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東京国際映画祭  (レポーター:中西 奈津子)

『レッドレクリ PartT』
木村佳乃、トニー・レオン、杏
『ブタがいた教室』のメンバー
麻生首相と『レッドクリフ PartT』のメンバー
『ブラインドレス』
『少年メリケンサック』
旅立ち 足寄り
『ブラインドネス』
『ブラインドネス』

( 2008・カナダ・ブラジル・日本合作/121分)
配給 ギャガ・コミュニケーションズ
原作 ジョゼ・サラマーゴ「白の闇」(NHK出版)
監督 フェルナンド・メイレレス
脚本 ドン・マッケラー
出演 ジュリアン・ムーア マーク・ラファロ アリス・ブラガ 伊勢谷友介 木村佳乃
2008年11月22日(土)全国ロードショー

公式ホームページ→
 『シティ・オブ・ゴット』のフェルナンド・メイレレス監督の最新作『ブラインドネス』が第21回東京国際映画祭に特別招待され公式上映を行った。その際、フェルナンド監督をはじめ、主演のジュリアン・ムーア、伊勢谷友介、木村佳乃、脚本家にして劇中では泥棒役で出演するドン・マッケラー、撮影のセザール・シャローン、製作のニヴ・フィッチマン、同じく制作を務める酒井園子、総勢8名が登壇。舞台挨拶を行った。
フェルナンド・メイレレス監督
この映画は、あらゆる危機の中から我々が何を学び、何を変えていくことができるかについて描かれています。映画を楽しみながら、今の危機の時代に何が大切かを考えながらご覧ください。

ジュリアン・ムーア
このような素晴らしいキャスト、スタッフと仕事できてとてもラッキーです。この映画はとても前向きな考え方をしていると思います。今この時代、地球にいる我々が一体誰なのかを考えさせてくれる映画です。
伊勢谷勇介
憧れの監督と仕事が出来て光栄でした。自分たちの生活のなかのブラインドネスを見つけ出して、何か共通点を感じてもらえれば嬉しいです。撮影中、ジュリアンはずっと優しくて、ドンはいつも僕の英語を直してくれてありがたかったです(笑)


木村佳乃
このプロジェクトの一員になれたことを誇りに思っています。メキシコ・カナダ・アメリカ・ブラジルなどいろんな国の人が集まったとてもクリエイティブな素晴らしい現場でした。極限の状況に置かれた人間の本質が描かれているこの作品で、私たち女性がいかにたくましいかを見てください。
 舞台中央には白く覆われた大きな地球儀が。そこには、キャストや監督の思う「地球に必要なもの」が書かれている。ジュリアンは「ピース」伊勢谷は漢字で「挫折禁止」木村は「緑」と記したとか。さらに、映画祭大使でもある木村が「フェルナンドは撮影で使った二酸化炭素の分、木を植えたんです。」と監督のエコなエピソードを披露。地球環境保全をテーマに掲げた今回の映画祭らしく、地球とは人間とは?を問う有意義な舞台挨拶となった。
 『ブラインドネス』は、突然、視力が奪われる原因不明の奇病がもし世界中に伝染したら?すべての人々が“ブラインドネス”の中、もし1人だけ見えてしまうとしたら?見えない絶望、見える狂気。パニックで埋め尽くされた極限状態のなか、剥き出しになっていく人間の心理を描いたサスペンス・ドラマ。みどころは、何と言っても日本人キャストの2人。夫婦役を演じた伊勢谷友介と木村佳乃の活躍は期待以上である。失礼ながら映画を見るまでもっと端役かと思っていたのだが、実際は堂々のメインキャストで見せ場もたっぷり。恐怖と憔悴のあまりすれ違い、さらなる悲劇を得て絆を強くするカップルの繊細な心のゆれを演じきっている。
『少年メリケンサック』
『少年メリケンサック』

(2008・日本/125分)
配給 東映
監督・脚本 宮藤官九郎
出演 宮崎あおい 佐藤浩市 木村祐一 ユースケ・サンタマリア 田口トモロヲ 三宅弘城 勝地涼 ピエール瀧 峯田和伸
2009年2月14日(土)全国ロードショー
公式ホームページ→
 宮藤官九郎が宮崎あおい主演で撮ったパンク映画『少年メリケンサック』が2009年2月14日の公開を前に、第21回東京国際映画祭に特別招待された。話題沸騰の本作をいち早く見ようと公式上映には観客が殺到。644席分のチケットは即完売した。それもそのはず、上映前には映画祭ならではの豪華な舞台挨拶が付いている。登壇したのは、宮藤監督をはじめ、宮崎あおい、佐藤浩市、木村祐一、田口トモロヲ、勝地涼の6名。映画さながらの爆笑をさらう挨拶となった。
―――まずひと言ずつご挨拶をお願いします。

宮藤官九郎(監督・脚本)
「今日は初めて一般の方に映画をみてもらいます。笑ってもらえればコメディ、笑いが少なければ“人間ドラマ”という事でよろしくお願いします(笑)」

宮崎あおい(栗田かんな)
「現場では笑いをこらえるのが大変で、スタッフの皆も「ひとつのリハも見逃したくない」と言うくらい楽しい現場でした。そんな楽しさがこの映画の中にたくさん詰まっていると思います。」

佐藤浩市(アキオ ba.)
「バンドでベースを弾いています。メンバーの中で僕だけバンド経験がないので悪戦苦闘しました。学生時代からロックが大好きでしたが、まさか50歳を前にロックスターになる夢が叶うとは思ってもいませんでした。」


