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『プレイヤー』  (Les infideles)
〜おバカな男たちの爆笑生態オムニバス映画〜

(2012年 フランス 1時間49分)
監督:ミシェル・アザナヴィシウス、フレッド・カヴァイエ、
    アレックス・クルテス、エリック・ラティゴ、
    エマニュエル・ベルコ
出演:ジャン・デュジャルダン、ジル・ルルーシュ、ギョーム・カネ、
    サンドリーヌ・キベルラン、アレクサンドラ・ラミー、
    マチルダ・メイ

2012年6月23日(土)〜ヒューマントラストシネマ渋谷、
6月30日(土)〜梅田ガーデンシネマ 他にて公開
公式サイト⇒ http://player-movie.jp/

 今年のアカデミー賞を賑わせたサイレント映画『アーティスト』で主演男優賞を受賞したジャン・デュダルジャンと監督賞受賞のミシェル・アザナヴィシウス監督のコンビ最新作は、マシンガントークのセクシャル・コメディー9話からなるオムニバス映画。といっても、アザナヴィシウス監督作は第3話の「良心」だけ。ニヤケた顔のジャンに、どうやってもモテない惨めな男を演じさせて痛快だ。『すべて彼女のために』や『この愛のために撃て』のフレッド・カヴァイエ監督の「プロローグ」では、ジャン・デュダルジャンとジル・ルルーシュという既婚男性二人が夜な夜な女漁りにふける様子を、呆れるような大胆な描写で見せる。
 この濃い顔の二人は、第9話「ラスベガス」では自らが監督を務め、浮気というよりセックス依存症の男たちの行き着く果てを、これまたアッと驚くシーンを盛り込みながら笑わせる。だが、“おバカな男たちよ”とあなどるなかれ! ジャンが実生活での妻サンドリーヌ・キベルランと夫婦を演じた第6話「質問」では迫真の会話劇を見せ、第4話「ロリータ」ではジルが若い恋人(女子大生)に振り回される愚かな中年男を演じて、能天気なだけではない男の弱さと孤独も描いている。ギョーム・カネのショートコントがまたかわいらしい。
 一番のお気に入りは、アレックス・クルテス監督の第8話の「浮気男 友の会」だ。浮気を止められない男たち13人(ジャンもジルもギョームも勢揃い)が女性カウンセラーのグループ治療を受ける。それぞれに好きな女性のタイプや性癖を語らせたり、性衝動を我慢する訓練をしたりと、それまでとは違うキャラで登場させ、いろんな顔の彼らを楽しむことができる。
 短編で綴るセクシャル・コメディーこそ、コメディアン出身で俳優・作家・監督でもあるジャン・デュダルジャンの真骨頂と言えるのかもしれない。日本では未公開だが、一人娘を殺された刑事役を演じたシリアスドラマでは、彼が放つ華やかなオーラは封印され、暗い感じであまりパッとしなかった。ジル・ルルーシュの方が役を選ばず様々なドラマで活躍できそうだ。二人のセクシーショットのオンパレードを、肩の力を抜いて笑って見てやってください。

(河田 真喜子) ページトップへ

   
             
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