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『おとうと』
〜家族の再生を描く、笑いと涙の物語〜
(2010年 日本 2時間06分)
監督・:山田洋次 脚本:山田洋次・平松恵美子
音楽:冨田勲
キャスト:吉永小百合、笑福亭鶴瓶、蒼井優、加瀬亮
2010年1月30日(土)〜梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、 MOVIX京都、神戸国際松竹ほかにて全国ロードショー
★新作紹介⇒こちら
★ 公式サイト⇒ http://www.ototo-movie.jp/ |
『男はつらいよ』シリーズをはじめ、家族のありようを見つめてきた山田洋次監督。寅さんとさくらという、愚かな兄と賢い妹が、本作では、賢い姉と愚かな弟という組合せとなって、新たなドラマが生まれた。音信不通だった弟との再会と別れを描き、今、家族という絆について深く問い直す、山田監督10年ぶりの現代劇。
小さな薬局を営みながら、女手一つで娘を育てた高野吟子を演じた吉永小百合さん、大阪で芸人にあこがれながら破天荒な生き方で何かと問題を起こす吟子の弟、鉄郎を演じた笑福亭鶴瓶さん、吟子の一人娘、小春を演じた蒼井優さん、小春をひそかに思い続けている、小春の幼馴染で大工の長田亨を演じた加瀬亮さんが来阪され、大阪市内で行われた試写会で舞台挨拶が行われた。 |
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最初に、吉永さんが「今からちょうど1年前にクランクインしました。今日は、私の弟、娘、娘の恋人という、とてもいいメンバーで大阪におうかがいすることができて、よかったです。どうぞ楽しくゆっくりとご覧ください」と挨拶。鶴瓶さんが「僕が弟になるということで、大阪の人にはご不満もあるでしょう(会場笑)。僕も、最初聞いた時は、なんで僕が弟なんやろうと思いましたが、観ていただいたらわかるように、最後は完全に弟になっています。現場はすごく楽しかったですし、最後まで楽しみにしておいてください」。 |
続いて、蒼井さんが「この作品は、私にとって念願の山田組の作品です。出来上がった作品を観て、家族に対する考えを改めさせられました。皆さんがご覧になって、何か家族に対する思いが少しでも動いたら、そんな幸せなことはありません」加瀬さんが「今回、山田組は、なかなかなじむことができず、20回以上もNGを出したのは初めてで、本当に知らないことばかりだったのですが、何とか豪華な共演者の方々と一緒にやることができました」と率直な感想を話された。
撮影で訪れた大阪の印象を尋ねられた吉永さんが「通天閣のすぐそばで撮影し、通天閣ってこんなに大きいんだと見上げました。とても庶民的な場所で、もしかしたら、皆さんの邪魔になってしまうのではないかと、ロケに行くのに緊張したのですが、行ってみたら、皆さんとても温かく迎えてくださり、出演もしてくださって、とてもいい雰囲気で撮影できました。何よりも、撮影現場に鶴瓶さんが駆けつけてくださったのが嬉しかったです」と話すと、鶴瓶さんが「僕は、ジャンジャン横丁が初舞台なんです。今はすごくいいところなんですが、昔は少しややこしいところだったので、僕は出番がなかったんですが、何かあったらいかんと思って、行きました。
帽子をかぶって嫁さんと見てたら、近くにいたおっちゃんが、吉永さんを見て、『吉永さゆりや』、『俺と同い年や。言いに行かなあかんわ』とか『いやぁ、きれいやわぁ』と言うてはるんです。吉永さんが喋ると『声も若いわぁ』、『おとうと、鶴瓶やてぇ。鶴瓶も来てンやろうか』と僕のまん前で言うてるんですよ。(会場笑)僕がいてるのを知らないまま、独り言みたいに。だから僕が『来とるでぇ』と言うたら『どこに?』『ここに』『おぉ!』とか言うて、ほんとコントみたいでした。そこにはまだ昭和の時代が残っているという感じで、いい感じで撮影も進み、本当によかったです」と撮影余話を披露され、会場は笑いに包まれた。
