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記者会見レポート
★『犬飼さんちの犬』 主演:小日向文世 記者会見

(C) 2011「犬飼さんちの犬」製作委員会
『犬飼さんちの犬』 記者会見
ゲスト:小日向文世


(2011年 日本 1時間32分)
監督:亀井亨(『幼獣マメシバ』『ねこタクシー』)
主題歌:「ワン☆ダフル」SEAMO(アリオラジャパン)
出演:小日向文世、ちはる、木南晴夏、池田鉄洋、
    徳永えり、でんでん、佐藤二朗、清水章吾

2011年6月25日(土)〜シネマスクエアとうきゅう、シネ・リーブル梅田、109シネマズHAT神戸、京都みなみ会館他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://inukaisan.info/
 犬嫌いな単身赴任中のサラリーマンが自宅へ戻ったら、なんと大きなサモエド犬が出迎えて・・・主人公と犬との心が通うようになるまでをユーモアたっぷりに、そしてちょっと感動的に描いた『犬飼さんちの犬』が6月25日より全国で劇場公開される。主人公の犬飼さんを演じるのは舞台や映画で活躍する個性派俳優小日向文世。持ち前のスマイリーフェイスが本作で登場するサモエド犬のサモンにそっくりという理由で!?出演依頼されたというから、犬ありきの映画であることは間違いない(笑)。犬飼さんこと小日向文世さんから、その素顔やサモンとの撮影秘話、自宅で飼っている愛犬きなこの楽しいエピソードをたっぷりと伺った。
━━━俳優を目指すことになったきっかけは何ですか?
写真学校で卒業して就職しようというときに、「いや、違うな。自分のやりたいものはこれじゃない。」と思って、本当に正直に、自分は何がしたいのかを問いつめていったんですよ。小日向文世が俳優になるなんて、そんなことを思うこと自体が恥ずかしい、おまえそんなガラじゃないだろうとずっと押し隠していた部分がありました。でも、子供の頃学芸会で演じてとても楽しかった思い出が残っていて、22歳で正直にと思ったときにぽろっと出たんです。「これだ!」って。だから、俳優を辞めたいと思ったことは一度もないです。やっぱり好きだったんだな。人前で何かをやるって結構恥ずかしいんですけど、演じるのが楽しいんでしょうね。
基本的に役が好きにならないと演じられないので、その人の弱点とかを見つけて好きになるんですよね。だから犬飼さんなんて大好きなんです。こういう情けない人は後ろから後押ししたくなっちゃう。そういう人を大好きになって演じるわけですから、楽しいですよ。それが少し滲み出てポジティブな波動がでてるんでしょうね。
━━━犬との共演で苦労した点や俳優さんとの撮影の様子はいかがでしたか?
『犬飼さんちの犬』は30分のドラマ12本と、本編と同時に撮りました。昨年12月半ば過ぎから1ヶ月半というものすごいハードなスケジュールで、基本的に犬飼さんが出ずっぱりなんですよ。だからこの撮影期間は平均睡眠時間が2〜3時間で、とにかく体力勝負でした。そのぐらいですね、辛かったのは。ぼくが現場に行ったときに、サモエド犬のカメとチリの2匹がとにかくかわいくて、会った瞬間に癒されて乗り切れたというのは過言ではないです。サモエド犬って、こんなに性格が穏やかで、人懐っこくて、真っ白でふわふわで。犬飼さんの家族はもうどうでもいいから(笑)、ワンちゃんを見ているだけで十分なんです。最後に犬飼さんがサモンにお手とかお代わりとかできるようになる一番難しいシーンを1ヶ月半ぐらい経ってから撮影したんです。すっかり僕と彼女の間で心の交流ができていて、そのシーンは一発OKでした。僕まで一緒に成長させられた気がします。
━━━実生活でも犬を飼われていますが、それがプラスになったことはありますか。
犬飼さん自身ものすごく犬が嫌いで、犬と折り合いがつけれなくて、自分の居場所をとられていくというのはすごくよく分かりますね。ぼくも家に、きなこという犬がいますが、来た当初はぼくの居場所を取られちゃったんです。きなこは雄なので、女房を独占するんですよね。気が休まらなくて、「とにかくきなこと二人きりにしないでくれ。」とまるで犬飼さんのシーンみたいなことをやってましたよ。こんなに小さな犬に向かって怒鳴り声を上げてる自分を見て本当に悩みました。最近はサモンのトレーナーさんのように、おやつをあげるときも一度きなこの目を見て、よしといったら食べるようにしてるんです。
━━━舞台で活躍されているイメージが強いですが、映像と舞台と演じる上で違いはありますか?
42歳の時に劇団を解散してから比率的には映画の方が多くなりました。以前は舞台に立つことが当たり前でしたが、今年に1、2回のペースになって、客の前に立った瞬間に、ものすごく怖いんです。自分の中に役者としての欲がでてきたり、恥をかきたくないとか、余計なものがついてきたことによって、ものすごくプレッシャーを感じます。でも役を演じるということに関してのスタンスは変わらないんですよ。目の前にカメラがあるか、お客さんがいるかの違いなんです。ただ、お金を払って見に来てくれている何百人のお客さんの前で演じるのはこんなに緊張するものなのかと最近すごく感じるようになりました。前はそれしか知らなかったのでそれが当たり前でしたけど。
━━━役に入るときや、一個人に戻るときのきっかけは何ですか?
意外と引きずらないんですよ。ただ、三谷幸喜さんのお芝居『国民の映画』でナチスのゲッペレスの役をやったときは、ちょっと危なかったです。普段は終わるとパンと離れて小日向文世で自宅に帰るんですね。ただ、役が掴み切れてないときはずっと役のことを考えてますね。どうやったらその役をうまく掴むことができるのかと考えるので食欲までなくなっちゃいます。何か漠然と自分の中で掴み切れていない。その役を客の前で演じることを無邪気に楽しんでない自分があってまずいと。僕個人の作業なんですが、僕の中でまだ不完全燃焼な状態で、このままで客の前に立ってはいけないと。だから初日を目の前にしてこのままじゃ間に合わないとすごく葛藤してましたね。
━━━舞台では共演者はベテランの方が多いですが、『犬飼さんちの犬』で池田鉄世さんやちはるさんとの共演はどうでしたか?
全然演じる方としての違いはないし、むしろ今までちはるさんと出会ったことがなかったのすが、ものすごく楽しい方でした。池田君は前ドラマで1回だけ共演したのですが、ドラマの方はかなりがっちりで楽しかったですね。ぼくは仕事以外のときはひとりでいることが多くて、人間嫌いかなと思うんですけど、こうやって映像とか舞台で演じるときって人との出会いを楽しんでいる自分がいて、そうやって役を通して人と接するのが好きなんだなって最近改めて思います。小日向文世として接触するのは意外と苦手なんですよ。あまり自信がないですよね。でも、役はその役で堂々と接することができる。だから素で出演するバラエティーは苦手です。ボロがでちゃうので。

