topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
新作映画
 ★シーサイドモーテル

(C)2010『シーサイドモーテル』製作委員会
配給:アスミック・エース
『シーサイドモーテル』
〜騙されてワンダーランド,もう抜け出せない〜

(2010年 日本 1時間43分)
監督:守屋健太郎
出演:生田斗真,麻生久美子,山田孝之,玉山鉄二,成海璃子,古田新太,温水洋一,小島聖,池田鉄洋,柄本時生,山崎真実

2010年6月5日(土)〜新宿ピカデリーほか全国ロードショー
関西では、梅田ガーデンシネマ、なんばパークスシネマ、MOVIX京都、シネ・リーブル神戸他

・取材記事⇒ こちら
・公式サイト⇒
 http://seaside-motel.net/
 シーサイドと言っても海辺ではなく山奥にある。山奥と言ってもピザや女の子のデリバリーはしてもらえる。女の子と言っても三十路前だ。ニセモノの愛を売るキャンディ(麻生久美子)が間違って訪ねた部屋にはインチキ美容クリームのセールスマン(生田斗真)がいた。2人の化かし合いが始まるが,さすがは年の功である。当然のこととはいえ,キャンディに軍配が上がる。観客をも眩ます彼女は自分自身をも欺いていたのかも知れない。
  この103号室の2人を主軸に合計4室での出来事が並行して描かれる。203号室にはスーパーの社長(古田新太)がいた。EDで悩む彼は妻の美咲(小島聖)に隠れて女の子を呼ぼうとしていた。だが,美咲の方がウソにかけては一枚上手だった。彼女に艶っぽくメイクされた社長の置かれた立場が滑稽でもの悲しい。古田新太の醸し出すカワイイ情けなさが活かされて,軽妙な味わいがある。人生ってこんなものさ,とうそぶくしかない。
  202号室では借金まみれの男と取立屋との間で金と命のやり取りが展開し,102号室では男がキャバクラ嬢をモノにしようと悪戦苦闘する。ウソでコーディネートされた4つのショートストーリーがそれぞれユニークで,オムニバスの面白さがある。これらが絡み合いながら収れんしていくというダイナミックさには欠けるものの,周辺部で少しずつ影響を及ぼし合って程良い接着剤の役割を果たしている。細部にもこだわりが感じられる。
  バス停の名前は「ARUTOKO」,車のナンバーはアルファベット2文字と4つの数字。場所や時間が限定されず,ここではないどこか,今ではないいつか,という時空間が形成される。一枚の写真が極め付けだ。夕暮れ,ビーチに並んで座って海を見詰めている2人の背中がロングで写されている。その2人の正体が明らかになったとき,この映画全体が,永遠に上り続けなければならない階段の絵のように,だまし絵の様相を帯びてくる。
(河田 充規)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって