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  ・『地球が静止する日』

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  ・『食客』舞台挨拶

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  ・『252生存者あり』記者会見

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記者会見レポート
 『地球が静止する日』 プレミアイベント
キアヌ・リーブス in TOHOシネマズ西宮OS
キアヌ・リーブス in
 TOHOシネマズ 西宮OS


『地球が静止する日』

(2008年 アメリカ 1時間46分)
監督:スコット・デリクソン
出演:キアヌ・リーブス、
    ジェニファー・コネリー、
    ジェイデン・スミス、
    ジョン・クリーズ、
    ジョン・ハム、
    キャシー・ベイツ
12月19日(金)〜全国一斉ロードショー

公式ホームページ→

キアヌ・リーブス in TOHOシネマズ西宮OS

<ストーリー>
 ある日、宇宙からの巨大な球体が世界中に出現し、ひとりの使者がニューヨークのセントラルパークに降り立った。クラトゥと名乗るその使者は、人間と同じ外見をした宇宙生命体で、「人類が滅亡すれば、地球は生き残れる」と、地球を救うこと=人類の抹消が“目的”であることを告げる。人々がパニックに陥る中、地球外生物学者のヘレンは、クラトゥに説得を試みるが…。
<見所>
 不気味な虫のような無数の物体に、街中が浸食されていくシーンなど、最先端のVFXを駆使した映像は衝撃的で、思わず釘づけになってしまう。しかし、本作はそういった「大作」ならではの派手な映像や物語を全面に押し出した娯楽作品ではなく、人間の愚かさや身勝手さが招いた様々な現状に対する“ツケ”の恐ろしさを、異星人のクラトゥを通して、強く警告しているのだ。映画の中の絵空事ではない、メッセージの重みを感じてほしい。
 『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』の巨匠ロバート・ワイズ監督によるSF映画の名作『地球の静止する日』(1951)を、『エミリー・ローズ』で高い評価を受けたスコット・デリクソン監督、『マトリックス』シリーズのキアヌ・リーブス主演でリメイクした『地球が静止する日』が、2008年12月19日(金)より公開された。

 本作のプロモーションのため、主演のキアヌ・リーブスが来日。公開初日の19日、兵庫県西宮市に先月オープンしたばかりの映画館「TOHOシネマズ西宮OS」を訪れ、舞台挨拶を行った。
 キアヌはこの日、大阪府庁の橋本知事を表敬訪問しプレゼント交換などをしたあと、西宮へ。舞台挨拶前に行われたイベントでは「地球」をイメージした、レッドカーペットならぬアースブルーカーペットの上を歩き、イベントに参加した350人のファンを沸かせた。
 グレーのスーツに身を包み、ワイルドなあごひげを生やしたキアヌは、本当にナイスガイ。スターなのに全く気取っていなくて、次から次に求められる握手やサインにも快く応じるなど、ファンへの対応もとても丁寧だ。続いて行われた舞台挨拶は、その丁寧すぎる “サービス”によって予定の時間より遅れてしまったが、待ちに待ったキアヌが舞台に登場し、「コンバンハー!」と、日本語で挨拶すると、観客からは大きな拍手と歓声があがった。
 まず、本作に出演した理由について「ストーリーに、非常にポジティブなメッセージが込められているところと、自分がエイリアンを演じるところが気に入った」と語った。次に、今回大阪に行きたいと言って下さったのはキアヌさんだとおうかがいしていますが…?と聞かれると、「大阪が好きで、もう何度も来ています。いつも、もっと居たくてもなかなか長居が出来ないんですが、来るときはとても楽しみです」と、大阪好きをアピール。さらに、「でも、ここは大阪じゃなくて兵庫ですよね」と、感激の発言で、地元の観客を喜ばせていた。
 この、興奮と感動に満ちたスペシャルなひとときを過ごしたファンの数は、イベント参加者と、2スクリーンでの舞台挨拶の観客を合わせて約1000人。きっと誰もが、キアヌに、俳優としてだけではなく、人間的な魅力も感じたことだろう。『スピード』『マトリックス』『コンスタンティン』そして、本作と、窮地に陥った人々の力になる役を多く演じているのは、シャープだけれど、どこか繊細で、人間味に溢れている彼の魅力が、「救世主」のイメージにぴたりと当てはまるからかもしれない。その魅力が存分に発揮されている本作を、どうかお見逃しのないよう! 
(篠原 あゆみ)ページトップへ
 『フツーの仕事がしたい』 合同会見
『フツーの仕事がしたい』 ゲスト:土屋トカチ

 (2008年 日本 1時間10分)
監督・撮影・編集 土屋トカチ
1月24日(土)〜 第七藝術劇場 
2月14日(土)〜 神戸アートビレッジセンター 
新春予定〜 京都みなみ会館

公式ホームページ→

【STORY】
 月の労働時間が552時間(!)。残業代・有給休暇・社会保険も一切なし。丸々ひと月、自宅に帰れないこともあるという悪条件でセメント輸送会社のトラック運転手として働いていた皆倉信和さん
(36歳)は、今までの労働環境に限界を感じユニオンに駆け込んだ。しかし、それは組合脱退を求める会社側との激しい争いの幕開けだった―。
 賃金が値下がる一方にも関わらず、規制緩和政策による自己負担金の増加。朝4時に車を出して翌朝の3時に仕事を終える日々を休みなくひと月続けても給料は30万に満たないという実態。そんな激務を改善したいと願い出る皆倉さんの全うな言い分を、組合が会社側と交渉する内部の様子を映し出す。まさに、ユニオン皆倉VS運送会社の図であるが、決着に行き着くまでのプロセスが巧みに編集されており、組合初心者の観客には迫力満点に映る。

 本編には運送会社側に付く暴力団まがいの怪しい男も現れ、人権無視のあらゆるいやがらせを仕掛けてくる。心労で亡くなった皆倉さんの母の葬儀場にまで現れ、組合脱退を迫る場面など「警察24時」さながらの緊迫感だ。その争いの際に空手チョップでカメラを落とされそうになったと話す土屋トカチ監督に撮影から完成に至るまでの話を聞いた。

 「いちばん初めに会社を訪れたときから、社長に蹴飛ばされ、工藤さんにはタバコの火を押し付けられて…。でも、もっと怖かったのはもみ合いになった葬儀場の場面で「駐車場に行こう」と何回も言われたこと。行ったら何されるのかなと本当に怖かった。でも、何かあってもカメラを回し続けるように言われていたので、屈強な男に羽交い絞め にされて、死ぬことが脳裏をよぎっても命がけで撮影しました。」
 今も日本中で派遣切りや非正規社員の解雇など雇用問題が揺れに揺れているが、多くの原因は何かと問うと「労働者を軽視するバカな経営者が世の中に多すぎる。」とバッサリ。「働いている人を人間としてみていないから、一部だけ儲けてあとはさよならという態度に出る」。そして実際に、不当な労働を強いられている人たちには「自己責任論に惑わされないで」と訴える。「休みがなくて残業代がつかなくても“こんなものだ”と思っている人が多すぎる。職場についたのは自分だから。好きな仕事だからと我慢している。税金を払って法治国家に住んでいるのだから本当は自己責任なんてありえないんです」
 そんな土屋監督も前の会社で解雇されそうになった経験がある。「今回の映画にも出てくる連帯ユニオンと知り合ったのは、以前、僕が会社を解雇されそうになったことがきっかけです。初めは組合がどういうものか知らないから、赤いハチマキ巻いて怖いイメージがあったけど(笑)でも実際は、親身に相談にのってアドバイスくれたりしました。僕は、5〜6回団体交渉して、最後は解決金で和解しました。その和解金でカメラを買って、今もそのカメラで仕事をしています。」