━━━亀井監督の演出の仕方はどうでしたか?
何本か(監督の作品を)見させていただいて、ある感覚できっとうまくやれそうだと思いました。ちゃんとお芝居を見てくれるというか、画面の雰囲気というよりもその中の家族の会話や犬と犬飼さんの状況をちゃんと見てくださっていたので、安心していました。

━━━ちはるさん演じる奥さんがカラオケに行くといって、犬飼さんに内緒で路上ライブをしているシーン。犬飼さんは黙って見ていましたが、小日向さんなら?
なんで言ってくれないの?って思いますよね。なんで自分のいないところでうれしそうにしているのか。本当は自分と一緒にいる時間を一番楽しそうにしていてほしいというのが理想じゃないですか。でもそれも夫婦かもしれません。じゃないと息苦しくなっちゃうんでしょうね。僕は、子供ができようと夫婦で結婚したてのようにしていられたら一番いいなと思うんです。
━━━サモンと似ているからキャスティングされたというのは本当ですか?
プロデューサーも監督もそう言っているんですけれど、似てますか?この映画が撮り終わる頃には、この子に似ていると言われるのがものすごくうれしくって。本当にこの映画はワンちゃんを見るだけでも十分。ぼくが彼らを見たときに思わず笑顔が出たように、映画を見て素直に笑顔になれる作品ってなかなかないと思います。
作品中で犬飼さんのスマイルが職場の同僚たちを和ませたように、笑顔で楽しそうにサモンや愛犬きなこ、そして大好きな演技の話をする小日向さんの姿に大いに和まされるインタビューとなった。ぬいぐるみのようにふわふわと愛らしいサモンと小日向さん演じる犬飼さんが、家族や職場の仲間と繰り広げるハートウォーミングストーリー。自身の愛犬エピソードをもとにSEAMOが書いたエンディング曲、その詞にも是非耳を傾けてほしい。
(江口 由美)ページトップへ

   
             
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