オリジナリティー溢れる奥浩哉原作の『GANTZ(ガンツ)』の世界観をスクリーンで体感してから3か月。様々な星人たちと死闘を繰り広げ、GANTZの指令を受け入れる玄野(二宮和也)とこれ以上争うことを拒もうとする加藤(松山ケンイチ)。彼らの本当の闘いがついに幕を開ける。数段スケールアップしたアクションと気迫に満ちた演技が、「愛する者を守る」姿とその代償を焼き付けるだろう。
前編となる『GANTZ』で千手観音との戦いの末、命を落とした加藤(松山ケンイチ)を甦らせるため、闘いを続ける玄野(二宮和也)たち。動く地下鉄車内で繰り広げられるGANTZ戦士たちと黒服軍団の激闘は、まさにパニックアクションとして見ごたえ十分。ガンや日本刀アクションを交え、綾野剛演じる黒服軍団ボスと玄野が一対一で戦うシーンは二人の気迫がぶつかり合い、緊張感に溢れる見せ場だ。
非日常のような血生臭い闘いが繰り広げられる中で、日常のぬくもりを感じさせほっとさせられるのが、吉高由里子演じる玄野の恋人、多恵の存在。しかしGANTZは無常にも多恵をターゲットに指名し、仲間だったはずのGANTZ戦士同士が争う最悪の状況に陥っていく。田口トモロヲをはじめとするGANTZ戦士たちの心の葛藤を映し出しながら愛する者や、自分を守るための味方同士の対決が描かれるが、皮肉にもそれは人類が今までだどってきた争いの象徴のように見えた。
多恵を守る闘いのクライマックスでは玄野たちによって甦った加藤と、黒服軍団を仕切る加藤の姿をした男の二人を松山ケンイチが一人二役で熱演。夜の商店街を舞台に、ワイヤーアクションを駆使しながら、激しい立ち回りを見せる。男に弟を殺され、永遠と思っていたものが一瞬で失われる哀しみが怒りに変わった加藤、その怒りをあざ笑うかのような男とのやりとりは、もう一人の黒い自分との対峙とも見える意味深いシーンだ。
現実世界で生きる人を次々と巻き込んで、世紀末すら予感させる展開に終止符を打つため、映画ならではのオリジナルエンディングが用意されている。愛する人たちや今まで失われた命、そしてGANTZを救うために玄野がとった行動は、本作を単なるSFアクション映画だけではなく、切ないラブストーリーにも昇華させた。人が争うことの意味をも問う力強さを体感できることだろう。