 「この作品も初めから映画にしようと撮っていたわけではなく、皆倉さんが会社に組合に入ると告げたら暴力団まがいの男に脅迫された。もし、暴力事件が起きたら証拠になるからカメラを回してくれないかとユニオンから依頼されたのがきっかけです。最初は“証拠”でした。だからカメラもブレブレで(笑)それから、会社側がなかなか話し合いに応じてくれないから、相手にこの実態を知らしめる16分くらいの短い映像を作って欲しいとお願いされました。そこまでは組合の依頼だったけど、そのあと、皆倉さんが退院して現場復帰できそうだなと思ったあたりで、最後まで見届けたいなと思って個人的に撮影していたんです。」
 映画には皆倉さんが勤務する会社や、脅しをかける人物の実名と顔も処理なしで公開されている。すべて公開することについては「大丈夫じゃないかもしれないけれど、そこは腹をくくっています。テレビだったら名前も出さないし、会社関係者の方とかモザイクかけると思う。けど、そうするとウソっぽくなってしまう。架空の物語になってしまうのが嫌だし、そうすると何も変わらないから。「実名と顔を出すけど大丈夫かな?」と、労働組合の人には相談しました。肖像権より生存権を主張したい。」
 その主張がよく伝わるタイトルも印象的だ。「“フツーの仕事がしたい”に決まるまで、色々なアドバイスをもらいました。組合に依頼されて作った短編のタイトルが「労働者は奴隷か!?」という、あまりにも組合っぽい題名だったので(笑)これはちょっとなぁ…と。皆倉さんが入院中にポツリといった切実な言葉で、気になっていた言葉だったのでタイトルにそのまま使いました。」

 すでに映画を鑑賞した方たちからの声は?と聞くと「自分がそういう経験をしている人は、泣きながら見てくれているようです。似たような仕事をしている人には「よく作ってくれた」と言ってもらえる。でも、大学生は映画を見て「就職するのが怖いです」って(笑)」と話してくれた。

 実際、本作は過労死寸前の労働者(皆倉さんは2週間の意識不明でICUに入るまで追い詰められていた)が、“フツー”の仕事環境を手に入れるまでの戦いがとても分かりやすく記録されている。「労働組合って何?どんなことをしてくれるの?」と疑問をもつ若者や、深刻化する雇用問題の当事者と成りうる方々に是非見てもらいたい。皆倉さんは会社に8年間勤め、月500時間オーバーの勤務を3年にも渡って続けていた。「1人じゃなにもできないとあきらめないでよかった」という声が聞こえてくるようだ。ダイレクトに働く者の痛みと願いが届く感動ドキュメンタリーである。
(中西 奈津子)ページトップへ
 『食 客』 舞台挨拶
『食 客』

(2007年 韓国 1時間55分)
監督・脚本 チョン・ユンス
出演 キム・ガンウ イム・ウォニ イ・ハナ
2009年初夏公開予定

★作品情報HP
 韓国で観客動員数300万人を突破したフード・エンタテインメント『食客』が、3度目となる大阪韓国映画週間に招かれ2009年の初夏公開に先がけ上映された。それに際し、チョン・ユンス監督も来日。上映後の舞台挨拶に登場し、ティーチインでは観客の質問に答えた。

 韓国で料理を題材にした映像作品といえばイ・ヨンエ主演のテレビドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」あたりが記憶に新しいが、料理が主役になる映画は韓国にはあまりないという。本作の軸は、朝鮮時代最高の料理人の包丁が発見されたことをきっかけに始まった、嫡統探しの料理大会。いわば、韓国ナンバーワンの料理人を決めるわけだが、優勝候補とされるソン・チャン(キム・ガンウ)とオ・ボンジュ(イム・ウォニ)には深い因縁があった…!という所から料理以外の人間ドラマも絡んでくる。

 原作は韓国の同名漫画であるが、キャスティングに関して監督は「漫画のキャラクターに似ていることと、演技力のある新人」を重視したと答える。主演のキム・ガンウは監督の後輩だそうで「牛のように誠実なキャラが決めてだった」 ちなみにラスト付近で“本日無料です”と張り紙をする女性は、監督の実の奥様で、その周りにいる子供たちは監督のお子さんたちなのだとか。

 本編には牛と主人公のエピソードが重要な形で出てくるが、牛に演技をさせる(してもらう?)カットは、予想以上に大変だったそう。「牛が振り返るシーンは、何度も繰り返し撮影しました。牛はとても繊細でストレスを感じるとすぐに体重が減ってしまったりするんです。でも、解体のシーンでは、生きているものを食べるという尊厳の意味を経験しました。キム・ガンウは牛と親しくなるために1ヶ月間も牛と一緒に生活してくれたのですよ。そこで生まれた感情が画面にも出ていると思います。」
 牛を解体する場面は迫力があったが、あのカットを盛り込んだのは「中国の料理映画などに比べてアクティブさが足りない」と感じたからという。初めは解体場面に立会い撮影することで、しばらく肉を食べられなくなった監督だが、繊細な心も次第になれてくると現場で精肉したものに塩をつけて食べることもあったとか。「撮影に使う食材をおいしく食べ過ぎて、肝心な場面で足りなくなりかき集めた」というエピソードも。
 ちなみに、フグをさばくカットは「手元だけ写っているのは専門家で、全身のときは俳優が練習をしてやっている。(料理場面は)リアル感を出すために手をたたき赤くしてから撮影した」 最後に観客から出た「監督は料理しますか?」との問いに「『シュリ』の助監督を務めていたとき、カン・ジェギュ監督と1ヵ月同居していたことがあり、そのときは、ずっと僕が料理をしていました」と『シュリ』時代の裏話を披露してくれた。
 『食客』のヒットにより製作された、キム・レオン主演のドラマシリーズを先に見た方も多いかもしれないが、映画の方も続編準備中だ。漫画の原作者も脚本段階から加わり、次は「日本と韓国のキムチ対決」がテーマらしい。すると日本人キャストの出演もあるかもしれない。まだ先になるだろうが、次回作がどうなるか今から楽しみだ。

 本作は、料理対決をメインにしながら、根底には「世界には母の数だけ料理があり、料理は舌ではなく心で味わうもの」という感動のテーマがある。彦磨呂のごとく大袈裟な料理評をのべる審査員集団の前に登場する豪華料理と、墨職人のエピソードに出てくる母の愛がつまった“蒸かしイモ”。どちらが舌と心を動かすか。劇中にはフグやら牛肉やらおいしそうな食材が次々と出てくるが、映画を見終わったあと脳裏にこびりついて食べたくなるのは、イモかインスタントラーメンなのである(なぜかは映画を見てのお楽しみ)。頭と心と胃袋は直線状にあるが、それを同時に刺激し、最高の味を甦らせるのが『食客』という映画なのだ。
(中西 奈津子)ページトップへ
 『いのちの作法』 合同会見
『いのちの作法』
『いのちの作法』
〜生命の尊さ、人生の素晴らしさ〜

(2008年 日本 1時間47分)
監督:小池征人
プロデューサー:都鳥拓也、都鳥伸也
12/27(土)〜 第七藝術劇場
ほか、京都シネマ、神戸アートビレッジセンターにて順次公開

公式ホームページ→
作品紹介→
 本作は日本で唯一「生命行政」を優先する岩手県・西和賀町(旧沢内村)の「生命の在り方」を映した長編記録映画である。1962年。沢内村は豪雪・貧困・多重多死の悪循環により日本のチベットと呼ばれていた。だが、第18代村長・深沢晟雄の「村民の命を守る」という熱意と努力により、老人医療費の無料化、乳児死亡率ゼロを達成し、村の“宿命”として諦めていた三重苦を見事に断ち切った。

