●第17回ヨーロッパ映画祭名誉委員長
ジョアキン・デ・アルメイダ氏 記者会見
18日から23日まで6日間、大阪・肥後橋のイシハラホールで開かれる第17回ヨーロッパ映画祭で名誉委員長を務めるポルトガル出身の個性派俳優ジョアキン・デ・アルメイダ氏(53)が16日、大阪市内のホテルで会見し、映画同様の深みのある笑顔で「日本ポルトガル修好150周年記念」の今映画祭の意義などを語った。アルメイダ氏の出演作品上映は「闇を走れ」(05年ポルトガル、ブラジル)=19日午後2時半、アルメイダ氏が舞台あいさつとトーク。もう1本「忘れ得ぬ女」(07年ポルトガル、ブラジル、20日午後2時45分、22日午後3時半)の2本。
「名誉委員長として招待していただいて、大変名誉なことと思っている。ヨーロッパでもヨーロッパ映画を見るのが困難になってきているので、こうした映画祭で見られることは大変喜ばしい。日本には20年前、“グッドモーニング・バビロン”の時のキャンペーンで来た。スカイビルに登って大阪がどんなに大きな町か分かった。今回は8日間滞在するので、黒澤監督作品などから見えてくる歴史的な日本とは別の日本が見えるのでは、と期待している。クレディットカードが使えず、現金を入手するのに3時間かかったけどね」。
アルメイダ氏はポルトガル・リスボン出身。稼業は薬剤師だったが、首都リスボンへ。国立音楽学院在学中の74年、18歳の時に“カーネーション革命”が起こったため、オーストリア・ウィーンに。その後、ニューヨークでウェイターをしながら俳優の登竜門・アクターズ・スタジオで学び、82年「ザ・ソルジャー」で映画デビュー。87年、タヴィアーニ兄弟監督の「グッドモーニング・バビロン!」がカンヌ国際映画祭のオープニング作品として出品されて一躍脚光を浴び、以後、6カ国語に堪能という国際俳優ならではの特技を生かして欧米を股にかけた国際的活躍。出演作品90本に上る「ポルトガル出身の俳優としては第一人者」(パトリス・ボワトー実行委員長)。
「闇を走れ」では渋い刑事役、アメリカでは映画のほかテレビの人気シリーズ「24」(第3シーズン)で悪役の元締めを熱演しており「俳優としてはいろいろな役に挑戦したいと思う。好い役はキャラクターをよく研究する。悪訳は単調にならないように、面白みのある演技を心がけている。『今そこにある危機』(94年)では女を騙して殺さなければならない役で、後ろから首を絞めるのはどうするのか、と人に聞いた。その結果、抱きしめるようにして殺した。TV『24』では弟を殺すのに涙を流しながら殺して役に深みを与えた」。
「日本映画に出る予定はないが、日本語を話さなくていい役ならやってみたい。たとえば、鉄砲を日本に伝えたポルトガル人の役なら出来る」と話してを笑い振りまいた。
日本―ポルトガルの修好150周年、さらに戦国時代にまでさかのぼると400年。計550年もの長い関係は、中国などアジア諸国を除けば最も古い友好国とも言える。ヨーロッパの中でも、ポルトガル映画の存在感は意外に薄く、101歳のギネス級の長老、マノエル・ド・オリベイラ監督やペドロ・コスタ監督が知られる程度だが、ホアキン委員長のインターナショナルな活躍が新たな関係の突破口になることを期待したい。 |