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★シルビアのいる街で(伊藤久美子バージョン)


(C) Eddie Saeta s.a/Chateau-Rouge Production

『シルビアのいる街で』
(EN LA CIUDAD DE SYLVIA/DANS LA VILLE DE SYLVIA/IN THE CITY OF SYLVIA)

〜めくるめくような街の音に包まれ〜

(2007年 スペイン,フランス 1時間25分)
監督・脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:グザヴィエ・ラフィット,ピラール・ロペス・デ・アジャラ

2010年8月7日(土)〜渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!
関西では、9/11〜第七藝術劇場、順次〜京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンター

・公式サイト⇒ http://eiganokuni.com/sylvia/
・監督来日レポート⇒ こちら

【第七藝術劇場のタイムスケジュール】
■9月11日(土)〜9月17日(金)13:40 20:30
※9月12日(日)はイベント開催のため20:30の回休映
■9月18日(土)〜9月24日(金)18:40
※9月18日(土)はイベント開催のため休映
■9月25日(土)〜10月1日(金)14:00 18:40
■10月2日(土)〜10月8日(金)10:00
 “音”の映画だ。ストラスブールの街。石畳の通りを歩く足音、自転車が行く音、カフェでおしゃべりする人たちの話し声…、街の片隅で聞こえてくる様々な音に満ちていて、その豊かさに驚かずにはいられない。

  青年は旅人だ。ホテルに泊まり、カフェへ通う。あちこちのテーブルで会話が交わされ、ウェイトレスが動き回り、ざわめいている。青年は、女性たちを見つめ、ノートに鉛筆を走らせる。鉛筆が擦れる小気味よい音。もの思いにふける、髪をかきあげる…、女性たちの思い思いの仕草が、あらいデッサンで描きとめられる。カフェの女性たちに目をやりながらも、青年がただひたすら待っているのは、シルビアという名の女性だ。6年前、バーで出会い、恋した“彼女”。青年がこの街を訪れたのはシルビアを探すためだった。
 キャメラは青年の目線に限られることなく、自在に街の景色をとらえてゆく。早朝のホテルの前の路地。足早に歩く人、荷物を運ぶ人…どこか懐かしいような音と映像に、思わず街をさまよっている気持ちになる。音だけではなく、キャメラが切り取っていく街の光景のリアルさもまた観客の心を奪う。たとえば、青年がカフェでビールのグラスをこぼしてしまうリアルさは、まるですぐそばでみているように感じられる。路面電車が行き交う光景もまた、同じように迫ってくる。そうした体感の積み重ねから生まれる映像詩のような物語。青年がほとんどしゃべらなくても、目を上げたり伏せたりする魅惑的な動きで、それとなく心中も伝わってくる。
 果たして青年はシルビアに会えるのだろうか。路面電車が何度も緩やかな音をたてて滑り込んでくる。風がスケッチブックをめくる心地よい音。そして、最後、路面電車がカーブを曲がり見えなくなり、静かにエンドロールが流れるのを目にした時、きっと誰もがもう一度、この映画をはじめからもう一度、観直してみたい、あるいは、心の中で印象に残ったシーンを思い浮かべ再現してみたくなる誘惑に狩られるのではないか。それほどこの作品は深い魅力と余韻に満ち満ちている。
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★シルビアのいる街で(河田充規バージョン)

(C) Eddie Saeta s.a/Chateau-Rouge Production

『シルビアのいる街で』
(EN LA CIUDAD DE SYLVIA/DANS LA VILLE DE SYLVIA/IN THE CITY OF SYLVIA)

〜街中の日常的な音と風景が劇的空間に!〜

(2007年 スペイン,フランス 1時間25分)
監督・脚本:ホセ・ルイス・ゲリン
出演:グザヴィエ・ラフィット,ピラール・ロペス・デ・アジャラ

2010年8月7日(土)〜渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!
関西では、9月〜第七藝術劇場、京都みなみ会館、神戸アートビレッジセンター

・公式サイト⇒ http://eiganokuni.com/sylvia/
・監督来日レポート⇒ こちら

【第七藝術劇場のタイムスケジュール】
■9月11日(土)〜9月17日(金)13:40 20:30
※9月12日(日)はイベント開催のため20:30の回休映
■9月18日(土)〜9月24日(金)18:40
※9月18日(土)はイベント開催のため休映
■9月25日(土)〜10月1日(金)14:00 18:40
■10月2日(土)〜10月8日(金)10:00
 フランス東部のストラスブール。ホテルの一室でベッドの上に青年が一人座っている。左手にノートを持ち,右手にペンを持っている。ホテルの外では,通りを歩く人の靴音や話し声,自転車や自動車が通り過ぎる音が聞こえる。カフェのテラス席には人々が集っている。その中に座った青年の視線。人々を観察しているのか,誰かを探しているのか。ざわざわと話し声に包まれ,ノートにデッサンしている。その描きかけの女性には顔がない。
  そこに”シルビアのいる街で”と書き入れる。周囲ではシュールな感覚が生まれる。女性たちの顔が重なり,近くの人と遠くの人が交錯する。一見雑然とした中に感じられる整然とした雰囲気は綿密な計算によって生み出されたに違いない。「違う」と言う男とその隣に座る女。女性2人が哀切なヴァイオリンの音色を響かせる。人々の心の奥底に眠る追憶を刺激するような響きだ。そのとき青年はガラス窓の向こう側に”彼女”の姿を認める。
  その姿とガラス窓に写る人々の姿が二重写しになって曖昧さが醸される。青年は,”彼女”の後を付ける。同じ風景の中を通り過ぎる。街並みが幾何学の迷路のように見えてきて,ちょっとしたサスペンスが生まれる。街のざわめきが近付いては消えていく。街には様々な音が溢れている。その中で人々は暮らしている。普段は意識しない生活の音が混沌としながらも秩序立って響いてくる。メロディは奏でないが,人々の生活の音が刻まれる。
  青年と”彼女”の間をトラムが走り,”彼女”の姿が見え隠れする。後ろからシルビアと声を掛ける。”彼女”は,青年に気付いているようだが,振り向かない。青年は,6年前にバーで会ったシルビアの姿を求めていた。トラムに乗って話す2人。右から左に流れていく風景が2人の姿をズームアップし,トラムの走る音が音楽のように2人の会話に被さる。そして翌日もまた同じような光景が繰り返される。色んな人生の中のひとときがある。
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