 西和賀町では40年たった今も「生命尊重の理念」は若い世代に受け継がれ、守られ続けている。劇中では主に、特別養護老人ホームの高齢者、ワークステーション湯田で働く障害者、児童養護施設で暮らす児童の姿を捉え、尊厳・教育・コミュニティ社会の原点を見つめなおす。数ヶ月に渡り彼らの生命を記録した小池征人監督に話を聞いた。
 本作の企画は日本映画学校で学ぶ当時23歳の都鳥兄弟によるもの。岩手県出身の彼らが故郷に帰省した際、村の伝統に改めて触れ、物資の豊かさより大切なものがあると気付いた。そして、映画学校の講師でもある小池監督に白羽の矢がたったわけだが、監督は沢内村のことは学生の頃から知っていたと振り返る。「学生時代に「村長ありき」という深沢村長の生涯が記された本を読んで感動した。豪雪で不毛の土地だった場所で、地域医療の発展は画期的。30年ぶりにアイデアを聞いてすぐにやるべきだと言いました。今は便利な情報社会で命を守るという根本的な考えが吹っ飛んでいる。沢内村の生命尊厳の実践には、日本中が求める答えが足元にあるんです。」
 「縄文時代から続く「自然の力」と、そこで培われてきた「文化の力」。そして、その場で鍛えられた「人間の力」。その3つが命を支えている」と監督が語るように、その生活力を実証するさまざまなエピソードが登場する。

 例えば、虐待を受けた児童を養護する「みちのくみどり学園」から、子供たちがはるばる家庭体験にやってくるが、それは、外から来る子供をまるごと受け入れる地域の懐の深さがあってこそ。そこで子供たちは、川遊びやウサギを狩るなどの経験から自然の大きさを実感し、親身になってくれる人間のあたたかさに触れるのだ。「西和賀町には、人を受け入れる受け皿があり、世話をする人間力を持っている老人がゴロゴロいるからね。それは沢内が50年前に老人医療を守った結果。それが今の子供たちを守れる現場を作っている。過疎化と強く言われているけれど、子供がウジャウジャいる町にしようと考えているんです。」


  世話をするだけでなく、同じ生活をすることを基本に各家庭で子供を受け入れているのもこの取り組みの魅力のひとつだ。「食事時の何でもない会話など家族の一員として接することが、虐待を受けてきた子供たちにとって、どれだけあったかいメッセージか。今、一番欠けているのは人間の関係性。お互いに関係を持って生きているのに、個的に生きろという。命は複数が依存しあって生まれ、育まれるという大事なことを忘れている。だから、誰にも相談できない孤独な若いお母さんも増えていくんです。」
 さらに「命に自己責任なんてありえない。上手に迷惑かける方法を学ぼう」と監督は力説。その言葉に、ダウン症の娘をもつ100歳のおじいさんのエピソードがよみがえってくる。おじいさんは娘が心配で仕方ない様子で、娘が働くワークステーションを訪ねてゆき保健師の方に「よろしくお願いします」と頭を下げる。それに「まかせなさい!」と答えてくれるスタッフの方々。みんなの笑顔が咲く印象的な場面だ。「それが沢内の宝。万感の思いで、地域が守っていますよ、お世話になりましょう。お世話になる場所をいっぱい作りましょう。それが社会で、命の作法なのです。」

 監督は自身で本作を平熱の映画と評する。「最近は、命に色んなものを押し付けすぎている。経済格差や地域格差を言う前に、命に格差はあってはならない。健やかに生まれ、健やかに育ち、健やかに老いる。この2つがテーマです。恵まれた命なんだからラクに生きようと言いたい」 また、老人たちにも映画を見てほしいと願う。「老人が社会をつないできたのに、年を取るとお荷物扱いされる。そんなことない。お年寄りも閉じこもってないで、もっと迷惑かけていいんですよ。誰もが順番にお世話をかけるんだから」

  そして最後に「火力は弱いけど、人の肌にちょっとジワっとくる映画。これだったら私も僕も生きられると、あたたかい気持ちになってもらえると嬉しい。」と微笑み締めくくった。

  今やインターネットの繁栄で、外出せずとも家電や食料品など何でも買える便利な社会。あと何年かもすれば学校や会社に行く必要は無くなって、軽度の病気なら通院もウェブカメラで済んでしまうだろう。現に今も銀行にいかずともネットで振り込みやら何やらできてしまう。何もかもスピード重視の便利な社会。それはそれで、ラクでいいじゃないかと考える一方で、経済の発展は人の心の溝を深くしていく。不安な気持ちはどこから芽生えて、なぜ心は満たされないのか。その答えは『いのちの作法』の中にあるような気がした。情感を失い、泣けない社会に生きる私たちに、完治する命とは何か、人間のつながりとは何かを静かに語りかけてくれる作品だ。

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 『252 生存者あり』 舞台挨拶
『252 生存者あり』 舞台挨拶
ゲスト:伊藤英明、松田悟志、水田伸生監督

(2008年 日本 2時間13分)
監督:水田伸生 原作:小森陽一 脚本:小森陽一・斉藤ひろし・水田伸生 音楽:岩代太郎
出演:伊藤英明 内野聖陽 山田孝之 香椎由宇 木村祐一 MINJI 山本太郎 桜井幸子 大森絢音 松田悟志 杉本哲太
12月 6日(土)より 梅田ブルク7、梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー

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 2008年12月6(土)20:10、なんばパークスシネマにて、初日の舞台挨拶が行われた。東京でも2箇所の舞台挨拶があり、夕方大阪入りしての登場。この後、梅田ピカデリーでも舞台挨拶の予定だったたが、元気に語ってくれた。

【ご挨拶】
伊藤:朝から東京で2回舞台挨拶をして大阪にやって来ました。今日はお越し下さいまして、本当にありがとうございます。
松田:大阪出身なんで、舞台挨拶をさせて頂いて光栄です。
監督:今日でないと聞けないことです。映画は如何でしたか?
(客席から、“最高!”)

――― いよいよ公開されましたが、今のお気持ちは?
伊藤:今日は子供さんも沢山来られているようですが、恐くなかった? 大丈夫だった?
(客席から、“大丈夫だよ〜!”)
伊藤:良かった〜! 今までの大変さが報われるようです。急遽大阪での舞台挨拶が決まったのですが、来て良かったです。

――― この映画は、親子や兄弟、仲間とかのつながりがテーマになっているようですが、作品を通じて伝えたいことは?
伊藤:仰った通りです。皆さんにも、周りにいる大切な人のことを再確認してほしいです。

――― 松田さんは、撮影前の訓練は如何でしたか?
伊藤:体がだんだん大きくなっていったんです。
松田:そうなんです!ユニフォームやスーツがピッチピチになっちゃって! それだけ酷なトレーニングだったってことです。

――― 伊藤さんを始め、他の方との共演は如何でしたか?
松田:伊藤さん以外とのチームワークは、バッチリでした(笑)。
伊藤:口利かなかったもんな?
松田:いえいえ、それだけ集中して撮影してたということです。

――― 監督が一番伝えたかったことは?
お客様それぞれに感じて頂けたことが全てです。長い映画なんで、途中で帰ってしまわれないか、ドキドキしています。

――― 特に力を入れたシーンは?
監督:全部です! 松田君のカットでクランクアップだったんですが、最後まで心を込めて撮った作品です。

――― それでは、伊藤さん、最後に一言お願いします。
伊藤:見て頂いて、本当に感謝しております。ありがとうございました。機会があれば、何回でも見て下さい。よろしくお願いします。

