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★スマグラー おまえの未来を運べ (注)ネタバレあり!

(C) 真鍋昌平・講談社/2011「スマグラー おまえの未来を運べ」製作委員会
『スマグラー おまえの未来を運べ』
〜怠惰に喝!石井克人流強烈アクション〜

(2011 日本 1時間54分)
監督:石井克人
出演:妻夫木聡、永瀬正敏、松雪泰子、満島ひかり、
    安藤政信、我修院達也、小日向文世、高嶋政宏、阿部力

2011年10月22日〜梅田ブルク7、なんばパークスシネマ、他全国ロードショー
・舞台挨拶レポート⇒ こちら
・公式サイト⇒
http://wwws.warnerbros.co.jp/smuggler/index.html










 石井克人監督が痛快に弾けて見せた入魂の一作。CM出身監督らしく、ワンカットが強い印象を残す。とりわけアクションの切れ味抜群、ハイスピード撮影による超スローモーション映像に監督の力がこもる。拷問場面はとりわけ痛い。

 妻夫木と永瀬正敏、満島ひかり…旬の俳優によるアンサンブルは石井監督ならではだろう。1999年、砧涼介(妻夫木聡)は「野獣死すべし」の松田優作に憧れて役者を志すが挫折。「あの頃、俺はクズだった」という涼介の述懐が苦い。パチスロ狂いから借金まみれになり便利屋・山岡(松雪泰子)に拾われて日給5万円でスマグラー(運送屋)に雇われる。もちろん仕事は極めてアブない。

 やくざ(田沼組)の取引現場にはチャイニーズマフィア最強の殺し屋コンビ、背骨(安藤政信)と内臓(テイ龍進)が現れ、あっという間に組長らを葬り去る。で、スマグラーの初仕事は組長の死体運び。
運び屋は涼介のほかに落ち着き払ったリーダー格ジョー(永瀬)、お調子者ジジイ(我集院達也)という変な取り合わせ。一方、組長を殺された田沼組が報復開始、死闘の末、内臓を殺し背骨を捕らえる。運び屋の次の仕事は生きた背骨の運搬。ところが、甘ちゃん涼介は背骨に逃げられ、ジョーから「身代わりで背骨になれ」と命令される…。

 背骨のえげつない殺しのワザと妻夫木のいたぶられようが石井ワールドだ。鍛え抜かれた安藤のボディと身体能力=切れ味! 田沼組長夫人・ちはる(満島ひかり)の顔色ひとつ変えないクールな悪女ぶり。何でもこなせる満島にまた新たな一面を見た。

 石井克人のぶっ飛びワールドは山ほど死体を築く。主人公・涼介の欠点は「怠惰」と見抜き、現状打破には大きなことをしなければ、という監督の強烈な提言に貫かれたアクション。シラケ世代への石井流「喝」に違いない。
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