木村祐一(ハルオ gt.)
「“スター”にまではなってないでしょ。(会場笑) え〜、浩市さんの弟役ということで一生懸命昨年から役作りをして、撮影中はスタッフも見間違えるくらい似てきました。けど、「裸の大将」で偽山下清を演じて戻ってしまいました。残念です。(会場爆笑)今は次回作に向けて浅野忠信に似せているんですけど、みなさんいかがお過ごしでしょうか。」(会場爆笑)

田口トモロヲ(ジミー vo.)
「この映画は21世紀始まって以来、邦画初のパンクムービーだと思います。こんなパンクロックな作品に出演できて本当にしあわせです。みなさんの反応次第で続編ができるかかかっているのでよろしくお願いします。」

勝地涼(マサル)
「僕の演じたマサルはカンナの恋人ですが、ヒモというかダメな感じの男の子です。ダメな感じをがんばりました。あと、僕自身は歌が苦手ですが、(劇中で)一生懸命気持ちを込めて歌っているので聴いてください。」

―――では、宮崎さん。忙しいスケジュールのなかでこの作品を選んだ理由は。また、どんなところが挑戦であり楽しかったですか?

宮崎あおい「まず、宮藤さんが好きだったのが一番です。でもまさか私に役をふってくれるとは思ってなかったので、すぐにやりますとお返事しました。蹴られたり投げつけられたり、色んなことがあったけど楽しかったので、あえて挑戦でした!ということはないです。素直にみんなと楽しんで出来ました。改めて宮藤さんは天才だなと思いました。」

―――佐藤さんは、監督と役についての話はしましたか?

佐藤浩市「そんなに話はしていないですね。役を考えるより、不思議なバンドのグルーブ感とか、現場でみんなと顔を合わせたその時々のエモーショナルなもの、出てきたものをやった感じです。初めて無防備に行った現場でした。それでも、何か出てくるんだなと不思議な感じ。偽のバンドなんだけど、本物のバンドのような意識が生まれました。」

―――木村さんは、先ほど佐藤さんに似てきたと言われていましたが、演技面ではどのような工夫を…

木村祐一「似ていると言ったのは一過性のギャグです(笑)。現場はおっさんばっかりやったんで、「渋谷のあそこにビルがたちましたね」「そうですね」「前なんでしたっけ?」「なんでしたっけね」とか、「ボクシング漫画は何ですか?」せ〜の「リングにかけろ」みたいなことでしたよ。あんまり建設的な会話がない現場でした。でも、やっぱり監督は葛藤と決断の連続でしょ。それを仕切るわけですから、細い身体で朝から晩までどこにそんな体力があるのかと、人間の頭脳というのは計り知れないキャパシティがあるのだなと思いました。」

―――田口さん、バンドのメンバーのチームワークはいかがでしたか?
田口トモロヲ「よかったです」

木村祐一「はやっ!みじかっ!クイックリー&ショートリー!」(会場笑)

―――もうちょっと長く答えていただけますか?(笑)この映画の見どころは?
田口:えっ、そんな本質的なことを僕に…。え〜、21世紀初まって以来のパンクロックムービーだと思います(二回目)。宮藤監督が言っていたのですが、石井そうご監督が『爆裂都市』を作って以来の本当にパンクな気持ちのパンクスたちが、パンクしてみようみたいな…。そういう、カッとしたエモーショナルな感じが、オフビートな感じで、そして演技はナチュラルな感じで・・・。

木村:ルー大柴か!(会場笑)


―――勝地さんは、ドラマでも宮崎さんと共演されてますが、今回の現場ではいかがでしたか?

勝地涼「今までに何回か共演させて頂いているので安心してできました。「篤姫」ではおしとやかな感じですが、メリケンサックではすごい表情とかしているので感心しました。」

―――では、最後に宮藤監督、この作品はご自身でどんな作品に仕上がったと感じていますか?

宮藤官九郎「今までパンクロックを扱った映画はなかったと思うんですが、それが、いろんな視点、角度から楽しめるパンク映画になっているなと思います。基本の精神は「なめんなよ!」ってことです。」


  この挨拶でどんなに現場が明るく楽しかったものか分かっていただけるだろう。個性はバラバラなのにチームワークは最高。その結束力がスクリーンにもあふれている。筆者も作品を見てきたが、今年最高の邦画5本、いや3本にいれてもいいくらい面白かった。単純にすごく楽しくて、なんと言っても宮崎あおいのハジケっぷりがいい。映画通で彼女をよく知る人でも今回の役柄をみるとぶっ飛ぶだろう。キャンディを舐めながら、魚肉ソーセージにかぶりつき、彼氏の前では超甘えた。でも、困ったパンクおやじには中指まで立てちゃうんだからスゴイ。自称、高円寺のシド・ヴィシャス。でも実際は50歳にして酒びたりのフリーター・アキオ演じる佐藤浩市の怪演にも全然負けていないパワーがすごいのだ。このハイテンション演技を「篤姫」の撮影と交互にやっていたなんて・・・恐るべき宮崎あおいである。

〈ストーリー〉
 メイプルレコードの新人発掘部門に在籍するも契約切れ寸前のかんなが、やっと見つけたとびきりの新人。その名は「少年メリケンサック」。パンクバンドは好きじゃないけど、社長の命を受けていざスカウトへ。メンバーはみんな1985年生まれのはずだが、辿り着いた先には酔いつぶれたおっさんが・・・。なんと、かんなが見つけた映像は1985年のものだったのだ。しかし、契約を前にインターネットで火がついた20年前の「少年メリケンサック」たち。ツアーも決定した今、実は「おっさんでした」と言い出せないかんなは、当時の面影なしの中年たちを必死に立て直そうと努力するが・・・。
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