 薄いグレーのスーツに黒シャツというスタイルの伊藤英明。先日の記者会見よりリラックスしていたようで、終始上機嫌だった。この日は、『メレンゲの気持ち』というTV番組で使うため、自らビデオカメラを持っての登壇だった。一瞬にして観客の心を掴む伊藤英明。その大らかで親しみやすく魅力的なキャラで、今後どんな面白い映画を見せてくれるのか、とても楽しみである。

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 『252 生存者あり』 合同記者会見
『252 生存者あり』
〜あなたには命をかけて守りたい人がいますか?〜

(2008年 日本 2時間13分)
監督:水田伸生 原作:小森陽一 脚本:小森陽一・斉藤ひろし・水田伸生 音楽:岩代太郎
出演:伊藤英明 内野聖陽 山田孝之 香椎由宇 木村祐一 MINJI 山本太郎 桜井幸子 大森絢音 松田悟志 杉本哲太
12月 6日(土)より 梅田ブルク7、梅田ピカデリー、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、神戸国際松竹 他全国ロードショー

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 地震・台風・火山と毎年のように天災に見舞われ災害大国と呼ばれる日本。もし、首都東京が巨大台風に襲われたとして、人々はどうなってしまうのか? また、地下に閉じ込められたら? そんな恐怖をリアルな映像で実写化して見せてくれたのが本作だ。だが、単なるパニック映画ではない。東京消防庁の元レスキュー隊員を主人公にした、助ける者と助けられる者との厚い信頼と家族の絆を描いた愛と感動の物語である。
【ストーリー】
 震度5の地震が東京で起こった数日後、突然大きな雹が降ってきて人々を襲う。震源地の海底からマグマが上昇し急激に海温を上げ巨大台風が発生したのだ。その影響でできた東京上空の寒冷低気圧が雹を降らせた。人々は地下へ逃げ込み、地下鉄構内はパニック状態となる。さらに、東京を高潮が襲い、地下鉄構内を鉄砲水が襲う。
 元レスキュー隊員だった篠原祐司(伊藤英明)は、新橋駅で妻子と待ち合わせをしてこの災害に巻き込まれ、娘と他の3人と一緒に古い地下鉄構内に閉じ込められる。一方彼の兄(内野聖陽)が勤めるレスキュー隊は、地下から響く“2・5・2”「生存者あり、要救助者」という暗号音に奮起し、決死の救出を試みる。

  大活躍だった主演の伊藤英明を始め、兄役の内野聖陽とその部下役の山本太郎、一緒に閉じ込められる医大生役の山田孝之、韓国人ホステス役のMINJI、そして水田伸生監督の6人を迎えた豪華な合同記者会見が読売テレビで行われた。

【ご挨拶】
伊藤:一生懸命に作った映画です。よろしくお願いいたします。
内野:レスキュー隊の隊長として、冷徹な兄貴を演じております。
山田:・・・山田です。よろしくお願いいたします。・・・
山本:おいおい、それだけかよ〜!?
MI:撮影頑張りましたので、よろしくお願いいたします。
山本:普段の自分と同じくらい“男前”の役を演じている山本太郎です(笑)。
監督:この映画は、不謹慎発言をした兵庫県知事に、是非見て頂きたいです。
左から、MINJI、山田孝之、伊藤英明、内野聖陽、山本太郎、水田伸生監督
――― 大変迫力のある映像でしたが、リアルに描くことに気を使った点は?
パニック映画を撮ろうとした訳ではなく、ヒューマンドラマとして、災害に見舞われた人々を描くことに重点を置きました。自然の猛威は、そう簡単に人為的に再現できるものではない、と痛感しました。
災害シーンの現場では、瓦礫に囲まれたりずっと水を溜めた状態で仕事してましたら、いつの間にかみなが助け合うようになってきたんです。実際の災害時のように、お互い助け合うという優しい気持ちが生まれてきたんでしょうね。
――― 娘の親という役の伊藤さんは、実際娘さんを持つ内野さんから何かアドバイスを受けたのですか?
撮影中は知らなかったのです。後で聞きました。娘がいることで行動が変わってきたり、親子の雰囲気を出すのが難しかったです。娘役の大森絢音ちゃんが上手かったので、僕としてもいい演技ができたと思っています。監督のお話は、あまり参考になりませんでした(笑)。

――― MINJIさんは、日本の現場をどう思われましたか?韓国との違いは?
MI:映画に出演するのはこれが初めてだったので、韓国との比較はできません。韓国の弟の死という悲しみを抱え、重傷を負うという役柄でした。体力的にも精神面でもハードでした。一番優しかったのは監督です。

――― レスキュー隊員の訓練は大変だったのでは?
伊藤:ロープの降下や、救出のプロセスなどの実践的訓練をしました。
内野:レスキュー隊の隊長ですから、知識や実践訓練だけでなく、心に傷を負った人もおられるので、精神面でもタフでなければならない。そんな男たちのリアリティを投影できたらいいなと思って演じました。
山本: 厳しい訓練が長くて、なかなか撮影へ進まないんですよ。正に、自分たちが「252」を発信したい状態でした!(笑)

――― 撮影中のエピソードは? 何か大変だったことは?
MI:寒かったし大変でしたが、楽しいことしか覚えていません。
山田:人を拒絶する役だったので、だんだんその気になってきて現場に行くのが嫌になってきました。メンタル面で大変でした・・・(と、終始暗くて低い声で喋る山田)
山本:おいおい、まだ引きずってんのかよ〜!?(笑)
伊藤:現場で気づくことが多かったですね。とてもいい意味で大変でした。
内野:レスキュー自体が悪条件の中で行われることですので、現場へ行くと演技プランなんて吹っ飛んでしまいました。寒くて大変でしたが、辛いとは感じませんでした。立ち向かっていく! という気持ちの方が強かったように思います。
ところが、現場での撮影では機材や風雨の音などが大きくて現場でのセリフが使えなかったんです。後でアフレコしたのですが、自分の演技にセリフがはまらなくて、それが一番辛かったですね(笑)。
山本:ずっと災害シーンですからね。世界で一番汚れた俳優だったのではないかと思います(笑)。
監督:誰も愚痴らず、不平も言わず、みんなに心から感謝しています。

――― 実際閉じ込められたら?
MI:大切な人のことを強く感じられるのでは?
山田:そっとしておいてください。僕のことは助けなくていいですから・・・
伊藤:まず、家族に安否を伝えたいですね。
内野:災害時の集合場所を決めたり、防災グッズを揃えたり。でも、どれだけ自分が冷静でいられるか、この映画を通して学びました。
山本:僕は諦めません。レスキューの方達が絶対助けにきてくれると信じてますから。その時は、山田君より、僕の方を助けて下さい(笑)。

――― 伊藤さんは、『海猿』では海が舞台でしたが、あの役が今回役立ったことは?

