上映作品にちなんだ各国の料理を提供する映画祭ヴィレッジをオープンするなど、関西らしい特色を盛り込み、映画と人との出会いを盛り上げる。 |
|
20日には、来日した多彩なゲストを迎えての記者会見&オープニング・セレモニーが執り行われ、映画祭名誉委員長を務める『隣人』(スペイン)のベントゥーラ・ポンス、ベルギーの名優『神父ダーンス』『ザ・ヒットマン』『ロフト』のヤン・デクレール、映画祭初登場となるルーマニアからは『両替からはじまる物語』の主演男優、コスミン・セレシら8名が登壇しあいさつを行った。 |
|
スイスのアルプスを舞台にボリウッドの歌と踊りをミックスさせた『タンドリー・ラブ〜コックの恋〜』(スイス)を監督したオリヴァー・ポーラスは、“スイスmeetsボリウッド”という異色の組み合わせについて「インドという国は非常にカラフルで、騒々しくって、まるでカオスのよう。それに比べて、スイスは全てが整然としていて静かな国。もし、インドの人たちがスイスにやってきて、整然としたスイスの生活をグチャグチャに引っかき混ぜたらどれだけ面白いコメディになるのか」という思いつきから着想を得たと話す。 |
「結果的には、インドの影響を受けて、非常にイキイキとしたスイスの一面を引き出せたと思う」と自信をのぞかせ、劇中に登場する料理の数々については「グルメは人を誘惑する要素があり、場合によってはエロティックさも引き出します。インド料理は、スパイシーでおいしいけれど、多くのものが茶系で映像として絵にならないことがある。なので、映画用に、より新鮮な食材を使い、カラフルでイキイキとした味わい、草食性をもたせたのが今回の秘訣です。」と語ってくれた。 |
|
さらに会見で飛び出した、それぞれの作品を通して日本の観客にどういうメッセージを伝えたいかという質問には、『アテネの恋人たち』(ギリシャ)の脚本家、パナヨティス・エヴァンゲリデスは「生きて、自由になって」と話し、ベルギーで大ヒットしたサスペンス『ロフト』に出演する女優のヴェールレ・バーデンスは、「映画では娼婦役だったので、私に言えることは娼婦にならないでということです(笑)」と笑いをさそった。結婚詐欺師の男性の皮肉な運命を描いた『カメレオン』(ハンガリー)に出演するヤノシュ・クルカは、「人は騙してもいけないし、自分も騙してもいけない。自分を偽らず、真実の姿で生きること」、『隣人』のベントゥーラ・ポンスは「他者との関係を通じて自らを見直すということがメッセージです」とそれぞれの思いを口にした。 |
|
さらに、『リトル・ソルジャー』に出演したローナ・ブラウンは「役を演じるときには、なるべく真実に近づきたいと思っています。私が演じたリリーは、国際人身売買のネットワークによって娼婦に身を下ろす女性です。そのために色々なリサーチをして、それを元に真実の人間像を作り上げていきました。」、『両替からはじまる物語』のコスミン・セレシは「僕が演じたのは、仕事も何もかも失った男。どんどん物事が悪い方向へ流れ、人生に色んな変化が訪れるけれど、物の見方によってはすごくラッキーなこともあると伝えたい」、そして、ヤン・デクレールは、「映画は最終的には観客のものなので、私からメッセージはありませんが、ひとつだけ。この映画祭を長年続けてきたパトリス・ボワトー氏に敬意を評したいと思います」と語った。 |
|
『ロフト』上映前に行われたオープニング・セレモニーでは、ヴェールレ・バーデンスが「子供の頃は、『おしん』を見て育ったので、日本に来られて嬉しい」と挨拶。とても親近感のある内容に、一気に会場とゲストの距離が縮まった。その後、ゲストたちがひと言ずつ日本語で「ダイジュウロクカイ/オオサカ/ヨーロッパ/エイガサイの/ニホン/ハツジョウエイを/カイサイシマス!」とオープニングコールを行い、会場を盛り上げた。 |
|
|