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山田組に初参加しての感想を尋ねられた蒼井さんは、「撮影のペースも、監督の演出も、何もかもが私の知らないことだらけで進んでいったので、毎カット、毎カット、緊張して、反省しての繰り返しでした。スタッフも共演者の方々も本当に優しい人たちばかりで、大好きな大先輩たちがいる中で、何もわからないけれど、自由にいろんなことが学べたのが、すごく私にとっては本当に貴重な経験になりました」と感慨深く語った。 |
同じく山田組初参加だった加瀬さんに司会者が同じ質問を向けたところ、鶴瓶さんが加瀬さんをしげしげと眺め「大工の時と違って、今日はけったいな頭やなぁと思うて」とつっこんだ。今、アメリカ映画に兵隊の役として出演中という加瀬さんが、「鶴瓶さんは、現場で、吉永さんと蒼井さんと石田さんに囲まれて、ずっとにたにたして、頬が緩みっぱなしだったんですよ(笑)」と裏話を披露。 |
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鶴瓶さんもあわてて「ちょっと待ってください。加瀬さんは、僕にすごくひがみを持ってると思うんですよ(会場笑)。最初に会った時、加瀬さんは、外でスタッフと一緒に煙草を吸ってたんです。すっかり溶け込んでいるので、加瀬亮とわからなくて、『美術の人?』と聞いてしまいました。日常に溶け込むのがすごく上手いんです。オーラを全部消しますからね」と加瀬さんの魅力をさりげなく話した。
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NGは1回もなく、監督に放ったらかしにされていたという鶴瓶さんについて、加瀬さんが「すごく深刻な顔をしなきゃいけない時に、鶴瓶さんは、目線とかで、ものすごく笑える顔をされるんです」と言うと、鶴瓶さんが「だから皆さん、観ていただいたらわかりますように、僕のそばに吉永さん、石田ゆり子さん、蒼井さんがいて、皆に囲まれた状態で、僕の身体に触れておられるんですね。これで笑わずにいられますか?!もっとNG出せと思いましたよ。(会場爆笑)NG出したら、その時間がずっと延びますからね。カットという声がかかっても、僕は動かなかったんですよ、誰も見てないと思ってたら、蒼井さんだけが見てたんです。最高ですよ、ほんとに。小百合さんのファンは、皆怒ってると思います。タモリさんなんかものすごく怒ってますからね。どこかで誰かに殴られるんじゃないかと思うくらいです」と、お二人のやりとりに、観客はますます大爆笑だった。
司会者がとりまとめをしようとすると、またまた鶴瓶さんが「この人、まだ何も言うてへん。言わしてあげて。俺がとってしゃべっただけで、加瀬亮、しゃべりなさい」と横やりを入れ、照れながらも加瀬さんは「そんなこんなで最初は緊張して挑んだのですが、おかげさまでというか、現場は楽しくさせていただきました」と答えてくれた。 |
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最後に、観客へのメッセージを求められ、鶴瓶さんが「今日、家路につく電車の中とかで、『よかったわぁ〜、おとうと』とか、『もう1回観たいわぁ』とあんまり声を張り上げないで、しゃべってください。この会場の外に出てからでいいですから、ずっと言ってくださいね。今日は1万人の中から選ばれたんですから、ちょっと練習もしといてください。『鶴瓶なかなかやるやん』とかね…」とさらに会場の笑いを呼べば、蒼井さんは「吉永さんが大阪弁をしゃべられますので、それも楽しんでください」と語り、満席の拍手の中、舞台挨拶は締めくくられた。 |
かあちゃんらしく落ち着いた面持ちで、貫禄を感じさせながらも、美しくしなやかな吉永さんと、その傍らで笑顔を絶やすことなく、ずっとキャストの話につっこんでは皆の笑いを引き出していた鶴瓶さん、自分の心と対話しているように、ゆっくりと言葉を選んで語る、シャイな蒼井さん、鶴瓶さんにやりこめられながらも、現場の楽しい話を披露してくれた加瀬さんと、4人が本当に一つの家族のような温かさに包まれていて、満席の観客の方々も本作への期待をますます高くしていたようだった。 |
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