20代独身男子が突然イクメンに!時代を象徴するようなストーリーの主役を務めるのは話題作に次々と出演している若手実力派の松山ケンイチ。そして相手役には、テレビドラマの主役も果たした芦田愛菜。宇仁田ゆみ原作の人気コミックが、『蟹工船』のSABU監督の手でほんわか、ほろっとさせられるハートフルムービーに仕上がった。
ダイキチ(松山ケンイチ)は、祖父の葬儀で6歳の少女りん(芦田愛菜)に出会う。りんが祖父の隠し子だと知った親族たちは施設に入れる相談をするが、見かねたダイキチがりんの面倒を見ると啖呵を切り、連れ帰ってしまう。事態の深刻さに気付いたときは既に遅し、仕事をしながら子どもを育てる”イクメン”生活をはじめることになったダイキチだったが・・・。
普通のサラリーマン、ダイキチに突然降って湧いた子育て。そこからダイキチの生活が大きく変わっていく様子がコミカルながら温かい目線で描かれる。出勤前の保育所への送迎も、通勤客をくぐり抜けながら、りんを抱きかかえて走るダイキチの姿はとても微笑ましい。子育てをすることで見えてきた新しい世界に躊躇することなく、りんと一緒に楽しむダイキチ。二人の絆が積み重なる日々のエピソードには、小さな愛が溢れている。
祖父が亡くなり孤独な気持ちを抱えいたりん。芦田愛菜が今まで見たことのないような寂しげな表情を浮かべ、りんの言葉にできない心境を表現している。そんなりんに笑顔を取り戻すために不器用ながらも子育てを頑張るダイキチは決して孤独ではない。りんの保育所友達コウキを育てるシングルマザーでモデルのゆかり(香里奈)や、ダイキチの家族、職場の同僚など子育てを分かち合える人に支えられている。ダイキチが体験した驚きや発見に満ちた世界が、ドロップのようなやさしく懐かしい味でスクリーンに描き出された、まさにSABU監督の新境地だ。
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