伊藤:レスキュー隊員は、人を救ってこそ本望。それができなかったことで心に傷を負っている人は多いといいます。そんな彼等にエールを送れたらいいなと思います。
リアルでスケール感のある映画です。是非、映画館でお楽しみ頂きたいです。そして、愛や家族の絆などを感じて頂けたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。

 東京が高潮に飲み込まれるシーンや、地下鉄構内での鉄砲水が人々を押し流すシーンなど、今までにないリアルな映像で迫力がある。まず、CGを駆使した撮影技術の高さに驚かされる。そして、「252−要救助者」を受けて、どんなことをしても助け出す、というレスキュー隊の決死の活動と苦悩をドラマチックに描いて、胸を揺さぶられる。また、伊藤英明と娘役の絢音ちゃんとの親子ぶりもいい。家族の絆が作品に温もりを与えている。今までとは違う伊藤英明の魅力が見られるだろう。

  どんな状況におかれても、決して諦めず生き抜くことだけを考えて行動する! 家族の元に帰るために、愛する人を守るために・・・そんな思いを強くさせてくれる作品だ。

( ただ、救出されるラストシーンに違和感を感じてしまった。それまでリアリティに満ちたスケールの大きなドラマとしてよくできていただけに残念。皆さんはどう思われるでしょうか? 映画をご覧になって、ご感想をお寄せ下さい。
 

宛先はこちら→
 Emailcine1789@yahoo.co.jp (件名に“「252」の感想”と書いて下さいね。)

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 『能登の花ヨメ』
『能登の花ヨメ』

(2008年 日本 1時間54分)
監督 白羽弥仁
出演 田中美里 泉ピン子 内海桂子
12月6日(土)第七藝術劇場 シネカノン神戸 京都シネマにて公開

公式ホームページ→
 能登半島地震で被災した輪島・穴水を舞台に撮影された震災復興支援映画『能登の花ヨメ』が12月6日より関西で公開となる。 都会育ちのみゆき(田中美里)が、怪我をした婚約者の母(泉ピン子)をサポートするため、震災の爪あとが残る能登を訪れる所から物語はスタート。しかし、不慣れな田舎での生活や習慣に驚き、厳しい姑との関係に辟易するみゆき。だが、その土地にしかない人や自然の豊かさに触れることで、自分を見つめなおしていく。1人の女性の成長物語と、震災をたくましく生き抜く能登の人々の思いを切り取ったあたたかい作品だ。そんな感動のドラマから監督の白羽弥仁と主演の田中美里が来阪し会見を行った。
―――まず田中さんにお聞きします。泉ピン子さん、内海桂子師匠という大物2人と共演した感想は?

田中:面白かったです。ピン子さんとは初共演だったので映画の中のみゆきと同じ気持ちで「ちょっと怖いかも」と構えながら取り組んでいました(笑)そういう空気はよく出ていると思います。撮影中も私はピン子さんには色々教わったのですが、内海さんがピン子さんに対して「ピンちゃんそれはダメでしょ」と言っているのを見て、ピン子さんにピンちゃんって言える人がいるんだと驚きました(笑)
監督:内海師匠は芸暦が長いですからね。ピン子さんのお父さんと知り合いだそうで、ピン子さんのことは子供のころから知っているらしいです。

――――そんな大師匠の内海さんやピン子さん、田中さんに監督はどう演出されたんですか?

監督:桂子師匠は86歳とは思えないほどパワフル。今回のフジばあさんは肝心なこと以外話さない役なので、師匠の話芸は封印してチャレンジしてもらいました。でも、いざ始まると芸人魂でアドリブを言ってしまう(笑)それがまた面白い。でも、今回はカンベンして下さいとお願いしました。泉さんに関しては世間が思うピン子像を覆そうと思い、ポーカーフェイスで淡々とあまり感情を表に出さないように役を演じてもらいました。田中さんは、能登の土地で色んなことに戸惑いながらも障害をはねのけていく役なので明るく前向きにと心がけてもらいました。
―――田中さんがみゆきに共感する部分は?

田中:めげない所は似ているかな。色々考えてもとりあえず一歩進もうって思うので。でも私はみゆきみたいに強くなれないかも。能登の花嫁になるのは勇気がいることで、実際に行けるか考えると躊躇してしまいそう。でも、それは彼氏をどれだけ好きかによるかもですね(笑)
―――もし能登の花嫁に行くとしたら姑の関係は、劇中で例えるとどのあたりまで耐えれそうですか?

田中:私は石川県出身(金沢)なので、ある程度田舎暮らしには対応できると思うけれど、鯛をさばくシーンでダメかもしれない。撮影前に同じように鯛のおろし方を教えてもらったのに、ピン子さんはスルスルできていた。そこで私には能登の花嫁は無理だと挫折を味わいました(笑)

―――能登の伝統的なお祭り“キリコ祭り”を復活させる場面も印象的でした。実際も劇中と同じく若い担ぎ手がいないそうですね。

監督:本当に町には担ぎ手がいなくて撮影でやったキリコ祭りが20年ぶりとか。地元の人も喜んでくれて、盛り上がりすぎて昼間からみんなベロンベロンに酔っ払っていました。

田中:撮影は夜なので大丈夫かなと心配になるほど。私も飲め飲め言われて「撮影があるので」って断っていたんですが、後から「飲んどけばよかった」かなって(笑)でも、お年寄りの方たちが久しぶりに立派なキリコをみたと喜んでくれたので嬉しいです。
―――花嫁衣裳がすごくきれいでした。白無垢を着た感想は?

田中:花嫁役は今までにも何度か演じたことはありましたが、今回は特別楽しかったです。キャストの方々とも能登という神秘的な場所で密に過ごすうちに本当の家族のようになっていったから、私が花嫁衣装に着替えて大広間に現れると「おお〜、おめでとう」という感じになっていた。本当に親戚が集まってお祝いしているような感じでした。花嫁行列のときもエキストラで来てくれる地元のみなさんが「おめでとう、おめでとう」って声をかけてくれて、「私、本当にお嫁に行くのかな」と錯覚するぐらい、周りが本当に家族みたいで幸せに撮影できました。
 ロケ入り直前に能登に大地震が起こり、急遽撮影も中止、脚本も練り直すはめになった『能登の花ヨメ』だが、その大惨事をきっかけに地元の人々や製作スタッフの結束力は増していったという。田中も「地震で大変なときに撮影に行かせてもらって迷惑なのでは」と考えたそうだが、地元の人たちは映画を復興の励みに応援のかぎりを尽くしてくれた。夜中でも炊き出しをしてくれたり、エキストラに参加したりとその熱心なサポートは映画にある能登のやさしさそのものとして映し出されている。監督の「能登のみんなが参加してできた」と満足そうな面持ちから作品の温かさが伝わってくる会見となった。
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 『天国はまだ遠く』 舞台挨拶
『天国はまだ遠く』 ゲスト:チュートリアル

(2008年 日本 1時間57分)
原作 瀬尾まいこ
監督・脚本 長澤雅彦  
出演 加藤ローサ 徳井義実(チュートリアル) 河原さぶ 絵沢萌子 
11/8〜テアトル梅田 なんばパークスシネマ MOVIX堺 MOVIX京都 109シネマズHAT神戸にて絶賛公開中

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作品紹介
 現在大ヒット公開中の映画『天国はまだ遠く』に出演するチュートリアル(徳井義実・福田充徳)の舞台挨拶が11月最後の日曜日にテアトル梅田にて行われた。都会の生活に疲れ、山奥へ自殺を図りに来た若い女性・千鶴(加藤ローサ)が、自然の豊かさや人の温かさに触れて再生するまでを描くヒューマンドラマで、徳井は千鶴が宿泊する民宿の若主人・田村を、福田は田村の友人を演じる。

