【映画祭団長のごあいさつ】
「映画はパスポートなしで国境を越えて、外へと送り出されるために作られます。フランスはたくさんの映画が旅立つ出発地点であり、また、さまざまな外国の映画が迎え入れられる地でもあります。たとえばキェシロフスキ、ハネケ、ホオ・シャオシェン、諏訪敦彦、そしてフリアーズは、最近もフランスで映画を作りました。そう、フランスのために。
しかしそれはフランスが常に生まれ変わり、互いの違いを認めながら開かれてありたいと望み、そして新しいものを求め続ける限りにおいてです。また、わたしたちがUni=結びついて一つになるのは、フランスのためではなく、フランス映画の歴史が私たちに伝えてくれた「自由」と「必然性」の理念、その独立の息吹のおかげです。ルノワールやブレッソン、ヴィゴ、トリュフォー、ゴダール、レネ、デュモンがもしいなかったら、映画芸術はどのようになっていたのでしょうか。また一方で、フランス映画は、他国の偉大なシネアストたち、偉大なまなざしの持ち主たちに触発されてきました。それはたとえば日本の黒澤、溝口、小津、北野、是枝、河瀬、宮崎、黒沢です。彼らが存在しない映画の世界が考えられるでしょうか。
2009年3月に東京で開かれるフランス映画祭は単なる公式行事ではなく、私たちが心から望んだ出会いの場であり、その映画祭を代表することは私にとって本当に嬉しく、誇らしいことです。」
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