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| ★ メランコリア |
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 (C) 2011 Zentropa Entertainments ApS27 |
『メランコリア』 （Melancholia） 〜魂を揺さぶる，壮大にして優美な終末感〜 （2011年 デンマーク，スウェーデン，フランス，ドイツ 2時間15分） 監督・脚本：ラース・フォン・トリアー 出演：キルスティン・ダンスト，シャルロット・ゲンズブール， キーファー・サザーランド，アレクサンダー・スカースガード シャーロット・ランプリング，ジョン・ハート 2012年2月17日（土）〜TOHOシネマズ渋谷、TOHOシネマズみゆき座、大阪ステーションシティシネマ、ＴＯＨＯシネマズ（なんば、二条、西宮ＯＳ）ほか全国ロードショー 公式サイト⇒ http://melancholia.jp/ |
| 序章。オペラ「トリスタンとイゾルデ」の前奏曲が聴こえ，超スローモーションの映像が浮かぶ。ビデオアート作品のような完成度で，美しく荘厳な光景が続く。あり得ない幻想なのか将来起こる現実なのかは判然としない。ジャスティンは何かを確信し受け止めている。姉クレアは息子レオを抱いて逃れようとする。小さな惑星は巨大惑星と衝突して一溜まりもない。オペラでは，普通の幸せを掴めないイゾルデは，永遠の世界へと旅立った。 | |
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第１部。ジャスティンは，結婚パーティの途中で風呂に入るなど奇妙な行動に出てしまう。人並みの幸せを掴もうと努力したが，夫マイケルの愛にも応えられない。クレアには「時々あなたがたまらなく憎い」と言われる。悲しみに暮れながら，母ギャビーに怖いと訴えた。クレアやその夫ジョンには日常の時間が流れているのに自分だけが取り残されるという思いに押し潰される。愛馬アブラハムに乗って駆けるが，橋を渡ることはできない。 |
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第２部。クレアは，不安で仕方がない。巨大惑星が地球に向かってくる。５日後に通り過ぎるのか衝突するのかは分からない。左手に月が白く，右手に惑星が青く輝いている。陰影のくっきりした深みのある映像が幽玄の世界を現出する。静かな不安が浸透する。全裸で小川のほとりで仰向けになって恍惚と惑星を見上げるジャスティンは，神秘的だ。漆黒の宇宙を時速10万キロで孤独に突き進むメランコリアに親しみを感じたのかも知れない。 |
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何もできないし隠れる場所もない。だが，メランコリアは確実に接近してくる。その恐怖から逃れようと死を選択する人もいるだろう。クレアは，逃げられないのであれば，素敵に終わらせたいと願う。これに対し，ジャスティンは下らないと言う。この瞬間，２人の立場は逆転した。クレアは，ジャスティンを羨んで時々憎いと思うのかも知れない。魔法のシェルターの中に入った３人は，手を握って目を閉じる。その優しさに胸を打たれる。 |
（河田
充規）ページトップへ |
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