  関西での舞台挨拶はこの日3回行われたが、どの回も即完売。さらにテアトル梅田での舞台挨拶は立ち見50人!とチュートリアルの人気の高さがうかがえる。リピーター率も高くおおよそ半数の観客が2度目以上の鑑賞という大盛況のなか舞台挨拶が始まった。まず挨拶の出だしで徳井が「田村役の徳井です。今日はこの「ハンサムスーツ」にお越しいただきありがとうございます」とのボケで観客の心を瞬時に掴むと、福田も負けじと「主演の福田です。今日は僕を見に来ていただいてありがとうございます」と返し場内は一気にチュートリアル一色に。
 会場がなごんだところで関西の特別企画、観客からの質問タイムに突入。こういう場面では遠慮や緊張で挙手する人が少なく司会者や俳優を困らせることも多々あるが、今回はわれ先にと手が次々にあがる。競争率が高いなか1番に指名された女性は、映画の舞台となった宮津が地元だと言い「地元がクローズアップされてすごくうれしい」と質問を前に泣き出してしまうと、2番目に指名された女性も大好きなチュートリアルを前に感極まり「徳井さんに会えてうれしい」とウルウル。この異常事態に思わず徳井も「何で全員泣いてんねん!そんな映画やったか」と笑うも少々この熱狂ぶりに戸惑ったようす。そのわりに肝心の質問は「加藤ローサさんは生と映像どっちが可愛いですか?」と主演女優に関するもので「結局そこ?!」と会場の爆笑を誘った。「映画も可愛いし、普段の加藤さんは天然でめずらしいテンポで生きている方で面白くて可愛らしい方です。」
 徳井自身の素は田村役に近いと言い「自然体でええ奴です。週刊誌に載るような子じゃないんです」と訴える。「この間も舞台挨拶で加藤さんにノリで「好きなら好きって言ってもいいんですよ」ってゆったら、次の日のニュースで“徳井義実、加藤ローサに告白を強要”って犯罪者みたいな書かれ方していましたけど、実際は田村のように朴訥な人間なんです」と“事実”をアピールした。

 ここで福田さんにも質問をと会場に問いかけると「福田さんちょっと太ったようですが、遅刻はしなかったですか?」とファンから厳しい質問が。(以前、福田はドラマの現場に遅刻して冷や汗をかいたことがある)「(共演した)坂東さんに負けてられないと思いまして役作りで太りました。撮影はワンシーンだけだったんですが、ガッツリ遅刻してしまいました。本当は加藤ローサ役で出演したかったです」と答えて盛り上げる。

 さらにそのワンシーンで共演した徳井について問われると「徳井だけど、田村を演じていたから、僕と一緒のシーンではちゃんと田村でした」と相方をベタボメ。ところが、突然「僕が一番好きなシーンは、どしゃぶりの公園でダンボールを食べるシーンです」と発言。会場の大爆笑を受けて徳井が「あっ、それはホームレス中学生ですね」と否定するも、福:「あの田村じゃないんですか!?違う田村ですか」徳:「まきふん公園とかじゃないから」福:「あれ?解散って言われてなかったっけ」と最後までチュートリアルペースで進んだ舞台挨拶となった。

※『幸福な食卓』に続く瀬尾まいこ原作の映画化。都会の喧騒を忘れ、大の字に寝そべって星空を見上げたり、絵を描いたり、不満をはきだしたりと、自然に囲まれて心の膿を浄化させていく主人公に男女問わず共感できる作品。監督から人間味があると太鼓判を押された徳井の癒し系演技と京都の山奥・宮津の絶景がみどころ。
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 『青い鳥』 キャンペーンイベント
『青い鳥』
<阿部寛トークショー&歌手・まきちゃんぐミニライブ>


監督:中西健二  (2008年 日本 1時間45分)
原作:重松清
出演:阿部寛、本郷奏多、伊藤歩

11/29〜 シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、京都シネマ(正月)
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作品紹介
 直木賞作家・重松清の原作をもとに、いじめによる生徒の自殺未遂が起こった中学校に赴任してきた1人の教師が、生徒たちの複雑な感情と向き合っていく姿を描いた映画『青い鳥』。その公開を記念して、主演・阿部寛のトークショーと、この作品のテーマソングを歌う女性歌手・まきちゃんぐによるミニライブが大阪で行われた。
 まず初めに、まきちゃんぐが登場。セカンドシングルの「煙」、そして、阿部寛も「凄くいい曲。この映画に本当にぴったりで、歌ってくださって感謝しています」と絶賛している、本作のオープニング・テーマ「鋼の心」とエンディング・テーマ「さなぎ」の3曲を歌ってくれた。
 まきちゃんぐは、岡山県出身の21歳で、「中島みゆきの再来」と期待される、実力派のシンガーソングライター。キュートな外見と、話すときの“和み系”な口調からは想像も出来ないほどの圧倒的な歌声に、この日イベントに集まった大勢のお客さんたちも魅了され、静かに聞き入っていた。心の奥の、そのまた奥のほうをグッとつかんで離さないような彼女の歌は、これからもきっと、多くの人々に力強い感動を与えていくことだろう。
 続いて阿部寛が登場し、あの魅惑の低音ボイスで挨拶すると、そのあまりのかっこよさに女性のお客さんたちからはどよめきが。そんな“うっとり”ムードの中、作品への想いなどを語ってくれた。

 阿部演じる村内先生は、吃音というハンディキャップを抱えている。その役作りについて「吃音は、音によって違ったり、人によってそれぞれ重さや軽さも違うので難しい。そこに関しては、中西監督とディスカッションを重ねた」そうだ。
 村内先生は、「本気の言葉」で生徒に想いを伝え、また、生徒の真剣な気持ちは、本気で受け止めようとする。そして、死を考えるまで思いつめた生徒の苦しみや心の痛みを、“なかったこと”のようにする学校の体制、生徒たちの“カタチだけの反省”は、「間違っている」「ひきょうだ」と言う。「この映画には「責任」という言葉が出てくるけど、いまの社会や大人は、何か不祥事を起こしてもその場しのぎで謝って、すぐ忘れてしまうじゃないですか?だから「責任」という言葉が遠のいて、軽くなっている。この映画は、子供たちに、一生忘れることのできない、取らなければいけない「責任」もあるんだということを伝えている。」と阿部が語るように、うわべだけでは何も解決しないということを懸命に伝えようとする村内先生の姿は、イジメの問題だけではなく、まさに、いまの日本社会全体の問題に目を向けなければいけないということを、観る者に痛切に訴えかけてくる。
 そんな村内先生に、苦しい胸の内をぶつける生徒を演じた本郷奏多を始めとする10代の子たちとの共演については「表情や動きがすごく良い。大人になると、体とか心とか、なかなか自由に動かなくなってきたりするものだけど、10代の子たちはまっすぐで、眼差しも強く、感情の表現とかも凄い。なので、本郷君たちと一緒にやっていて、自分が忘れかけているものを思い出させてくれるような、反省すべき点がたくさんあったので、共演できて良かったです」と、役者としてとても良い刺激を受けたようだ。

  最後に「こう観て下さいというのは全くないんですけど、観たら必ず自分の心のどこかにある優しさとか思いやりとか、そういうものをもう一度掘り起こして考えてもらえる作品になったと思います。ぜひ、この作品を応援していただきたいです。」と、観客へメッセージを送った。
 イジメ問題という、答えのない問いを観る者に投げかけるこの映画に、ひとつだけ答えがあるとするならば、それはまず、「自分という人間と向き合うこと」なのではないだろうか。村内先生の言葉を借りると、「いまより少しでも、人の気持ちを想像するだけでいい」。自分のことが見えて、初めて他人のことが見えるもの。人はきっと、自分の中にある弱さや心の傷を、強さじゃなく、優しさに変えられるはずだから。1人でも多くの方にとって、本作がその“きっかけ”となることを願わずにはいられない。
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 『夢のまにまに』 記者会見

『夢のまにまに』 ゲスト:長門裕之

(2008・日本/106分)
監督・脚本 木村威夫
出演 長門裕之 有馬稲子 井上芳雄 宮沢りえ 永瀬正敏 上原多香子 浅野忠信 桃井かおり 
第七藝術劇場 11月29日(土)〜 京都シネマ2009年1月〜 橿原シネマアーク2月7日〜
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作品紹介

 今年90歳をむかえた日本映画美術界の巨匠・木村威夫が、自身の戦争体験をもとに初の長編映画に挑んだ話題作『夢のまにまに』がまもなく関西で公開となる。その封切を前に木村監督の分身となる木室を演じた長門裕之が来阪。90歳にして新人となった木村監督の演出スタイルや撮影裏話、作品についての思いをユニークに語った。

