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★さんかく

(C) 2010「さんかく」製作委員会
『さんかく』
〜ミルキー&ビターで時々ホラーな恋愛トライアングル〜

(2010年 日本 1時間39分)
監督・脚本 吉田恵輔

出演 高岡蒼甫 小野恵令奈(AKB48) 田畑智子 矢沢心 
7月24日(土)〜シネ・リーブル梅田、京都シネマ

完成披露試写舞台挨拶
・公式サイト⇒
http://www.cinemacafe.net/official/sankaku-movie/pc.html
 デビュー作『机のなかみ』で脚光を浴び、『純喫茶磯辺』で日本映画界に確固たる地位を築いた吉田恵輔監督の長編3作目。今回も期待通り“ダメな男と女子学生”を主軸に据えた修羅場な展開が目白押し。吉田監督は本当に、恋愛や人間のめんどう臭い部分を“キュン死”するほど愛おしく描く天才だ。
 主人公は三十路の同棲カップル、百瀬と佳代。決して仲は悪くないが、2年もひとつ屋根の下で暮らしているためマンネリ感は否めない。そんな2人の家に佳代の15歳の妹・桃が夏休みを利用して遊びにやってくる。初めは恋人の妹としか見ていなかった百瀬だが、男に尽くす姉と違い、遺伝子レベルの天真爛漫さで男心をくすぐる桃に初恋のようなトキメキを覚えてしまう。意識をし始めたらもう最後。桃に骨抜きにされた百瀬は、桃が実家へ帰る前の晩、ついに彼女を抱きしめてキスをしてしまう。
 中学生相手に本気になる自分のウザさに気付かない百瀬、彼の変化を察知して「一緒に居られないよ」とカマをかけるも逆に体よく振られてしまう佳代、さんざん大人を振り回しておきながら、自覚も悪気もゼロの現代っ子・桃。ギリギリアウトになりかねない3人の複雑な人間模様が、吉田マジックによってキュートで憎めない“さんかくラブストーリー”へと発展する。それぞれの欲望と下心が渦巻きながらも、あとに残るのは純愛という不思議な映画だ。
 吉田監督の緻密な人物描写と会話の構成力もさることながら、本作はキャストのはまり具合も気持ちいいものがある。桃を演じるのは先日、AKB48からの卒業を発表した小野恵令奈。童顔なルックスに豊満な肉体という理想のギャップに加えて、甘えた声と口調をもつ彼女は、まさに桃にピッタリ。素か演技か判断が付かない彼女の不安定さと、佳代を演じる田畑智子の安定感のある演技がそのまま姉妹関係に活かされているようで面白い。
 しかし、一番達者なのは高岡蒼甫だ。結婚後は嫁の宮崎あおいばかりに注目が集まるが、彼ほど上手い若手俳優はそういないと思う。ヤンキー役が多く硬派なイメージがついているけど、今作のようにバカで人間臭い男を妙に生々しく演じることもできるのだ。恋人からキスに愛がないと攻められたり、男子中学生に一本背負いを決められたり、どうしようもなく情けない百瀬を高岡が等身大で演じることで、物語に無理のない説得力が生まれた。
(中西 奈津子)ページトップへ
   
             
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