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ジェーン・エア

(C) RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011. ALL RIGHTS RESERVED.
『ジェーン・エア』 (Jane Eyre)
〜凛としたヒロイン像と、切なく激しい愛の形と〜

(2011年 イギリス、アメリカ 2時間)
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
出演:ミア・ワシコウスカ、マイケル・ファスベンダー、
    ジェイミー・ベル、ジュディ・デンチほか

2012年6月2日(土)〜TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズ二条、OSシネマズミント神戸ほか、全国順次ロードショー
公式サイト⇒ http://janeeyre.gaga.ne.jp/

 シャーロット・ブロンテ原作の『ジェーン・エア』は、その妹エミリー・ブロンテが書いた『嵐が丘』と共に、昔の文学少女たちにとっては、異国の香りや恋の激情を教えてくれるバイブルのような本だった。このたび、『ジェーン・エア』が新しく映画化されたと聞いてとても懐かしくなったが、時を超えて胸を打つエッセンスを、改めて確認する機会となった。
 幼い頃に両親を亡くして親戚の家に身を寄せるが、そこでイジメに遭い、厄介払いのように送られた寄宿学校でもとことんひどい扱いを受けるジェーン。成長した彼女は、ソーンフィールド館の住み込み家庭教師となり、いつしか主のロチェスターに恋心を抱き始める。しかし、彼には知られてはならぬある秘密があった…。
 ティム・バートン監督『アリス・イン・ワンダーランド』で一躍注目を浴びたミア・ワシコウスカが、本作では笑顔をほとんど見せないむっつり顔。これだけ苦労と哀しみばかりに襲われるヒロインならば、光よりも影のほうが色濃くなるのは当然だが、しかし、彼女はずけずけものを言うし、権威に惑わされず、他人に寄りかかることなく、自分の足でしっかりと立っている。“独立した自由人”でありたいと願うそんな女性像は、イギリスが舞台といっても、19世紀中期に書かれた小説としては、かなりスキャンダラスであったろうと想像する。そういう意味で、現代人の感覚に充分訴えるような、背筋の伸びた女性の生き方、これをワシコウスカが鮮やかに描き出している。
 一方、ロチェスター役のマイケル・ファスベンダーは、原作の雰囲気から言えば若々しさが目立つが、気難しさの奥に隠された懊悩や、ジェーンに対する愛情の深さをにじませ、長い余韻を残す感動的なラストシーンまで、視線を奪って離さない。長編デビュー作『闇の列車、光の旅』も印象的だった日系アメリカ人監督による、ソツがない演出ぶりと、物語の巧妙なまとめ方も光る。

((宮田 彩未)) ページトップへ

(C) RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011. ALL RIGHTS RESERVED.
   
             
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