【STORY】
 映画学校NK学院の院長に就任した木室(長門裕之)は、才能ある学生のひとり村上大輔(井上芳雄)が気にかかっていた。彼は60年前の戦時中に、芸術を志した若者がたくさん散った不条理をなげき、そのどうしようもない苛立ちを木室にぶつけてきたのだった。その問いに木室は、足が悪く戦いに参加できなかった自身の戦争体験を思い出す。また、認知症を患う木室の妻・エミ子(有馬稲子)も60年前に大切な人を失い、自分だけ生き残った過去をひきずっていた。 やがて、大輔は精神病を患い学院を中退。その後、木室との手紙のやりとりで自殺をほのめかすようになる。
―――脚本を読んだ段階で仕上がりの想像がしづらく、イメージを共有するのが難しい作品だったのでは?という印象を受けました。

木村さんは映画美術の巨匠ですからね。役者とは美意識も価値観も大きく違うから、台本を見ても全く参考にならなかった。取っ掛かりがないと演じにくいものですから、監督に「どうしますか?」と聞きに行ったら「何もしないで下さい」と言われた。僕みたいな脇の役者は小さい役を大きくするのが仕事ですから「何もしないで」と言われると、手足をもぎ取られたような不自由さを感じましたね。すべて木村さんのコピーで演じたので、この作品に僕の美意識や人生観などは一切入っていないです。
―――木村監督は奥さまが認知症を患っている今の長門さんの状況をご存知で役をオファーしたようですか?

いいえ。撮影前は洋子の症状がそんなに悪くなかった。作品中(2007年3月頃)は日々新しい症状を見せる女房が衝撃的で恐れ怯えていた時代なので、有馬さんが認知症をどう演じようと気にならなかった。でも、今思うとこんなもんじゃない。もっと厳しい。まず目的意識をもって行動している所が違いますね。徘徊ひとつにしても意識があるのではなく、足が止まらなくなるからだということ。そういう意味でこの映画のなかでは認知症に対する様々なことが出せなかったんだけど、次に土曜ワイドで認知症の妻を介護する役を演じるときは、妻役の女優さんに本当の認知症のあり方をしっかりと伝授しようと思っています。

―――この作品には今の長門さんにしか演じられないリアリティがありました。

今の年代に一番ふさわしい役だと思うし、役に入り込むのに躊躇はなかった。この作品には「戦争ってやっぱりイヤだな」とか、認知症の妻をもつ夫婦愛とか、他人を救おうとして救えない人間のもろさや無力さが描かれている。“今も過去と戦っている”という意識が木村さんの中でしっかりあったんでしょうね。

―――木室の妻エミ子が、ずっと思い出せなかったピアノのフレーズを最後に思い出すシーンが印象的です。

あれは「女性の究極のエネルギーは嫉妬である」ということ。木室が過去に愛したバーのママの面影をもった画商の女性(二役とも宮沢りえ)から絵を買ってその額を大接間に飾った。その様子を見た妻はこの男はしゃいでいるなと感じて、フッと嫉妬がわいた。それは長年なかったこと。その嫉妬が究極のエネルギーになって今まで思い出せなかったピアノのフレーズが思い出せる。その夫婦愛の表現は分かりやすいなと思って木村さんに話したら「そうじゃないんだけどね」って(笑)俺たちの解釈はあの人の理論にはかなわない。あんなシュールなものないですよ。さすが映画美術の巨匠。でも、作品に重みを与える宮沢さんのオーラと、有馬さんの仕事にかける構えは素晴らしかった。

―――映画美術でキャリアをお持ちの木村監督と、他の監督の違いは?

距離でしょうね。今村昌平にしても黒木和雄にしても起承転結はあって、物語を書くんだけど、木村さんの場合は起こった現象を美的に表現する。これは我々の世界にないものです。

―――本作は、木村監督の自伝のような話です。本人である監督を前にして演じる気持ちはいかがでした?

何も感じませんでした。あの人は演技指導する力が無いですから。現場ではいつも「何を感じますか!後ろのトロフィーを見て何を感じますか?!」って聞かれて「何も感じません」って(苦笑)「青年が生きていたらこのトロフィーを取ったと感じませんか?!」「感じません。」 もう禅問答ですよ。だから、撮影が終わったときに充足感も何もない。せっかく46年ぶりに主役をやらせてもらったのに、これは期待できないなと思っていた(笑)だから、出来上がりを見たときはひっくり返ったね!

試写のあと木村さんが得意な顔で握手を求めてきた(笑)そうしたら、どんどん評判があがって、弟の津川雅彦からも「いい映画らしいから俺もいくよ」って電話がきて嬉しかった。あんまり期待してなかった分「めっけ!」って感じです。

―――木村監督は90歳の新人監督としてギネスに認定されましたね


ギネスは映画の価値と関係ないけど、90歳で新人っていうのはスゴイですよ。監督ってすごくエネルギーのいる仕事。本当に大変。木村さんは、現場で最初に大演説をする。「これはこうで、こういうシーンでこうなんだから!」って言うけど、「へぇ〜」って誰も聞いてない(笑)それで、助監督が現場で「テスト、よ〜いハイッ」って言うと、自分は黒いテントのなかでモニターを見ている。ちゃんと見ているのかと思って「監督、今のどうだった?」って聞くと「寝てま〜す」って(笑)

  さすが90歳の貫禄というべきか。長門さんの話ぶりから木村監督の現場のようすが、とてもよく伝わってくる面白いインタビューとなった。木村監督もある意味スゴイが、長門さんだって芸歴70年の大ベテランである。ここまで芸を売ってこられたことについて「誰も誉めてくれないから、自分で誉めてやろう」と笑う姿が魅力的だ。
戦争や老いをテーマに人間の生と死を描く『夢のまにまに』は11月29日より第七藝術劇場にて公開。実生活でも認知症の妻を介護する長門さんの真に迫った熱演をじっくり堪能してほしい。

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 『Happyダーツ』 初日舞台挨拶
『Happyダーツ』  ゲスト:辺見エミリ、加藤和樹

(2008年 日本 1時間26分)
監督・脚本:松梨智子
出演:辺見えみり、佐藤仁美、加藤和樹、新田恵利、村杉蝉之介、DAIZO、森次晃嗣、森泉、ほか
11/15(土)〜 シネマート心斎橋にてロードショー

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作品紹介
 仕事は定時ピッタリに退社、恋愛はその場しのぎ、酒は家飲みが基本。努力嫌いで何事も中途半端だったアラサーOL・美奈子が、ダーツとの出会いをきっかけに人生の喜びを見出していく。世界初の本格ダーツ・ムービーが今月15日(土)にシネマート心斎橋にて封切られた。公開初日に際して行われた舞台挨拶には、美奈子役を演じた辺見えみりと、美奈子が恋するイケメン・プレイヤー篠塚に扮した加藤和樹が登壇。立ち見が出る盛況ぶりの中、映画やお互いの印象について話した。

 4時59分からタイムカードの前で終業を待機するダメOL美奈子をマイペースに演じた辺見は、この映画のオファーを受けたとき「私が今まで演じたことの無いボケ役のパターンがきたので、正直できるかなと悩みました。あとダーツを映像にするとどうなるのかなと興味があった」という。美奈子がひと目ボレするイケメン篠塚に扮した加藤はオーディションに合格しての参加。「監督からは王子様のようにカッコよくいてほしいと言われたので、自分の中の最大限のさわやかさを出したつもりです。普段の表情とダーツボードに向かった時の真剣なまなざしのギャップをどうみせるかが挑戦でした」

