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 『アントキノイノチ』記者会見
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★『アントキノイノチ』記者会見

『アントキノイノチ』記者会見
(2011,11,4 ウェスティンホテル大阪於)
ゲスト:岡田将生、榮倉奈々、瀬々敬久監督

(2011年 日本 2時間13分)
監督:瀬々敬久  
原作:さだまさし『アントキノイノチ』(幻冬舎文庫)
出演:岡田将生、榮倉奈々、松坂桃李、鶴見辰吾、檀れい、
染谷将太、柄本明、堀部圭亮、吹越満、 津田寛治、
宮崎美子、
原田泰造
2011年11月19日(土)〜大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹、他全国ロードショー

・作品紹介⇒ こちら
・公式サイト⇒
www.antoki.jp

岡田将生(『雷桜』)と榮倉奈々(『余命1ヶ月の花嫁』)というフレッシュコンビで放つ、生きるための繋がりとその尊さを謳った感動作『アントキノイノチ』。『ヘブンズストーリー』で国際的評価の高い瀬々敬久監督により、人間関係の希薄さが生むひずみを、傷付きながらも切々と訴える若者の想いを爽やかに描き出している。本年度モントリオール世界映画祭でイノベーションアワードを受賞した注目作である。公開を前に、岡田将生、榮倉奈々、瀬々敬久監督の合同記者会見が開催された。



 





 






 



 

――― 最初の挨拶と公開を直前に控えた気持ちなど。
岡田:今日はおいで下さりありがとうございます。公開が待ち遠しいです。
榮倉:東京や大阪で宣伝が始まり、やっと公開間近かという気持ちが沸き上がってきました。いのちを通して人との出会いや繋がりを感じてもらえたら嬉しいです。
瀬々監督:お忙しい中ありがとうございます。日本が厳しい状況にあるからこそ、未来への希望を伝えようと思って撮った作品です。どうか応援してあげてください。

Q:「生きてるな〜!」と実感する瞬間は?
岡田:たまの休みの前日、家で納豆を食べている時(笑)。自分のために食事を作っている時ですね。
榮倉:確かに家事をしているとそう思います。
瀬々監督:二日酔いで目覚めた時(笑)。夕方4時位になって段々と人間の感覚が戻ってきた時。

Q:初共演ということですが、お互いの印象は?
岡田:榮倉さんはいつかは共演してみたい方のお一人でした。撮影中も気さくでとても優しくして頂きました。
榮倉:静かなタイプで、私より年上かなと思っていました。でも、すべてが真っ直ぐな人で、共演していて一緒に頑張りたいな!と思える方です。

Q:アントニオイノキの動画は見ましたか?
岡田:動画は見てないですが、インプットされてて自分なりの気持ちでやりました。
瀬々監督:アントニオイノキに似てたよな?
榮倉:似てないでしょう!そんなこと言うと新聞の見出しになっちゃいますよ!
岡田:親が悲しむでしょう?
榮倉:私も動画は見てません。
岡田:良かった〜!僕だけじゃなかったんだ〜この仕事しててどうかと言われそうで(笑)

Q:「元気ですか〜?」と叫ぶシーンの印象と出来映えは?
岡田:杏平はずっと笑ってなくて、やっと笑えてすごく気持ちよかったです。ゆきちゃんに救われた気持ちを「元気ですか〜?」と叫ぶことで解放されて、その笑顔のクローズアップがとてもいいシーンだと思いました。僕自身も肩の荷が下りたようでした。
榮倉:とても気持ちのいいシーンでした。希望が見えたからこそ悲しいというか、生きてるって感じでした。私はあのシーンより、杏平が子供に「元気ですか〜?」と言うシーンの方が繋がってる感じがして好きです。
瀬々監督:確かに気持ちのいいシーンです。あの日は風が強く榮倉さんの髪が乱れて何回もNGを出してしまい、スタッフから冷たい視線を浴びたのですが、それでもこだわって撮ったシーンです。

Q:なぜ3年間家にこもっていたのか?ゆきの中の何に惹かれたのか?あるいは癒やされたのか?
岡田:父親の紹介で遺品整理の仕事に就くまでにある程度の年数が必要だったと思います。ゆきちゃんについては、同じものを感じるというか、言葉では表現できない直感的なもので繋がれるような気がして、一緒に支え合いたいという気持ちが芽生えたんだと思います。

Q:杏平の前から突然姿を消した理由をどのように理解してその後の老人ホームでの演技に活かしたのか?
榮倉:ゆきは杏平と出会うまでは人との関係に壁を作って生きてきました。杏平と出会ってやっと心の中を打ち明けてうまく人間関係を作れると思ったけれどそれができなかったので、彼女なりの解決方法を探して姿を消したんだと思います。元々「ちゃんと生きたい」と思っている人なので、老人ホームではそれまでとは違う前向きなゆきちゃんを演じました。

Q:原作とは違う結末だが、どうしてゆきがあのような運命をたどることにしたのか?
瀬々監督:基本的に二人は生き残ってしまったという思いからスタートしています。当然、過去の人への「申し訳ない」という思いもあります。今回遺品整理という仕事を通じて再生へ向かっていく杏平ですが、「いのちのつながり」が単に言葉でしかなかったものを、もっと現実味のある本当の再生の仕方をすることで、「アントキノイノチ」を強調させたかったからです。ゆき自身にも「まっとうに生きた」というイメージにしたかった。

Q:遺品整理の体験の成果は?
岡田:杏平はスッと動いてましたが、僕自身は動けなかったです。まず、知らない人の家に入るのに足が止まりました。そして、リアルな生活感のある物を目の当たりにした生々しい感じを忘れないようにしようと思いました。
榮倉:私たちが行った現場は病院で亡くなった方の家で、最初は引越のようでしたが、片付けていく内に領収書や同窓会の出欠ハガキなどが出てきて、ここで生活していた知らない人を感じて複雑な気持ちになりました。それは映画の中でゆきの気持ちとも重なりました。生きるとか死ぬということは悲しいだけではなく、現実のものとして目の前に突きつけられた気がしました。生きているから死ぬし、死ぬために生きているし、そんなスピリチュアルな気持ちになれたので、遺品整理の体験しに行って本当に良かったと思いました。


 質問にストレートに素直に答える岡田将生に対し、榮倉奈々は一所懸命考えて自分なりの言葉で答えようとする姿勢が印象的だった。それは映像にもよく表れていて、「ちゃんと生きたい!」という言葉を残して姿を消すゆきのキャラクターに重なる。誰かと繋がりたい、誰かに関心を持ってもらいたい、誰かと気持ちを共有したい。本作にはそんな悲痛な想いが込められているにもかかわらず、生きる希望を感じさせる後味の良さは、榮倉奈々が体現した真摯な生き様に依るところが大きい

 本作では、切っても切れないはずの家族でさえ亡くなった後も無関心でいる現状を、遺品整理業のいくつかのケースを通じて端的に表現している。さらに、遺品の中から遺族へのメッセージが伝わり遺族の心が救われるシーンでは、葬儀を通して亡くなった人と遺族の心を繋いだ『おくりびと』を彷彿とさせる。「死」を通して「生きる」気持ちが輝く。天変地異、経済危機、孤立した生活と混迷の時代だからこそ、“アントキノイノチ”から発信されるメッセージに心救われることも多いはず。特に、若い世代に見てほしい映画です。
(河田 真喜子)ページトップへ
(C) 2011「アントキノイノチ」製作委員会
   
             
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