――― 俳優の方が監督をするケースが多いようですが、何か事情があるのですか?
確かにかなり多くなってきています。映画界で働く人は誰でも一度は監督をやってみたいと思うものです。俳優の方は名前が売れてますから、製作費が集めやすいので作りやすいですね。
――― 実際そうした作品をご覧になってどう思われますか?
処女作というのは良くできていますが、2本目となるとあまり好きな作品ではなくなります。大体一作目というのは自分の人生を描いているものが多く分かりやすいのですが、二作目となると、メッセージを探っているような感じになり何をいっているのか分かりにくくなります。おそらく、いい監督になるには何本か作る必要があるでしょう。自分のことを知るためにも撮る必要があるし、はっきりとしたメッセージを知るためにもね。
――― 2〜3年に1作という製作周期ですが、それでも監督業はやっていけるのですか?
正規のギャラが支払われれば大丈夫です。私にとって映画を作ることが大事であって、数多く作ってお金を儲ける事は二の次なんです。確かに巨大な製作費のオファーを受けることはありますが、製作費につられて引き受けることはありません。
――― ご自身のポリシーを大事した映画製作をされているのですね?
そうありたいと思っています。
――― 日本の女性の中には自分の夢を諦めて生きている人が多いと思います。そんな日本女性を応援する映画を作って頂きたいと思いますが。
私の場合は、自分の情熱を仕事に活かして生きていけるので、とても幸せだと思います。18歳で映画作りを初めて25年経ってもまだ映画を作っていますから恵まれていると自覚しています。沢山の人に私と同じように機会が恵まれればいいなと思います。
日本の女性に限らず、男性でも自分の夢を諦める人は多いのです。自分の好きなように生きられない人は多いです。
――― 夢というと少し大袈裟になりますが、自分が一番好きな時間を大切にするだけでも、とても幸せなことだと考えています。
確かに夢を追い掛けるのは大事なことですが、ありえない事を追い掛けるのは良くないですね。無い物ねだりするよりも、自分が持っているものを大事にすることが大切だと思います。人生の中には大きな幸せと小さな幸せがあると思いますので、ささやかな幸せでも大切に思うことが必要でしょう。