 話の流れからここで加藤が“ダーツをカッコよく投げるコツ”を観客に披露。「ダーツは格好が勝負。フォームでうまいか分かる。」とツラツラうんちくを述べていると辺見からすかさず「早くやりなよ」とツッコミが。苦笑いの加藤に観客大ウケ。気を取り直して「右足と右胸を前に出す感じでスッと入って、下からゆっくり手をあげてきて投げる」(ポーズ付)。すると会場から割れんばかりの大拍手が!辺見いわく「舞台挨拶でこれをするといつも笑われてきたのに初めて拍手がきた」「よかったね」と言われて加藤もどこか満足気だ。
 さらに加藤は辺見の印象を聞かれて「気さくで話も面白いしダーツも上手。僕にとってお姉さんのような、太陽のような存在です。」と褒めたのに対し、辺見は加藤について「パッと見た目カッコイイけど、柔らかいフワっとしたボケな感じの人。“イタイ”弟をもったような感じです」と加藤の天然をアピール。「ちょっとちょっと!」と割り込む加藤にすかさず「太陽のような人です。」とナイスフォローでまたしても会場を沸かせた。

 劇中ではスマートな篠塚に美奈子がベタボレな設定なのだが、実際は間逆ということが判明してしまった大盛り上がりの舞台挨拶だった。最後は二人で「ハッピーな映画を楽しんで」と口を揃える。辺見「ダーツバーのお兄さんって怖く見えますけど皆いい人です。興味をもったら、やり方を教えてもらってチャレンジしてみて」加藤「お店では篠塚のような男性と出会えるかも(?)女性に向けた映画なので見終わったあと私も頑張ろうと思ってくれたら嬉しいです」と締めくくった。

 「投げているだけ」に見えて意外とハードなスポーツでもあるダーツ。究極の個人プレーと言われるだけあり、精神コントロールと集中力・体力・頭脳が勝負の決め手になる。たかがゲームと侮っている人は、本作を見て全日本トーナメントの熱気やダーツ人口の多さに驚いてほしい。結構奥深いダーツの魅力と一生懸命になれる素晴らしさを教えてくれる『Happyダーツ』ぜひ劇場でご覧あれ♪
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 『真木栗ノ穴』 合同記者会見

『真木栗ノ穴』

(2007・日本/110分)
監督 深川栄洋
出演 西島秀俊 粟田麗 木下あゆ美 キムラ緑子 北村有起哉 田中哲司 利重剛
12/6(土)〜第七藝術劇場、12/20〜神戸アートビレッジセンター、12月下旬〜京都みなみ会館 

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【STORY】
 老朽化したアパートに住む売れない作家・真木栗勉。ある日、彼に官能小説の連載依頼が舞い込んでくる。しかし、“官能”など書けるわけがない。そう頭を抱えたそのとき、彼は自分の部屋の壁に“穴”が開いているのを発見する。すると、次の日。白い日傘をさした女が隣に引っ越してきた。隣人を覗いた出来事や妄想を小説に書き始める真木栗。だが、次第に彼の幻想は現実となり、次第に双方の世界がシンクロし始める―。
 四谷ラウンド文学賞を受賞した山本亜紀子の原作「穴」を『狼少女』の深川栄洋監督が映画化。古都・鎌倉を舞台にゾクリと冷や汗のごとく伝うレトロな恐怖感をホラータッチで生み出した。穴の魅力にとりつかれる主人公・真木栗を西島秀俊、彼の隣に越してくるヒロインを粟田麗が演じる。 穴をのぞく好奇心と、穴をのぞいてしまった罪悪感。そして現実が幻想と知ったときの恐怖と絶望。真木栗が感じる心の動揺が観客にもダイレクトに伝わってくる。最近ではめずらしい和テイストなミステリーを手がけた監督・深川栄洋が来阪し作品について語った。
―――まず、本作を撮ることになったきっかけを教えてください。

初めにプロデューサーから脚本を渡されました。でも、それがしっくりこなかった。そのあとに原作を読ませてもらって、現実か妄想かという線引きが曖昧模糊としている世界観が魅力的だなと感じました。プロデューサーはJホラーを目指していたようですが、原作の持っている魅力はホラーの部分ではなくて、どこか少し欠けている人たちが響き合い、すれ違って物語がうまれていく点。それを活かして撮らせてもらえるのならと引き受けました。お客さんには不思議な体験をするような楽しみ方をしてもらいたい。

―――『狼少女』や『アイランドタイムズ』まで子供を主人公にした作品が多かったですが、本作はサスペンスでエロスもあり新しい監督の一面が出せたのでは。

久しぶりに大人の映画のオファーがきました(笑)今回はとことん自分の性癖をさらけ出してでも大人の映画を作ろうと。でもR−18めざして手取り足取りやりきったけれど、PG−12だった(笑)それ以外の部分でも本当に、役者にも美術にも歴史ある鎌倉の風景にも助けられました。本に書かれていない行間の部分を作っていけたと思っています。
―――真木栗という主人公についてはいかがですか?

ダメなところが僕に似ているなと。映画を作っている以外は、酔っ払っているか映画を見ているかなので(笑)想像するのも好きだし、生き方ベタなところも似ているかな。自主映画をやっているときは、僕もああいう生活をしていました。
―――その真木栗に西島さんを選んだ理由は?

原作を読んだときに西島さんの顔が浮かんだ。それまでの西島さんの印象は、内に怪物を秘めているような感じで、表情が出にくい俳優さんだなと思っていました。「dolls」とか「人間合格」とか。でも実際、西島さんに初めてお会いして、画面には出ていないチャーミングな部分を感じた。真木栗って欠けた部分のある人間で、自分の立場を守るために相手を傷つけることも持さない。でもどこか、やさしくてチャーミングな部分もある。そういう、ふれ幅のある人物にしたかったので、西島さんのそういう部分を引き出せたら僕の考える真木栗像に近づくかなと。

―――そんな真木栗が住むアパートも映画の世界観にピッタリでした

あの部屋を作り上げる前に色んな小説家さんにどんな部屋に住んでいるのか話を聞きました。映画では戦後すぐにできた墨田区にあるアパートを使っています。地方から出てきた人が住んで、お金がたまったら出て行くという過去の生活感がありありと見える。それが魅力的でコワイとも思った。西島さんも部屋に入った瞬間「作る映画が分かった」っていうほど。この映画以降、あのアパートは撮影所になっているそうです。

―――キムラ緑子さん演じるシズエと真木栗が一緒にお風呂に入るカットが面白かったです。

キムラさんも西島さんとお風呂に入れると言って喜んでいまいした(笑)あのカットも初めの脚本にはなかったんです。原作者は女性なので、キムラさんのセリフとか女性ならではの言葉がすごく面白い。この映画には真木栗を取り巻く女性が20代30代40代50代と1人ずつ出ていますが、その中から女性観みたいなものがこの映画に出ると真木栗の寂しさもでるし、彼女に触れられるのだったらそっちの世界に行ってもかまわないっていう彼の最後の決断がロマンチックになるなと思いました。

―――とても映画作りに熱意を感じます。その中でも監督の好きなシーンは?

トマトの場面ですね。トマトを落として汚れた佐緒里の足を真木栗がぬぐうときに目線を合わせないで話をする。目線を合わせない方がお互いに距離を感じるし、そうしておくと次に西島さんがこの扉が閉まったあとどう行動するかに響いてくる。観客のテンションを張った状態で次につなごうとか、ここは緩めていこうとか、作為的にしていました。

―――最後に次回作の予定を聞かせてください。

来年5月公開の「60歳のラブレター」という作品です。60歳を目前にした3組のカップルの物語。中村正俊さんが主演です。中村さんも西島さんもそうですが、またパワーを持った人と仕事したいですね。
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