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★ヤギと男と男と壁と

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『ヤギと男と男と壁と』(The Men Who Stare at Goats )
〜イラク戦争映画とSF映画が合体したって?〜

(2009年 アメリカ・イギリス 1時間34分)
監督:グラント・ヘスロヴ
出演:ジョージ・クルーニー、ユアン・マクレガー、ジェフ・ブリッジス、ケヴィン・スペイシー、スティーヴン・ラング

2010年8月14日(土)〜8月14日シネセゾン渋谷、
シネ・リーブル池袋、シネ・リーブル梅田、
9月25日(土)〜京都シネマ、10月〜シネ・リーブル神戸ほか全国順次ロードショー

公式サイト⇒ http://www.yagi-otoko.jp
 「事実は小説より奇なり」という言葉がある。本作は実話をベースにしている。しかも、イラク戦争が背景だから、21世紀の戦争映画だ。ああ、それなのに、このウソッぽい作りには驚きを隠せない。
アメリカの地方紙記者役のユアン・マクレガーが、妻の浮気と別居を機に、イラク戦争の突撃取材を思い立つというイントロから、奇妙な始まり。そして、現地へ行くと、そこで密命を帯びているらしい、スパイチックな兵士役のジョージ・クルーニーと出会う。彼の謎めいたミッションに付き合うユアンとの、イラク・ロードムービーのスタートだ。
 もちろん、ユアンはクルーニーがどんな人物で、どこを目指しているのか全くわからない。それが道々、過去の回想シーンをはさんでいくうちに、ゆっくりと明かされることに。その内容は信じられないようなものだった。
 ベトナム戦争で、「(銃を)撃てない優しさは強さにつながる」なんていう、天の啓示みたいなのを聞いたジェフ・ブリジッスが、ニュー・エイジ体験を経て、兵士修練プログラムを開発する。それはトンでもない超常系、超能力なエスパー、「ジェダイ戦士」を標榜するくらいだから、『スター・ウォーズ』(第1弾は1977年製作)なまるでSFノリの世界であった。さらに、「ラブ&ピース」と戦争が合体するような戦術なんて、とても信じられないでしょ? それらが何と、大マジに披露される、というか、決まらないことの方が多いのだが。

 観客のみなさんは、感情移入されるハズのユアンと共にそのミラクル・大ボケ・大バカな世界の中へ入ることになるわけだ。クルーニーがヤギを見つめて(イメージ的には目線レーザー)殺したりとか、遠くの世界のことが分かる、遠隔視能力を持つケヴィン・スペイシーとか、トンデモないキャラクターとエピソードが、次々に披露されていく。道中でボケとツッコミを繰り返しながら、ユアンとジョージがたどり着く最終目的地には、もっとスゴイ・サプライズが用意されているので、お楽しみあれ。

  戦争をブラック・ユーモアで笑い飛ばす作品としては、ロバート・アルトマン監督がカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した『M★A★S★H★(マッシュ)』(1970年)に迫る勢いかも。
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